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【映画】嘘を愛する女

女嫌いな女が描いた女、という感じ。仕事はできるけど傲慢で、自分勝手で嫌な女の長澤まさみ。「私だって彼のことを知る権利があるはずです、知りたいです、だって好きなんです」とほくそ笑みながら首を突っ込んでくる、絶対に彼氏に近づいてほしくないタイプの女、川栄李奈。

意外性★★☆☆☆

モヤモヤ★★★★★

川栄誰なん★★★★★

<あらすじ>キャリアウーマンの川原由加利は、恋人の小出桔平と同棲して5年。そんなある日、桔平が倒れたと警察が知らせに来た。病院へ向かうとくも膜下出血で昏睡状態になった桔平がいた。すると警察は桔平の免許証が偽造されたものだと言い出す。由加利は私立探偵を雇い、桔平の真実を探ろうとするが…。(Wikipediaより引用)

以下ネタバレ含む

イニシエーションラブ的なイメージで見たら全く違った。何も解き明かされないし、何もスッキリしない。途中、生死を彷徨う彼の過去を辿るロードムービーなのか?という気持ちになるし、正直なところ全体的に作り込みが足りず、個人的にはあまり面白いとは思えなかった。その上で、何を描きたかったのかな〜と考えてみる。

物語から一歩引いた視点で描く超現実ってこんな感じなのかもしれない。「彼だってきっと何か事情があったはず!」と調べていくうちに段々と「こうだったらいいのにな」にすり替わり、事実を感情が上回りかけたところで現実に引き戻される。すっきりしない、引き続き何も分からないまま。全ては彼の口から聞くしかない。

恋人同士ってそんなものなのかもしれない。自分が一番の理解者なつもりでいても、「私、彼と出会い系で出会ったんです」という、したたかそ〜な川栄が突如現れて、自分の知らない彼の姿を語り出したり。しかも彼がなぜ出会い系をやったのかの経緯が全く描かれない、モヤモヤする。

例えば夜中に急に「いつもの面子で渋谷に飲み行ってくるね」って出かけて行かれて、いつも新宿なのに今日は渋谷か〜珍しいな〜と思って待ってたら朝まで帰って来ない。何かにピンとくる。この「飲み」、本当は誰が行ってたのか分かる日なんて絶対来ない。こういうモヤモヤと同じに思えた。

最終的に高橋一生は目覚めるのだけど、生死を彷徨う彼の目覚めを、こんなにも何とも思えない映画って珍しい。長澤まさみにとってはここからが始まりなのだなと思うと、途方もない気持ちになる。

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