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日本に帰ったら読みたい小説

なるべく身軽に動けるようにと、サンフランシスコには最小限の持ち物だけを持ってきたのだけれど、選定をどうすべきかと考えあぐねた持ち物は本だった。

結局、知り合いにオススメされた専門書と文庫本、観光用のガイドブック数冊を持ってきたのだけれど、このチョイスは理屈として間違ってないのだけれど(知人に勧められた本はなるべく早くチャットで感想を言いたいと思ったし)、もっと自分にとって大切な本を持って来ればよかった...とも思っている。

自宅の狭い部屋で、ソーテルヌの甘いワインを飲みながら小川糸の「喋喋喃喃」を読むのが好きだった。仕事のことを考えたい時は梨木香歩の「雪と珊瑚」をパラパラと読んでいた。美味しい食事が恋しい時は小川糸「食堂かたつむり」、自分のルーツにじんわり染み込んでいる湊かなえの「サファイア」・「花の鎖」もそばに置いてあるだけでほっとした。

これらの本を持っていくことは考えた。考えたけれど、持ってきて実際に読まなかったら、実はそんなにこれらの本を愛していなかったんじゃないか、みたいになるのが嫌だった。(謎)

毎日、この自分の生活の一部になるくらい読み込んだ小説のことを考えては、恋しくなって心があたたかくなるし、紙をめくって読むという所作を遠く、懐かしく感じている。

今、日本の書籍はiPadのKindleアプリをつかって読んでいて、ここではKindle Unlimitedもとても重宝している。紙をめくらない読書体験にはまだ慣れないし、ゆったりとしたカフェが数多くある町だから、可能なら、自分が慣れ親しんだ本を、ひだまりの中で楽しみたかった。


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