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復帰2年目、家族と私の2023シーズン

10年のブランクを経て12秒台

100m 12”82(+4.6)
それはもう笑っちゃうような爆追い風だったんだけど、それでも14年ぶりに見た12"の数字は特別だった。
家族に負担にならない程度にひっそりのんびり楽しもうと思っていた陸上なのに、
わかってはいたけど私はただ走ることが好きなのではなく"速く走る"ことが好きで、そうなると練習すればするほど速くなって楽しくなってしまう。
そしてジリジリと迫っていくかつての自己ベストとのギャップに可能性を感じてしまい、ある日息子に言ってみた。

「やっぱり自己ベストをもう一回目指したくなっちゃって…12秒台をちゃんと狙いたいと思ってるんだよね。」
すると息子は
「わあー!!それ、夢?あちーたんの将来の夢ってことだよね!?頑張ってねぇ!!絶対叶うよ!!はぼっちの夢はね、陸上のオリンピック選手と、宇宙飛行士!!一緒に夢叶えようね!!」
とキラッキラの目で言ってくれた。

そんなことがあってからの今年のシーズン、息子は私が試合のたびに
「夢叶えてほしい!!がんばってね!!!」と言ってくれた。
今シーズン6レース目、
「追い風参考だけど12秒82だった!」
と息子に報告したとき、息子は飛び上がりキラッキラの目で走り寄ってきた。
「え!!?それって、夢叶ったってこと!?すごーーーーーーい!!本当におめでとう!!よかったね、本当にすごいねぇぇ!!」
「でも追い風が強すぎたから、公認記録にはならないの」と言う私の言葉も耳に入らずに、すごいすごいとはしゃぐ息子を見ていたら、なんだか私もすごく嬉しくなってきた。

その夜、夢の中でものすごく泣いた。夢の内容はわからないけど温かくて嬉しい涙で、自分の泣き声で目が覚めたとき、実際に顔を涙でびしょびしょにして泣きじゃくっていて
わぁ、私こんなに嬉しかったんだ…と思った。
追い風とはいえ学生時代ずっと目指してやっと届いた12秒台に再会できたこと、そして息子があんなに喜んで祝福してくれたことが。

6歳坊やの挑戦

その頃から、息子は私の試合の応援に頻繁に行きたがるようになった。
自分の練習にも真剣になり、6歳にして国立競技場での100mの公式レースデビューも果たした。

アウトレーンから2番目、水色のTシャツ。
クラスで一番くらいじゃ全然敵わないことを知れて
悔しがってたけど良い経験だね。

夏休みには、「練習したいから、走るときは連れてって!!」と言ってくれたので、私の練習に何度も連れて行った。
距離のハンデを付けて競走したり、リレーのバトン練に並走してもらったり。
私の昔からの陸上仲間とも、大人になってからの陸上仲間ともたくさん会った。

ある日息子にこう聞かれた。
「あちーたんは陸上の友達とどうしてそんなに仲良いの?」
練習とか試合を一緒にたくさん経験して、苦しかったり緊張したり、嬉しかったり悔しかったり、色んな気持ちを一緒に味わってきたからかなー、と答えると
「じゃあはぼっちもこれからみんなといっぱい練習して、いっぱい試合に出る!」
と言い、加えて
「今度リレー組んで試合に出てみたい!」
と言った。
私の大切な陸上仲間との繋がりを感じ取ってくれたことも、お友達ともっと深く仲良くなりたいと思っていることも、大人のバトン練習を見ていて本格的なリレーに興味を持ったという話も、色々と愛おしくて、
やってみようか!と、同年代のメンバーを集めてみることにした。
何度も何度も集まってルールの説明とバトン練習をして、ついに公式のリレーの大会に出場したのがつい先日。

出場チームの中で最年少だったため走力では悔しさを味わったものの、
そもそも学級閉鎖になるほど風邪の流行っているこの時期にメンバー4人揃って出場できたことも(1週間前には一人捻挫したし、2日前の練習は一人風邪で欠席したし、その日の夜中にはうちの子が熱を出して本当にヒヤヒヤした笑)、アンカーまで一人も転んだりバトンを落としたりせずゴールできたことも奇跡だし、ルールを覚えるところから足長を測って走り出す練習まで、低学年ながら全員が本当によく頑張ったと思う。
緊張で顔を真っ白にしながらレーンの中で仲間のバトンを待ち、無事にゴールまで走り繋いだ経験は、
「すっごく怖かったけど、すっっごく楽しかった!!来年はみんなともっとたくさん試合に出たい!」
という言葉に凝縮されていた。

画像左、紺の上下。小さい…

翌日、息子はこんなことを言ってきた。
「願い事に将来の夢を書くことが多いけどさ、夢って神様に頼むものじゃなくて、自分で努力して叶えるものだと思うんだよね。」

小さい頃の夢なんて変わっていくものだし、いつまで一緒に陸上を楽しめるかはわからないけど、夢や目標を叶える喜びやそこに向かうプロセスを一緒に経験できた今年の夏は、少なくとも私にとって特別な思い出の夏になった。


家族がいるから自由でいられる

海外旅行にも高級ディナーにも宝石にもディズニーランドにも興味がないのに、
陸上について語ると好きすぎて泣き出し、30分隙間時間があれば坂ダッシュしに行くような狂った陸上愛(笑)の私にとって
走る私を本当に惜しみなく応援してくれて、さらには一緒に陸上を楽しんでくれることは私にとって何より嬉しいプレゼントで、
"お母さん"てなんて不自由なんだろうと思っていた数年前が嘘のように、今の私は息子と夫の存在があるから自由でいられる。
そして私が自由に生きられるから、息子の世界は広がっていくし、夫の挑戦も心から応援できる。(ちなみに夫は息子のリレーの日、50キロマラソンを走りに3泊4日で壱岐に行っていたのだけど、先に予定を入れていたのは夫だし、そちらも大切なイベントなので我が家的には何も問題はない笑)

家族それぞれがやりたいことに思い切り挑戦して、応援し合える、照らし合える、
"家族"というより"チーム"にしたいと思っていた、まだ陸上を再開する前の4年前の夢すらも現実になってきている喜びを噛み締めた、競技復帰2年目、33歳のシーズン。

夫と競走中。過去一気に入ってる写真。笑

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