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角川ミュージアムで、本の宇宙に包まれる

2020年秋にオープンした複合施設「ところざわサクラタウン」。その敷地にできた角川武蔵野ミュージアム。2021年の5月下旬に訪れた。

コロナによる緊急事態宣言で、東京都内の美術館や映画館が閉鎖状態。自粛生活が続き、気持ちが沈んでしまい、どこかで精神的な刺激が得られないかと探していた。
埼玉県の所沢は蔓延防止地区だったので、制限付きではあったが、ミュージアムが開館していた。

武蔵野線の東所沢駅から徒歩10分ほどの場所にあるサクラタウンは、角川ミュージアム、令和神社、ジャパンパビリオン、アニメホテル、売店、飲食店などが集結している。隣接の東所沢公園には、アート集団「チームラボ」が手がける屋外作品「どんぐりの森の呼応する生命」が展示されている。夜になるとライトアップされ、インタラクティブな反応が楽しめる作品。

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まずは、メインの複合施設内にある「角川食堂」でランチをいただくことに。角川食堂の食事には、地元食材が多く使用されている。私は日替わり定食を注文。同行した夫はカレーをチョイス。

昼食まとめ

腹ごしらえを終え、本命の角川ミュージアムへ。事前予約が必要で、入場後3時間まで滞在できるチケットを購入していた。

サクラタウンまとめ

隈研吾設計の武蔵野の岩を感じさせる建物に入り、4階へ。本棚がズラッと配置された空間が広がっている。

エディットタウン

入ってすぐのエリアは、エディットタウンと呼ばれ、松岡正剛の監修の「世界を読み解くための9つの文脈」というコンセプトで、本がセレクトされている。どの本も手に取って閲覧できる。絵本やビジュアル本も多く、もっと近所にあれば年中通いたいと感じた。

短い滞在時間だけれど、どうしてもじっくり目を通したい本が!
20世紀初頭のロシアの絵本を紹介した「ビリービンとロシア絵本の黄金時代」という本。ビリービン(Bilibin)が描いた、イラストレーションはとても魅力的。ページを額のように囲む植物模様が、とてもエレガントだった。
海外ドラマ「Viking」で、キエフの話を視聴した後だったので、紹介されていた絵本の物語も興味深かった。
また、ゲオルギー・ナールプトが描いた日本の浮世絵にも似たコントラストのあるイラストも、素敵だった。

本棚劇場

角川書店の本をベースに、2フロア分の高さの本棚による空間。
プロジェクションマッピングで、森羅万象を表現したような映像が投影される。
■参考サイト↓

エディットアンドアートギャラリー米谷健+ジュリア展

塩害(オーストラリア)への関心を作品にした「最後の晩餐」は、豪華な食卓を塩で制作している。
ウランガラスを使用したシャンデリアの作品「クリスタルパレス」は、中国、韓国、ロシア、ベルギー、カナダ、北朝鮮の原子力発電量を、シャンデリアの大きさで表している。シャンデリアというかつては王族や貴族が使用していたものを用い、現代の消費社会とのコントラストなども表現しているようだ。
■参考サイト↓

荒俣ワンダー秘宝館

荒俣宏さんの動植物のユニークな資料や作品が展示されていた。
個体ごとに少しづつ異なる色の黄金虫が、グラデーションを描くように並べられた標本、美しい貝殻などのコレクションが楽しかった。
冨田伊織「新世界透明標本」は、水中動物の骨をピンクや青色に着色した作品で、様々な角度から、生物の骨格を観察できる。
動植物を精密に描いた絵画も美しかった。
■参考サイト↓

アティックステップ
「荒俣ワンダー大書界」

本棚劇場の奥、4階から5階へ向かう階段のところに荒俣宏さんの蔵書の一部「荒俣ワンダー大書界」が展示されている。荒俣さんらしい世界観ある書籍がずらっと並んでいて、本のタイトルを見ているだけでワクワクした。
アメリカのパルクフィクションがズラッと並んでいるコーナーもあった。その時代の人々も物語に心ときめかせたのだろうと想像すると、時代を超越する文化の力を感じた。

武蔵野ギャラリー&武蔵野回廊

5階では「武蔵野ギャラリー&武蔵野回廊」という企画展が開催。
武蔵野の地形、風土、歴史などをパネルや書籍で解説している。
甥っ子が、以前はまっていた妖怪ウォッチに登場していた「ダイダラボッチ」という妖怪が、武蔵野に伝承しているものだということを知った。

武蔵野坐令和神社

隈研吾氏が監修したモダンな感じの神社。直線的なフォルムで品格のある建造物。鳥居のシャープなフォルムもカッコイイ。建物の壁面にはびっしりと絵馬が納められ、アートな雰囲気。手を浄める手水舎は舟のような形をしていて、そこから水路に水が流れ落ちてる構造になっていて、自然の循環を感じさせるデザインだった。この令和神社は、アニメツーリズムの札所にもなっていて、アニメキャラ風のイラスト付きのお守りなども売られていた。

サクラタウンまとめ2

神殿内、金箔の天井には、天野喜孝氏による白く荘厳な鳳凰が描かれ、彫刻家の土屋仁応氏が制作した、白く美しいながら鋭い目をした狛犬が鎮座している。
■参考サイト↓

東所沢公園のカフェで、狭山茶を飲み、お土産に狭山茶の紅茶を買って帰路についた。
■参考サイト↓

サクラタウン界隈は、Cool Japan-forest構想という、ポップカルチャーの発進拠点を目指しているらしく、東所沢の駅も意外にお洒落な外観で、街並みも整備されていた。駅からさくらタウンまでの道沿いには、LEDで光るマンホールの蓋があり、異なる漫画のキャラクターが描かれていて、それをたどりながら歩くのも楽しい。


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