【50歳のつぶやき】不便も時には受け入れよ〜洋梨が教えてくれたこと
食卓に並べる果物をスーパーマーケットで探していて、バナナにしようか、りんごにしようか、あらイチゴさんお久しぶり、などと悩む中、洋梨が目に飛び込んできた。我が家の子どもたちは洋梨が大好き。よっしゃこれで行こうと手に取りかけて、「あ」と固まってしまった。
洋梨はすぐに食べられないのが難点だ。ちょうどよく熟す、その頃合いを待たねばならない。私は翌日の朝ごはん用に果物を求めていたので、「洋梨は無理かあ」と一旦手を引っ込めた。
ところが、よーく見るとこんなことが書いてあった。
「農家さんがちょうどいいタイミングに出荷した洋梨」。
要は、今が食べ頃の洋梨ということである。待たなくて良い。明日の朝にすぐ食べられる。
おおー、いたせり尽せりとはこのことかと、意気揚々としてその洋梨を買って帰った。
翌朝。ナイフを入れてガッカリした。
熟れすぎである。熟れすぎて、端的に言えば〝腐って〟いるに近かった。
洋梨のうっとりするような艶かしい白色は、無惨にも茶色く侵蝕され、私の食欲はすっかり減退。仕方がないので、辛うじて食べられそうな部分だけをこそぎ取って皿に並べた。とても虚しかった。
実を言うと、洋梨をパックから取り出して直に触れた瞬間、不安に駆られたのだった。「思ったより柔らかい」と。
なんてもったいないことをしたのだろう。「農家さんがちょうどいいタイミングに出荷した洋梨」なんていう口車に乗せられて、自分で食べ頃を見極める努力をしなかったことを悔やんだ。
農家さんでも、食べ頃を見誤ることがあるのだな。
いや、果たしてそうだろうか。そもそも、農家さんが完璧なタイミングで出荷したとしても、スーパーマーケット側に不手際があればアウトではないか。買い手がすぐにつくとも限らないし。よく考えれば、なんとも危うい、成功率が低そうな話なのであった。
私はわりと疑い深い方だと思う。
「こんな便利な新製品が!」とか
「あなたの肌に革命を!」とか
そういう類のものは鼻で笑って無視してきた。
なのに、洋梨を持ってやられてしまったというわけだ。
「なんでもかんでも簡単に、不便や不都合を排除することはできないのだよ。考えて行動しなはれ」と洋梨にたしなめられているような気分になったのだった。
★2024年12月は、1日1掃除!★
16日目:キッチンの引き出しを掃除した。使っていない古びた菜箸や、台所用品を処分。引き出しも意外とゴミが溜まっていたりするので、毎回びっくりする。