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自己主張の強い食べ物にかこまれて変わった、Instagram体験

スーパーには美しい色の野菜や鮮やかなベリー系の果物が、ドラゴンフルーツのような南国調のフルーツがごろんごろりんと積み上げられている。

ズッキーニの大小はとても極端だし、きゅうりは極太、おナスは賀茂茄子みたいなまんまるなものもある。ベビーリーフはいろんな種類のパックを個別にチョイスすることができたり、料理用ハーブもブーケを作るようにひと束ひと束手に取ることができる。ほうれんそうはこぶりで若い状態のものが多く、葉にハリがあって色も触感も良い。

お肉は限界までトレイに詰め込まれてぴっちりラップされていて苦しそうだけれど、どれもハーブソルトをまぶしてソテーし、飾りのハーブを添えれば豪華な一品になりそうなボリューム感。

私はInstagramをこまこま更新しており、レストランでの素敵な出会いや、好きな料理を作れた時のささやかな記念として写真を撮影、その時の感情にマッチするようなフィルターをかけて投稿している。

ここで手に入れた食材を使って調理したひと皿は、鮮やかな色と生命力に満ちあふれていて、その色彩感や複雑さにハッとなった。(ちょっと旅行気分で食材を買いすぎた説はありそう。)
日本にいるときに出会ったすてきなものや美味しいものは、見た目には出てきづらい雰囲気や空気感をなんとか再現したくて、VSCOを使ってこまこまとエフェクトの調整をすることが多かったように思える。

ここで買った食材は、素材そのものが明確に「俺は俺だぜ!!?」と強く自己主張をしていた。
だから、料理ののっかったお皿を撮影した時点で、「あらかた主張しきって、完成されてる感」がある。
アプリ上での加工は数タップで完結、キャプションを書いてポスト。
ちょっと操作も適当でそれなりになる。

Instagramのアプリの操作にかかる時間も、好まれるフィルターも、きっと国によって違うんじゃないかなあと思う。日本は多分、長そう。で、フィルターは、ハイキーなんだけどローコントラストっぽいものが好まれるんじゃないかなあと思ったり。日本国内の多数派とアメリカの多数派の好みは一緒そうなイメージがあるけれど、全体のユーザーの1.5割位の集団にそういう国民性が出てきそう、妄想。

ある程度綺麗に写真を撮りたいと思いつつ、ご飯や周りの空気が冷めちゃうのとトレードオフ、小さな闘いがそこにある。

その日は、はちみつ粒マスタードソースに豚肉を漬け込み、適当にフライパンで焼いてみた。ズッキーニもにんにくと一緒にカリッと炒める。トーストの上にチーズを載せて、その上に豚肉のソテーを載せる。

いつも2枚そこら撮影して、人といるときは撮影前後に詫びを入れて、ごはんにする。

美味しいものを目前に、ちょう急いで5秒で写真撮影。ごはんが冷めるのは惜しいけれど、それでもうつくしいものの記録は習慣になってるからやめられない。

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