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日本政府さん、日本銀行さん。進捗どうですか?

筆者はマクロ経済政策において、政府と日銀に達成してほしいことがあります。これは、政府と日銀それぞれのトップが誰であっても達成してほしいことです。

その目標と実績について、進捗状況を記しておきましょう。

【目標】

目標は大きくふたつあります。GDP成長率目標物価安定の目標です。

GDP成長率目標は、さらに名目と実質に分かれています。

GDP成長率目標の達成主体は日本政府、物価安定の目標の達成主体は日本銀行で、数値については、GDP成長率目標が名目で3%程度、実質で2%程度。物価安定の目標が消費者物価の前年比上昇率2%となっています。なお、ここでいう消費者物価は、消費者物価指数の総合を指します。

これらの目標の達成期限については、GDP成長率目標が2013~2022年度の平均、物価安定の目標が2015年4月頃を念頭にできるだけ早期にということです。

まとめた表はこちら↓

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出典はこちら。
2014年6月24日閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2014について」

「再生の10年」(2013~2022年度)の平均で名目GDP成長率3%程度実質GDP成長率2%程度の成長の姿につなげていく。

2013年1月22日発表「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について (共同声明)」(首相官邸)

同じく、日本銀行

日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。

2015年8月21日閣議決定「参議院議員大久保勉君提出物価安定目標における消費者物価指数に関する質問に対する答弁書」

平成二十五年一月二十二日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」(以下「共同声明」という。)での物価安定の目標における消費者物価は、消費者物価指数の総合指数であると承知している。

2013年4月4日発表「総裁定例記者会見要旨」

日本銀行は、本日、消費者物価の前年比上昇率 2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。

【実績】

GDPの実績から。下表上段の実数については、内閣府資料より転載しており、下段の平均成長率については、筆者の計算によるものです。

名目( 559兆6988億 / 512兆6856億 ) ^ ( 1 / 6 ) - 1
1.47%

実質( 552兆9305億 / 532兆0804億 ) ^ ( 1 / 6 ) - 1
0.64%

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出典は内閣府「2019年度国民経済計算(2015年基準・2008SNA)」

次に、物価の実績。

2020年基準、消費税増税の影響は未調整のデータであるということに注意してください。2014年度の2.9%以外は1%に満たない結果でした。2014年度は消費税増税の影響により、一時的に上振れしています。

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データベースはこちら
CSVファイルはこちら

更に、消費税増税の影響を調整した結果を見ていきます。こちらは2015年基準です。

1%を超える年度は一度もなく、概ね0%台後半でした。

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出典はこちら
エクセルファイルの直リンクはこちら

【総評】

GDPについては、目標3%→実績1.47%、目標2%→実績0.64%
物価については、目標2%→実績約0~1%

になりまして、

全然足りねえじゃん!と言いたくなる結果でした。

経済活動がかなり制約された2020年度のGDP成長率は、大きくマイナスに落ち込む見込みです。政府は、2013年度からの2022年度までの年平均で名目3%、実質2%の目標を達成できるでしょうか?

また、日本銀行は、2015年を念頭にしていた2%の物価安定の目標を「できるだけ早期」としていますが、いつごろ達成するのでしょうか?

日本銀行が発表している「経済・物価情勢の展望(2021 年7月)」によると、総合指数とコア指数の違いはありますが、どうやら見通しが示されている2023年度までに2%を達成できる見込みではないようです。

経済・物価情勢の展望(2021年7月) - gor2107a-1

経済・物価情勢の展望(2021年7月) - gor2107a_9-1

某漫画みたく、

「この黒田東彦こと金融政策に限り虚偽は一切言わぬ 2%・・・・・・!2%だが・・・・・・今回まだ『できるだけ早期』の具体的な達成時期の指定まではしていない そのことをどうか諸君らも思い出していただきたい つまり・・・・我々がその気になれば物価安定の目標の達成は10年20年後ということも可能だろう・・・ということ・・・・!」

なんてことにはならないようにして頂きたいですよね。

執筆時点(2021年8月下旬)の今日<こんにち>において、政権与党の自民党では菅総裁続投か新総裁誕生かという政局情勢ですが、トップが誰であっても、この目標に向かってマクロ経済政策を進めていってもらいたいと思います。

○関連ツイート
(数字が一致しないのは、基準年が違うからだと思います。たぶん)



るんるーん♪