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ダイバーシティ経営の始め方のはじまり

「ダイバーシティに取り組んでいきたいのだけど、どこから手をつけていけばいいか悩んでいる」という相談をいただくことがあります。

大きく振り返ると、2014年にアディッシュを設立してから、会社の「土台づくり(Step1)」に注力してきました。2020年からは、「ダイバーシティの視点(Step2)」に目を向けられるようになりました。その先に、ダイバーシティを共創へと発展させていく「ダイバーシティ&インクルージョンの視点(Step3)」を描いていますが、正直まだまだこれから、と理解しています。

いまとなっては、このようにキレイにまとめていますが、もっと体当たり的に取り組んでいたのが実態です。今日は土台作り(Step1)について、特に転機となった出来事を振り返りたいと思います。

「働きたい人が思い切り働ける環境」からの転換

アディッシュは、2014年に当時の親会社から子会社化する形で会社を設立しました。当時の価値観のひとつに、「働きたい人が思い切り働ける環境」という暗黙のカルチャーがありました。

会社を設立した約2年後から、上場を視野に入れて、管理体制の構築や内部統制の強化を始めました。労働環境という面で、最初に向き合ったのが「働きたい人が思い切り働ける環境」という価値観だったように思います。

「働きたい人が思い切り働く」は、もう少し正確に表現すると、「残業時間も含めて働きたい人が思い切り働く」でした。

私は、営業部で新規事業を立ち上げてきたこともあり、この環境に慣れ親しんでいましたし、むしろベンチャーらしくて気に入っていました。

しかしダイバーシティの観点から見ると、「残業時間も含めて」という暗黙が潜んでいたこのカルチャーは、多様性をおおいに排除してしまっていたと振り返ります。ほかならぬ自分が、排除していました。

この価値観から転換するのは一苦労しましたが、「就業時間内に思い切り働ける仕組みづくり」へとマインドが変わることができたことは、上場準備をして良かったことのひとつです。

「ひとりひとりが働き方・キャリアを自分でつくる会社」をつくりたい

同時期に、私にも価値観の変容が起きていました。会社を設立した頃は、親会社に管理業務を担ってもらっていましたが、上場準備を機に、管理部門を立ち上げていこうという動きになりました。私は、営業部門から管理部門へとキャリアチェンジをして、このミッションを担うことになりました。

管理部門の立ち上げは、3人のチームから始まりました。私以外は全員、子どもを持つ女性社員でした。

それこそ私は、「(残業時間も含めて)働きたい人が思い切り働ける」環境がベンチャーの醍醐味だとすら思っていたのですが、しかしこの価値観を貫き通しては、チームが立ち上がっていかないことに気づきました。

私は、彼女たちが、就業時間内に仕事が終わるように時間対成果にこだわって仕事をしていることを知りました。子どもが体調を崩すと、互いに声をかけて助け合っていることを知りました。一方で、時短で働いていることに申し訳なさを感じていたり、自身のキャリアの発展を描けていないことを知りました。

私がつくりたいのはそんな会社ではない、と強く思いました。

自分の働き方・キャリアを自分でつくれる会社にしたいと思いました。少なくとも、いろいろな選択肢があるんだと感じられる会社にしたかった。

こういった思いから、管理部門のミッションに「ひとりひとりが働き方・キャリアを自分でつくる」を掲げ、ライフステージに合わせた制度設計、キャリア開発支援、情報発信に取り組みました。

アップデートし続ける

これらの経験から取組みの糸口をまとめると、以下のようになります。

振り返って思うことは、働くひとりひとりの価値観もアップデートされていく必要があるということです。

やはり、カルチャーをつくるのは働くひとりひとりであり、制度を運用するのは人だからです。私自身、ダイバーシティに取り組む過程で、幾度となく自分の価値観がボトルネックであることを痛感させられています。

2016年からは、さまざまなアワードにチャレンジしていますが、世の中の動向や客観的な指標を知り、自分たちの目をアップデートする機会として活用しています。

引き続き、Step1については、「カルチャー」「コミュニケーション設計」「制度設計」「データ」の観点から全体を眺め、土台をアップデートしていきたいと考えています。



これまでの取組みをまとめました。

https://www.slideshare.net/AkikoSuginohara/ss-250878509


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