第2回 育休プチMBAを通じて、働く女性の特性がわかってきた
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第2回 育休プチMBAを通じて、働く女性の特性がわかってきた

前回は、育休プチMBAがはじまった経緯について書きました。今回は、しばらく続けてみてわかってきたことを。

自分の育休をきっかけにはじめた育休プチMBAでの収穫は大きく2つ。1つは、面白いママ友・パパ友にたくさん会えたこと。大人になってからこんなに友達増えるとは思わなかったし、子育て中という共通点がなかったらきっと接点がなかったであろう人たちとの出会いは単純にとても楽しかった。

そしてもう1つは、企業と女性社員のミスコミュニケーションの構造が理解できたこと。例えば、以前はワーキングマザー&ファーザーの会社とのコミュニケーションを(企業サイドから)聞いては、正直言って「自分の権利ばかりを主張をする人が多いんだなあ、これは会社も大変だろうなあ」と感じていました。でも育休プチMBAで出会う人と突っ込んでコミュニケーションをしてみると、自分目線のコミュニケーションの方法しか知らないことで「結果的に」権利主張に聞こえてしまうだけだということが分かってきました。他にも何か意見や立候補を求めても何も反応がないのでやる気がないのかなーと感じていたら、実はやる気は実はあるのだけれど、遠慮していたり自信がないと主張ができない、ということも分かりました。

この現象は、男女差がほとんどない業界やビジネススクールの文化に慣れていた私にはびっくりするものでした。女性は一般的にコミュニケーションがやや主観的すぎたり自信がなかったりという傾向がありますが、こどもがいるとその傾向がさらに強くなるのか、あるいは世の中の普通の女性はこんな感じなのか、おそらく両方なのだと思いますが、とにかく自分のこれまでのコミュニケーションスタイルとは全く異なるものがそこにあったのです。私からみたら、英語が共通言語の世界(ビジネス社会)で、女性だけが中国語で話しているような感覚でした。男性管理職には、このミスコミュニケーションの構造はきっとわからないだろうとも思いました。

でも、これって本当に女性の特性なのかな?というのが次の疑問でした。つまり性別の差というより、後天的な学習の結果じゃないのか?と。その仮説を確かめたくて観察とヒアリングを続けて分かってきたことは、「昇進を視野に入れずに働いているために管理職目線の思考トレーニングの機会を持たず、マネジメント思考が欠落し、その結果、組織全体にとって何が必要かを考えず、目の前の仕事に注力する局所最適思考や、組織の便益より個人の便益を優先する権利主張型思考になっていくというケースが女性には多い」ということでした。当たり前のように昇進を目指す男性は、自分の上司や経営者が何を考えているかを学習する機会があります。社内の研修もそうだし、いつか自分がその立場に行くと考えているから、上司が何を考えているかを想像したり、話を聞いたりします。ですが、女性は制約を抱えない、すなわち子どもを持たないと決めない限り、昇進のような大きな責任を受け入れることに前向きになれないため、こういう思考が欠落しやすいようです。顕著に表れるのは、主語が「会社は」ではなく「私は」のコミュニケーションが多いことです。

そして、今でこそこんな分析をしている私ですが、私自身もビジネススクールに行く前はこんな感じだったな、と思い出しました。20代のころは、仕事の席で周りの人が話していることが理解できない、自分の言いたいことが全然通じない、という経験ばかりです。でも、そんな自分がビジネススクールでマネジメント思考のトレーニングを受けた後は、周りと話が通じるようになったんですよね。つまり男性管理職が話しているビジネス社会における共通言語とは、マネジメント思考や経営学であり、女性は単にその言語を学ぶ機会がないことで困難を抱えやすいだけだ、と自分の経験からも実感したのです。なので、育休中にその共通言語を身に着けておけば、復職後に働きやすくなるだろうと思いました。

私はビジネススクールの本質的価値は、学位や、マーケティングやアカウンティングのような経営技術を学ぶことではなく、マネジメント目線で考えられるようになるための思考トレーニングだと思っています。ですので、この育休プチMBAでは、この「マネジメント思考のトレーニング」を集中的に提供しようと思っていまして、経営技術は教えていません。それは書籍や他のセミナーをオススメしています。(※現在は、ワークシフト研究所のセミナーでそれらを提供しています)

まずは管理職の立場に立って考えるトレーニングを重ねることで、「自分は組織の中でどんな役割を求められているか」「組織に貢献するにはどう行動すればいいか」といった俯瞰的な視点を持つことが可能になりますし、その結果として職場での行動が変わり、限られた時間でも組織に貢献できるような働き方ができると思っています。ただ、思考トレーニングは単発受講ではほぼ無理で、回を重ねることではじめてマネジメント思考は定着します。これまでの受講者へのアンケートから、マネジメント思考を獲得するためには6回以上の受講が確実であることが分かっていますが、現場の業務を持っているとそんなに何回も集合研修を実施するのは簡単ではない。だからこそ、どうせ現場を離れなくてはならない育休期間は、その思考トレーニングをするには最適だということにも気づきました。(※その後の調査で、3,4回で変化が現れるということが確認できています)

初期の勉強会はみかさんの自宅で。勉強中はベビたちはベビコーナーで気ままにごろごろ転がっています。人材育成は専門領域だけど母親としてはど素人の私は、ここで先輩母たちにいろいろとアドバイスをもらいました。

続きはこちら:第3回 育休後の女性の働きにくさは、職場の問題でもある

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こくぼあきこ。経営学者でありフルタイムワーキングマザーの日常を綴っています。2014年生まれのムスメを育てながら、企業と人材の交点「職場」で使える経営学を研究したり教えたり。趣味はこどもとのキャンプや旅行。静岡県立大学准教授。 http://akiko-kokubo.com/