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夫の育休

2020年の9月から夫は6ヶ月の育児休職を取得した。そのお話。

ちなみに私の双子妊娠出産のお話はこちら。


私の“男性育児休職”への憧れ

私はもともと男性の育児休職への憧れがあった。私は社会学部卒。いや、正確にいうと社会学科なのだがそれは今はどうでもよい。受験の時に大学で何を学びたいかよく分からなかった私は何でもできそうな“社会学”を選んで進学した。そこでジェンダーの社会学に出会ったのだが「男と女でこんなに違うの?」と思ったのがキャリア、平たく言うと一生に稼ぐお金。女性が出産や育児で会社で働けない間に男性はどんどんキャリアを積んでいって差をつけていく。マミートラック(mommy track)という言葉がある。育児休職から戻った女性は出世コースからは外されて同じトラック(陸上競技で走る)をぐるぐる回る、それを例えた言葉だ。え?そんな酷いことってある?今はそんなことないと思ってるけど(でも近しいことはあるような気もする)これまでは現実にあったんだろうなと容易に信じられる。出産を機に退職する女性もいたし今だっていなくはない。私はずっと働きたかった。自分が結婚したとしてもいつなんどき何が起こるか分からない。例えばパートナーが病気になったり怪我したり死んじゃったり、離婚しないとも限らない。そうなった時にちゃんと生きていけるように働いていたいなと学生の頃から思っていた。だから生涯賃金だけで見ても世の中なんだか男女で不平等にできてるなと感じていた。選んで女に産まれてきたわけではないけど、将来結婚してパートナーと「子供が欲しいね」ってなったら、産むのは絶対私で、それは生物学上変えられなくて、その上育児と仕事と家事を背負い(その当時は育児も家事も私がやらなきゃいけないんだと思って疑わなかった)それでいて男性より稼げず会社からも期待されず…なんか不公平じゃない??科学も進歩してるんだから男性が妊娠出産できてもいいんじゃないかな。そしたら「今回は私が産むから次回はよろしくね」ってパートナーと平等に妊娠出産できたらいいのにって思って当時そんな話を周りにすると「はぁ…(?)」って感じで「言ってる意味ちょっと分かんないです」という空気が流れた。「なんだかなぁ社会。なんだかなぁジェンダー。」と思いながら就職したのが十数年前。男性の育児休職という言葉をいつ頃から聞くようになったのか…「男性も育児休職取れます」となったのは私が大学生の頃からそうだったような…就職してからだったような…定かでなくて申し訳ないが、とにかく結婚相手もいないうちから私は「夫が妊娠出産できないのは仕方ないから育休は取って欲しいなぁ。そうしたら少しはフェア。」と勝手に考えていた。

3人目の時は絶対育休とってね

1人目の時も2人目の時も「育休取って欲しいなぁ。取ればいいのになぁ。」という気持ちがゼロではなかった。けど1人目の時は「私だけでもできるか」って思ったり、2人目の時は夫も取得に前向きではあったものの出産の半年前くらいに職場が変わり、「ちょっと今取りづらい…」って感じで(そういうとこあるよね…男性にも空気にも社会にも…)私も猛烈プッシュはできなかった。まぁあるかどうか分からないけど3人目できたらもう里帰りはしないつもりだから絶対育休取ってねとは伝えてあった。夫は“百聞は一見にしかず”って感じで何でもやってみたい人なので育休についても案外前向きであった。
そして3人目…のみならず4人目もいた今回、念願の?待望の?育休取得に向けて動き出すのであった。

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悩む育休期間

育休取るとは決まったものの、さてどのくらい取ろうか?どのくらい取ってくれたら足りるのか?双子となると皆目検討もつかない。とりあえず私の床上げ3週間、家事育児をこなしてもらわなければ困るので1ヶ月は確実に取ってもらいたい。しかし、ふにゃふにゃ赤ちゃんが1人ならまだしも2人となると行動にかなり支障が出そうだ。上の子2人の保育園の送り迎え、買い物、炊事、洗濯…無理だね、うん。しかも双子は小さく産まれてくる可能性が高い。到底1ヶ月では足りなそうだ。「じゃあ2ヶ月?」と聞かれたが3ヶ月!と押すと「3ヶ月も取るのか…」言われ「3ヶ月“も”ってなによ!私はもっと取って育児してるじゃないか!私だけじゃなくてあなたの子でもあるでしょ!」とボルテージが上がってしまった。
私だって好きで育休取ってる訳じゃない。というと嫌々取ってるのか?本当は育児より仕事したいのか?とか色々な憶測を招くのだけど、なんというかほぼ空気に負けてるというか…いや戦ってる訳でもないんだけど…。女性の育児休職は長期間仕事を休む正当な言い訳だ。そこに甘えている自分もいる。事実だ。だけどその長期休暇を手放しで喜んでいる訳でもない。休まず継続していたら手に入れられたキャリア(そもそもそんなものないのかもしれないけど)を逃しているような、同僚にどんどん差をつけられているような、そんな焦燥感もある。大体休暇じゃなく家事育児の無償労働ががっつりついてくるし。育児をするのは女性。その社会通念を受け入れている自分ともっと抵抗しろよと怒ってる自分がいる。決まってないんだ何も。育児も家事も育休取るのも私の仕事だなんて決まってない。のに勝手に空気を感じて勝手に自分で苦しくなってるだけだ。そんな気持ちが胸の中にモヤモヤと湧いてきて嫌になった。夫が悪いわけではない。けど悪びれもせず男が3ヶ月“も”育休を取ることが大層なことだと信じていることに腹が立った。
とまぁ私のジェンダーモヤモヤに脱線してしまったが、夫婦間であーだこーだ言い合いつつ育休期間は3ヶ月でひとまず落ち着いた。


いつ産まれてくるの?いつから育休入れるの?

育児休職はその名の通り育児するための休みなので、子が産まれなければ休職に入れない。申請は出産予定日に基づいてされる。私の場合、胎児の週数的には出産予定日は10月3日だったのだが、双子のためそれより2週間前に産むことが決まっていた。女の私は育児休職に入る前に産前休業が6週間、産後休業が8週間あるので、早く産まれたとしても休みに入っているし、育休の開始時期は産休の間に調整し直せる。だが男性はどうだろうか?もし予定日によりも早く産まれたら開始時期の変更ができるものの、かなり慌ただしいことになる。双子で予定分娩の大体の目安も決まっていたが、やはり出産予定日より前に育児休職の開始を申請することが出来なかったので、予定分娩の日から出産予定日までの2週間は有給休暇や配偶者出産休暇(うちの会社にある妻の出産に伴い取れる休暇制度)で対応しようと予め決めて会社でも家庭でも準備していた。1人目ではないので私が出産となると上の子たちのケアは夫が一挙に引き受けなくてはいけない。夫の両親のサポートもお願いしつつ、その辺りは周到に準備した。
出産は予定日はあるもののいつ何時やって来るか分からない。うちの夫は血が苦手なので絶対出産には立ち会いたくないと言っていったが、立ち会い希望の夫婦も多いだろう。いつ産まれるか、立ち会い出産に間に合うか、仕事が中途半端なまま育休に入ることにならないか(致し方ないことなので中途半端でも構わないとは思うが)など予定日間近になると懸念も多くなりそうだ。男性の育児休職義務化と共に男性の産前産後休業の議論もあるが、個人的には男性の産休良いのではないかなぁと思う。産むことは女性にしかできないのだがサポートはあった方がいい。2人の子供だから夫婦で構えておく方がいいでしょ。男性は赤ちゃんを産めなくても出来ることはたくさんある。

産後の夫の活躍

「床上げ3週間って知ってる?産後1ヶ月は出来るだけ横になっていたいから保育園の送り迎えだけでなくすべての家事をお願いしたい」と妊娠8ヶ月の時に伝えた。上の子たちは里帰りで産んでいる。産後私がどのように過ごしていたか夫は断片的にしか見ていなかった。産後、少しぐらいなら家事も出来るだろうって思われてたら困る…と思い、意を決して言った。単なるワガママに聞こえそうだし、そう思われたら本当腹立つけど、言わなきゃ始まらない。「聞いたことあるけど…1ヶ月も?」やっぱりあまり分かっていなかった。「毎日ウーバーだな」と冗談を言っていたが「それでも全然構わないからお願いします」とこちらは真面目に答えた。
大丈夫かなぁと思っていたが産後の夫の活躍ぶりは想像以上だった。
ごはん。私は本当に何も作らなかった。献立のアイデア出しくらいは少ししたけど、夫なりに自分が作れそうなメニューを3食毎日考えていた。「○○はどうやって作るの?」とか聞かれるのだけど私は「クックパッド先生に聞けば間違いない」と毎度答えていた。次第に夫もクックパッドを見て献立を考えたり作るようになって、「今日の夕飯は○○ね」と完全に夫だけで食事作りをするようになっていた。私は、全く台所に立たないので冷蔵庫の中身も夫の方が把握するようになっていた。食事だけでなく、洗濯、掃除、皿洗い、保育園の送迎もすべて夫がこなしていた。私は2人の新生児のお世話を7割方していた。夜間授乳も2人いるので2倍起きなきゃいけなかったり、日中も授乳、おむつ替え、沐浴などあって結局まとまって休めはしなかったが、家事と上の子たちの保育園送迎はノータッチだし昼間の赤ちゃんたちのお世話は夫もやってくれるのでとてもゆったり過ごせていた。私は産後も相まって元来のトロさにより一層の磨きをかける一方で、夫は日に日に効率的に家事をこなすようになり、私よりなんでも早く家事を遂行するようになった。

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育休を6ヶ月に延長

産後1ヶ月を過ぎて私もボチボチ動き始めた。上2人の保育園の送りに行ってみたり、ちょろっと洗濯物を畳んでみたり。いわゆる産褥期(産後の体が妊娠前の状態に戻る期間で一般的に6~8週間といわれる)が終わりに近づくにつれて、そろりそろりと普通の生活に戻っていく。しかし家事の主力は夫のまま。「そういえば産後1ヶ月過ぎたしごはんとか作れるの?」と聞かれた際には「そうね~…でもまだあんまり無理すると…ねぇ」などと濁してごはんも継続して作ってもらっていた。甘えてると言われればそうだが、私も私で夜間の双子対応や日中もメインで赤ちゃんたちのお世話をしてるから家事は任せっきりだったけど何もしてないって訳じゃないですよ!第一産後だし!と前もって釈明しておく。
実は育休期間をどのくらい取るか悩んでいた頃、夫が「6ヶ月くらい取ろうかな…」とボソッと言ったことがあった。「お!いいね!取れ取れ~!」と猛烈プッシュしたのだが、結局「やっぱりちょっと長すぎるし3ヶ月の予定って言ってるし…」と尻すぼみになり3ヶ月で申請した。6ヶ月取ればいいのにとブウブウ言う私は、1度だけなら期間の変更できるから様子見てからにしようと夫に説得され渋々了承したのだった。夫の育休が半分終わる頃、「延長するなら1ヶ月前に申請しないといけない。どうする?」という空気が流れ始めた。夫は復職する気でいた。「うーん私一人でこれできる?うーん」と思ってはいたものの、「仕事に戻りたいっていうのを止めるのも…うーん」という気持ちもあり、延長して欲しいのに延長してとははっきり言えずにいた。そうこうしているうちに延長申請の期限が迫ってきた。双子を見ればまだ首はグラグラ。1人ならまだしもグラグラ2人を保育園の送り迎えに連れていくの至難の技じゃない?季節は11月。どんどん寒くなってきて双子たちを外に出すにはそれなりに着込ませなきゃいけないし。ファミサポ?毎日?頼めないときもあるよね。じゃあ家で4人見る?動きたい遊びたい盛りの4歳2歳と3ヶ月の双子…無理!あと双子居たら買い物だって行けないし日常生活滞る気がする。そして私が発狂するだろう。「無理じゃない?これ私一人で無理じゃない?逆の立場でこれ一人でできる?」と夫に詰め寄り育休は無事延長された。半年経てば赤ちゃんは大分しっかりする。元々双子だけど単胎児と同じくらいの大きさで産まれてきた2人。大体過去2人と同じくらいのペースで成長してくれるだろう。そして半年経った4月には保育園も始まるだろう。と見積もって夫の育休を6ヶ月に延長してもらった。


夫が主夫を経験して変わったこと

夫が家事育児の大半をこなすようになって変わったなぁと思うことがいくつかある。
一つは「ごはんなにする?」の問いに「なんでもいいよ」と答えることがなくなったこと。以前はよく「なんでもいいよ」と言っていた。その答えが一番困るし「なんでもいいよ」ってどこまで行っても他人事で自分が関わろうという気持ちがなく酷いように思える。だが夫は毎日ごはんを作った結果何が一番大変なのか気づいたようだ。それは献立を考えること。うちはまだ子供たちが小さく、大人も子供も食べるメニューを考えるのに毎度苦労する。そして私も夫もそこまで料理のレパートリーは多くない。ネタが尽きる。夫は毎日献立を考える骨折り具合を身に染みて感じたようだ。今は私がごはんを作る時も「なんでもいいよ」とは言わなくなった。
二つ目は皿洗いに時間と労力と手の潤いが奪われることに気づいた。育休前も夕食後の皿洗いは夫がやることが多かった。3年前、第二子妊娠中で仕事復帰を目前にした私は食洗機が欲しいと夫に掛け合ったことがあった。その時の反応は「いらなくない?」だった。朝昼晩やっていなかったからか夫にとって皿洗いはそんなに大変なものではなかったようだ。皿洗い…地味に時間がかかる。洗い物が多いと「これ20分くらいやってない?!」という時がある。朝、洗い物がなければ10分早く出れる。夜、洗い物がなければもう少しゆったり子供と過ごせるのに「お風呂入って!歯磨きして!もう寝るよ!」と慌ただしく就寝になる。そして冬場の手荒れ。ちょうど9月から翌年3月まで育休ですべての皿洗いをこなしていた夫の手はガサガサ、パックリ割れで見るも痛ましかった。ついに夫は「食洗機買おう」と言い、夫の育休が終わる前に我が家に食洗機が導入された。
三つ目は子どもにイライラする夫を目にするようになった。これはコロナでテレワークが増えた辺りから感じたこと。子供にイライラしているのは大抵私で夫からは「そんなにイライラするなよ」とは言われなかったもののそういう眼差しで見られていた。夫が子供にイライラしなかったのは、以前は子供と接する時間が私より少なかったからだと思う。イヤイヤしててもたまになら許せるし、子供もお父さんには甘えをそこまで見せなかった。普段一緒にいる私には甘えているのかよく泣いて、そして一向に収まらず「いい加減にしろー!」と私が心の中で叫びながらイライラしていることが多かった。それが夫にも起こるようになった。やはりたまになら可愛いイヤイヤも毎日毎回となるとイライラが募る。子供もお父さんにも甘えるようになった証拠で良いことだ。夫がイライラしているのが分かると少しホッとする。きっと夫も私も「イライラするよね~」という共感が生まれたから、どちらかがイライラしていたら気持ちの余裕のある方がフォローに入るスタイルが暗幕の了解になった。まぁ人間だから2人ともイライラしちゃってる時もある。致し方ない。


育休を取って良かったこと~夫の視点から~

4月、夫が復職して間もない時に子供たち全員が奇跡的に早く寝た週末があった。普段子供たちが居れば会話は子供中心に繰り広げられる。ちょっと大人で話したいことも子供たちの会話の合間合間にちょろっと話すことしかできない。大人2人でお酒を酌み交わしながらゆっくりおしゃべりできる貴重な機会だった。「育休どうだった?」と聞くと「良かった」と返ってきた。6ヶ月の育休を取った夫。実は育休の間も育休を取ろうと思っている男性社員から話を聞きたいと言われていた。それも1人ではない。みんな本当は興味あるんだなぁと私は勝手に嬉しく思っていた。世の中の流れ的にも“ジェンダー平等”や“多様性”の動きが再注目されて再燃しているように感じるし、男性の育休義務化(企業の育休制度周知と取得促進の義務化)も来年から始まるし、これからどんどん男性の育休は増えるのだろうなと見ている。ぜひ夫に男性の育休の良い面をPRしてもらいたいと思いどう良かったのかもっと聞いてみた。
夫は三つあげた。一つは無償労働の大変さが分かったこと。今までは分かっていたようで本当には分かっていなかった。献立を考えたり、天気を気にしながら洗濯物を干したり、手荒れと戦いながら食器を洗ったり。たまにやるならなんてことない仕事も毎日続けば頭も使うし本当にくたびれる。けど必要不可欠な仕事。これから共働き生活が本格的に始まるにあたって、この大変さを理解してお互いがお互いの家事育児の遂行を感謝しながらやっていけるのはとてもプラスなことだと思う。
二つ目は子供たちとの時間が増えて子供たちへの愛情が増えたこと。これまでも子供が好きな夫は子供と過ごす時間が少なかったわけではない。でも四六時中一緒に居るともっと子供のことが見えるし子供ももっと見せてくれる。もちろんイライラも増えるがどんどん大きくなる子供の“今”が見れるのは本当に“今”しかない。貴重な時間を過ごせたと。
三つ目は自分の時間がまとまって取れたこと。夫のすごいところは毎日コツコツができるところ。コツコツやれずにいつも追い込み型の私は夫のそういう部分を心底尊敬している。資格の勉強、語学の勉強といった自己啓発活動を夫は家事育児の合間にやっていた。これは夫も私も1人目ではなかったから出来たのだと思う。やはり3、4人目の育休。夫はミルクもおむつ替えも沐浴もレクチャーなしにできた。家事も基礎レベルは高い方だったと思う。私も大体の赤ちゃん問題と自分の産後メンタル問題は網羅していた。そのため、双子だけど、合計で子供4人いるけど、2人とも気持ちの余裕があった。夫も本末転倒にならないように自分の活動をしていたし、私も自分がカバーできない家事育児をしてくれている夫の時間を尊重できた。仕事をしているとまとまって自己啓発の時間は取りにくい。集中して取り組むことが出来て良かった、と。

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夫が育休を取って良かったこと~妻の視点から~

私の念願だった夫の育休。感想は“本当に良かった”の一言に尽きる。どう良かったのか述べていきたい。
まず一つは夫婦仲が良くなった。と言いたいところだが実際は変わらなかったと思う。「なんだよー」とずっこけた方もいるかもしれないが、“変わらない”が案外大事だと思う。産後クライシスという言葉をご存知だろうか?よく知られる産後鬱は出産後の女性(男性にもあります)が精神的に不安定になる病気だ。一方産後クライシスは出産を機に夫婦が不仲になる現象だ。統計的に産後のパートナーへの愛情は女性の方が減少しやすいことが分かっている。産後妻の愛情は赤ちゃんに向くので夫に対しての愛情が減ると考えられがちだが、そうではない。まぁそれもあるのだけれど大きな原因は夫が妻に寄り添わないことで火に油を注ぐことだと思う。特に第1子は母親も分からないことだらけ。しかも産後の身体的ダメージと24時間の赤ちゃんのお世話で慢性的な寝不足という到底母性や愛情だけでは乗り切れない過酷な状況だ。そこで命綱となるのが夫はじめ周りの人間のサポートである。夫が妻の心身状態を理解して、気持ちに寄り添ったり家事育児を率先して行うことが産後クライシスを回避する方法かなぁと思う。第3・4子の出産だった我が家だが、夫が育児と家事に非協力的だったら産後クライシスだって他人事ではない。今回家のことや子供たちのことを夫が引き受けてくれたためかなり私に心のゆとりができた。里帰りの時は自分の母であったが、やはりこれからずっと家庭を共に営んでいく夫が大変な状況を一緒に経験して乗り越えていっていくれたことに意味がある。強い絆が生まれた気がしてるし(勝手に)、本当にチームになったなと感じてる(やはり勝手に)。
二つ目に2人での会話の時間が増えて色々と擦り合わせができたこと。子供が居れば「見て見て!聞いて聞いて!」となかなか大人同士の会話ができない。夫も私も育休だったから上の子たちが保育園に行っている間にゆっくり話ができた。住まいのこと、子供たちの教育のこと、自分たちの将来のことなど、お互いの価値観を共有できた。これから本格的に共働きが始まり時間のすれ違いも多くなるだろうその前に、擦り合わせができたのはとても重要なことだったように思える。
三つ目は私の推測だが、たぶん夫は今までとは違う視点を得たと思う。子供や私に地域社会との繋がりがあること、そして会社という箱から出ると自分にはそれがないことに気づいた。普段は会社勤めの男性という圧倒的なマジョリティの中で暮らしていた夫は、そこで感じるマイノリティの立場というものを疑似体験しているようにも見えた。女性ばかりの場所ではなかなか発言できなかったり気後れしたり。今まで自分が不自由に感じなかったことが立場が変わるととても難しいことになる。そんなような事を体感していたと思う。違う角度からのものの見え方、今までの狭い世界の中での常識に囚われていたことが少し分かったのではないか。偉そうに書いているが私も狭い世界で生きていることに自覚がある。だが私は夫より先に妊娠出産育児を通じて自分の生きてきた世界や視野の狭さを痛感していた。夫もきっとこの育休で同じように感じたのではないかと推測する。この経験は仕事でも生活の中でも今後絶対役立つものだと信じている。夫のような人が上司に居たら子育て世代の人たちにとって男女関係なくとても心強い存在だし働きやすくなると思うけど。買い被り過ぎかな?

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やっぱり夫が語るのが一番いいね

「夫の育休」というタイトルで書いたがやはりどこまでいっても私の主観だ。書いていてずっと思っていた。やはり夫自身が書くのが一番良い気がする。夫が自分の育休についていつの日か書いてくれることを期待する。










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