過去に積上げてきたコストや時間を捨てる覚悟を持て

中小企業のマーケッターとして20年以上の月日が流れている。
小さい企業の利点として、なんでも1人でやらないといけないので、自ら企画をして自ら売る体験をいくつかさせて頂いた。
非常に幸運な会社人生だったと感謝している。
現在も同じように仕事をしているが、商品企画、販売ルートの開拓、広告、販売、営業など様々な1人何役をこなせる若手を入れてもらえない現状が最近の悩みである。
ただ、仕事をする覚悟として「自分が立ち上げたものは、いつでも捨てる」という気持ちを持っている。

「サンクコスト」という言葉を耳にした事がある人は多いと思うが、マーケッターだけではなく、自分が一生懸命に時間と費用をかけて積み上げてきたものをもったいないと無意識に人は判断してしまうものである。
それが心理的に影響して、正常な判断が出来なくなるのを防ぎたいと思っている。

サンクスコストは、手段を目的に変えてしまう事がある。

若かりし頃、商品が売れる市場をつくるという目的がいつの間にか有名な通販雑誌に載せる事に変わってしまった。
会社に対する報告がかっこいいからだったと今は反省している。
通販はのせればすごく売れるものだと思っていたので、有名通販に掲載した時には、数百台受注が来たらどうしようかと思ったが、ふたを開けたら数台しか受注できなかった。
通販という市場を理解するまでになんども訪問する為の時間や費用をかけもったいない気もしたが、仕掛けする作業が相手任せのこの市場にかけても仕方が無いと判断して、営業方針から通販ルートへの販売をゼロにした。

その後、何度か通販企業から商品を掲載して欲しい、商品を企画して欲しいと依頼があるが、基本すべてお断りしている。

投じたコストが高ければ高いほど、手段が目的に変わってしまいやめられなくなる。
男性が女性と別れる時にネチネチと思い続けるのは、時間とお金を女性よりも多くかけているからだと考えれば納得がいく。

肺炎コロナウイルスの影響で、強制的に仕事をどうするのか?という判断に迫られた際、このサンクスコストが自分の意思決定に影響する可能性があると知っているとより冷静な判断が出来るのではないかと考える。

例えば、飲食店を経営している場合、飲食店を続けることは手段だったのではないだろうか?目的は美味しい食事で人を癒すという事だったのではないだろうか。そういった自問自答をして、何が目的であるかが明確になれば、やれることはたくさん残されている。

今までかけてきた時間やコストが大きければ大きいほど、身を切り刻まれる苦渋の決断を迫られる可能性があるが、何のために自分はそれを行うのか?を今一度考えるいい時期なのではないかと考える。

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