1-3_脱出

1-3 脱出 迷走終了!入院決定!

怒りの長文投稿

2つの病院で【異常なし】と言われた時は途方に暮れた。K病院はともかく、W病院は救急搬送後「外傷はありませんが、低髄圧の可能性があると知り合いの医師にいわれたので、MRIをとってください」という大変明確な意思表示をしたにも関わらず、【異常なし】と言われたのだ。

起き上がることができず、動くときは四つん這いで、食事するときは犬食いみたいな生活を強いられるレベルの頭痛が【異常なし】なわけがないだろ!!と心で叫び、この怒りを元に再び病状を詳細にSNSに投稿した。

すると再び、友人のM医師から反応があった。大学病院できちんと検査してもらったほうが良いということと、MRIを再読してくれるということ。なんともありがたい言葉だ。返す返すも最強の人脈を持ちえたことに感謝する。

夫の奔走っぷりへの感謝と自画自賛な様子

原因不明の状況を案じた夫の奔走がここから始まる。夫は進学校出身のため、理系の同級生は8割くらいは医師になっているらしい。そこで、その人脈をフル活用すべく、同級生のfacebookグループに私の病状を投稿してくれた。脳神経科のH医師から反応があり、

・症状からすると低髄圧の可能性が高い。

・すぐにでも入院して点滴したほうがよいが、安静にして水分補給(できればOS1などの経口補水液)を1日1.5~2リットルくらいはするように。

とのことで、以前勤務していた某大学病院への紹介状も書いてくれたうえに、入院手続きができるよう申し送ってくれた。そして、最終的に【3月1日(金)】より、無事某大学病院への入院が決まった。しかも、6人部屋でなく4人部屋の空くタイミングを確認してくれた。またしても神対応に遭遇したわけだ。私の周りには神が多いらしい。日頃の行いが良いのであろう(笑)

破天荒なことばかりしていた夫は、「うっかり終電逃してタクシー」どころではなく、「終電あるのにうっかりフェリーにのって五島列島」とかに行ってしまうレベルであったが、私が倒れてからは、上記の手配はもちろん、家事育児も積極的にこなしており、ありがたさが身に染みる。頭痛で食欲不振ではあったが「イチゴサンド」と「ホットドッグ」が無性に食べたくなり、お願いしたところコンビニを3件ハシゴしてまで買ってきてくれた。

しかし、自分がいかに頑張っているかというアピールも凄まじいため、適度に「褒める」ことが重要だ。夫の扱いに苦戦している女性たちにアドバイスするとすれば、「子供だと思って、1を10くらいに大げさに褒めて、おだてて動かせ」であろうか・・・。

自宅療養での試み

「水分補給と安静が重要」ということは繰り返し述べてきたが、低髄圧の症状が出ている時は「水を飲む際にペットボトルやコップを上に傾ける」という動作が激痛を伴う。そこで、100円ショップのストローという重要アイテムを夫に買ってきてもらった。ペットボトルにストローを刺すだけなのだが、ベッドから上半身を乗り出し、下を向いたまま床に置いた水を飲むようにすると頭痛を抑えられるのだ。その姿はさながら貞子のようではあるが、なりふり構っていられない。自宅療養期間が長くなりそうな人は、ぜひストローを活用して積極的に水分補給してほしい。

水分補給が十分かどうかのバロメーターは排尿量および回数によくあらわれる。頭痛によりトイレまでの道のりが苦しいうえに、便器に腰を下ろしている間も激痛のため極限までトイレを我慢したくなるし、水分も控えたくなるというジレンマ・・・。私の場合、排尿回数は通常通りだったが、明らかに量が少ないと感じた。いつも出ている水量が消防車の放水とするならば、家庭用水まきのホースくらいしか尿がでない。風邪のときなどにも起こる現象だが、これは【脱水状態】であるサインだ。私はこのとき、髄液駄々洩れ中であったため、体は極度の水分不足に陥っていたのだが、頭痛により十分な量の水分補給もできず、悪循環だった。

実母へのSOS

夫は毎日いろいろと家事育児に奮闘してくれて、2月中はいくつか出張をキャンセルしてくれた。しかし、3月も同様にはいかず、講演への登壇など外せない予定もいくつかある。そこで、神奈川に住む私の実母にSOSを出した。「原因がわからない頭痛でほぼ寝たきりなのだが、長期になるけれど、手伝いにきてほしい」と。母が動揺しそうだったので「まだ病名は確定していないけど、多分死なないから大丈夫だよ」とは言ったものの、極度の心配性の母はその日の夜から神経性の下痢になったらしい。楽観主義の私とは本当に対照的な母なのである。

入院前日、母は我が家に到着するやいなや「あっこ~、お母さんが来たよ。もう大丈夫だよ」と涙交じりにベットに駆け寄られ、いささか大げさな様子に大爆笑してしまった。「そんなテンションで来られると申し訳ないよ。脳腫瘍とかじゃないから、多分死なないよ」というと母は少し安心したようだった。

3歳の娘の健気な様子

毎日ほぼ寝たきりの様子を見ている娘も3歳ながらに『ママに甘えたいけど我慢する』言う姿にこちらまで泣きそうになる。入院前日は母が来ていたこともあり、久々のばぁばの登場に大興奮でご機嫌であったが、入院についてはきちんと説明せねばと、夜にゆっくりお話をした。

「明日からママは病院にいって、入院するんだよ。喘息の時入院したことあるからわかるよね?だから、ママはしばらくお家に帰ってこれないんだ」

『え~、嫌だ!』(寂しさというよりは、イヤイヤ期みたいな嫌)

「でもね、今ママ病気で起き上がれないから一緒に遊べないし、抱っこもできないよ。だから元気になるために病院にいくんだよ。ばぁばと一緒におりこうさんで待っててくれる?」

『うん。わかった。』

こんなやり取りがあった。どこまで理解できたのかは不明だが、夫の出張中、ばぁばと2人になるときは特に寂しさがこみあげるようで『とぅとぅとママと3人がいい』と泣き出すことも多かったのだとか。3歳児にとって長期間母親と離れるのはきっと寂しかったことと思う。

何はともあれ、最強の人脈のおかげで入院は決まり、夫も見違えるように成長し、実母のサポートも得られるという周囲の手厚いフォローにより、私は病気快復に向けて、一歩前に進むことができた。痛みは続いていたが、気持ちは軽くなった。

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