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海外カンファレンス参加の機会設計に真剣勝負した話

アメリカのNPO"Code.org"が開催するCSEdConというカンファレンスに、みんなのコードから1名参加できる機会があった。CSEdConは、世界中のCode.orgパートナーとなっている団体の経営メンバーが集結するカンファレンスなのだが、代表も私も参加できないということで、代理参加を検討することになった。

世界中のコンピュータサイエンス教育の情報が集まるこの機会を、メンバーにどう活かしてもらうか。

出張の打診について考えたこと、こだわったことを残しておきたい。

機会を誰に開くか

まず、この機会を誰にどのように開くかを議論した。

海外カンファレンスの参加にあたっては、当然コストがかかる。英語力や業務との関わりの深さがあったほうが良いことは間違いない。

その上で、個別にメンバーを調整することもできたし、業務上関わりが深い部署にのみ案内することもできた。どれも間違いではないように思えた。

しかし、社員が十数名程度の規模だからこそ、誰もがチャンスを得られるような設計をしてもいいのではないかと考え、社内公募形式を試してみることにした。

社内公募に際しては、英語力の要件を外すことにした。

機会を開くことへの思い

私自身、2015年に海外出張の機会をもらったことがある。AirbnbやUberといったシェアリングエコノミーサービスが日本に上陸する前に、サンフランシスコに行かせてもらった。

ちなみに、私は英語がほとんどダメだ。3ヶ月でTOEIC900点を取るという救いの課題をもらい、なんとか海外出張の機会を得た。

英語が話せないことによる機会損失はあったと思うが、実際に、シェアリングエコノミーの価値を体感し、海外での事業立ち上げや投資判断の空気感を肌で感じた経験は、その後の仕事観に大きな影響があった。

だから、少しでも興味があるメンバーがいるなら、どのメンバーにも行ってほしかった。英語力で諦めてほしくなかったし、子供がいることでサポートできることはやりたいと思っていた

メンバー間もそのような会話が出ていたようだった。

「この機会どうですか」と声をかけ合っていたことを知った。「子供も連れて行けるように交渉してみませんか」と話し合っていたメンバーもいたという。

こういう会話がされていたこと自体、とても嬉しかった。

無意識の前提と向き合う

最終的には、手を挙げてくれた全員に代表がヒアリングを行い、1名を選定した。

彼女の強みは、圧倒的なコミュニケーション力と、この経験をどのように仕事につなげていきたいかという情熱だった。

日本の代表として、日本のコンピュータサイエンス教育に関するプレゼンを行うというミッションがあったが、社内外の手を借りながら念入りに準備していたようだ。カンファレンスでは、プレゼンも呼び水となって、各国の参加者に助けてもらいながら生き抜いたらしい。

出張報告を聞き、思ってもみなかった成果に感激したし、彼女が持って帰ってきてくれた新たな風を楽しみたいと思った。

さて、出張の打診は、アンコンシャス・バイアスが見え隠れするシーンでもある。

「良かれと思って子供がいる女性への出張の打診を控える」「男性上司が一緒に出張する相手として、無意識に男性部下を選定していた」のようなことは普通にある。

メンバーの選定にあたっては、代表と何度も議論を重ねた。

常日頃からテクノロジー分野におけるジェンダーギャップや組織における機会設計について議論をしていることもあり、それぞれが無意識に持っている偏見やメンバーへの肩入れがないか、互いに確認しあった。意見が折り合わない瞬間もあったが、真剣勝負だった。

海外カンファレンスの機会をどう扱うか。

事業活動においては小さな意思決定だったかもしれない。しかし経営にとっては、無意識の前提と向き合う大事なプロセスとなった。


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