あなたのつわりは正常ですか?

5~8割の妊婦さんが悩まされるといわれる「つわり」


私自身も4人の子どもを産んでいますが、4人とも症状はそれぞれ

ジャンキーなものがたべたくなったり
生野菜がだめだったり
乳酸菌飲料だけはゴクゴクいけたり‥

いつまで続くのか分からないし、なぜ、そうなるのかも分からない。

つわりは多くの妊婦さんが経験しますので

「妊娠したんだから仕方ないよね」

と、不安なまま、ただただ耐えるしかありませんでした。

しかし、水さえ受け付けずそれでも吐きまくり、とうとう吐血。
もうろうとした意識の中、主人に抱き抱えられて病院へいきそのまま1ヶ月の入院となった経験があります。

つわりには、正常なものと治療が必要なものとがあるとその時知りました。

つわりの症状がおこるメカニズムや、正常や異常がわかればやり過ごせるのではないかなと思います。

不快なことには変わりませんが…

目次
①つわりの原因
②つわりの経過
③つわりの異常
 1)妊娠悪阻
 2)妊娠悪阻の治療
 3)ウェルニッケ脳症
④その他のリスク

つわりの原因

正確には分かっていません。
ただ、妊娠によっておこる体の仕組みの変化によって説明のつくこともいくつかあります。

食べ物がいつまでも胃の中に残るようになる

妊娠することで妊娠を維持するために胎盤からプロゲステロンというホルモンが急激に放出されるようになります。
このプロゲステロンは胃や腸の動きをゆるやかにする性質があります。
そのため、食べ物がいつまでも胃の中に残りやすくなります。

逆流しやすくなる

普段、胃の入り口は普段は適度にキュッとしているのですが、このプロゲステロンの影響で

「キュッ」

「ダラーン」

となります。


なので、胃の中の食べ物が食道に逆流しやすくなり、それが吐き気になったりもします。

つわりの経過

多くは妊娠4~6週ごろに始まり、15~16週ごろまでには自然と治まってきます。
ただし、妊娠期間を通して胃腸の働きが鈍くなっているので、出産するまでスッキリしない人もなかにはいらっしゃいます。

つわりの異常

つわりの主な症状として
・吐き気
・だるさ
・眠気
・頭痛
・食欲がない
・常に何か口にしたくなる
・食べ物の好みの変化…

など多々あります。


これらの症状が、1日の中でひどくなったり、軽くなったりを繰り返します。


妊娠中に2~8割の方が経験するという、比較的頻度の高い症状ではありますが、中には入院や治療が必要となるつわりもあります。


妊娠悪阻(にんしんおそ)

治療が必要なつわりのことを妊娠悪阻(にんしんおそ)といいます。
つわりと違う点として

・一日中何回も吐く
・食事がとれない
・体重が5%以上減少
・尿中ケトン体陽性

これらに当てはまる場合は妊娠悪阻と診断され治療が必要となります。

妊娠悪阻の治療

食事療法:好きなものを少量、頻回に分けて食べる

↓ 難しい場合

輸液療法:ブドウ糖点滴を1日1000~3000ml
 ※ケトン体が陰性となるまで続ける
 ※ビタミンB1も同時に補填する

↓ 改善しない

薬剤投与:制吐薬、ピリドキシン
 ※妊娠悪阻の時期は赤ちゃんの体が作られる時期でもあり薬の使用は最小限にする必要あり。

↓ 発熱、黄疸、意識障害など全身状態の悪化

人工妊娠中絶

最終手段はとても残酷ですが、母体の命を継続できなければ、赤ちゃんの命も継続できない故の方法なのでしょう。

そうなる前に早めに対応できるといいなと思います


ウェルニッケ脳症

妊娠悪阻が重症化することでかかるリスクが高まるウェルニッケ脳症。
食事がとれないことが続きビタミンB1が欠乏することで発症します。

症状
・意識障害
・眼球の運動異常(目玉が細かく動く、または全く動かない)
・小脳障害(立てない、座れない)

これらはビタミンB1の投与で改善されますが、そのまま放置すれば死に至ります。


その他のリスク

深部静脈血栓症

つわりの時期は食事量が減り体は脱水傾向に
つまり血液がドロドロになりやすいです
なので
深部静脈血栓症
という足の静脈に血の塊ができるリスクが増えます

妊娠中はもともと血液が固まりやすくなるので
この血栓症になりやすいのですが

発症のピークは妊娠初期が最大というデータもあります

血栓症の予防

「水分摂取」「圧迫」「運動」
の3本柱になります

水分摂取
食事がとれなくても、水分はすこしずつ、こまめにとりましょう
水分さえ吐いてしまう人は病院へ行き点滴を
お医者さんには何となく話かけにくくても、看護師さんに点滴をしてほしいと希望を伝えてみてください。
私の場合は、点滴することで、吐き気はおさまりませんでしたが、体のだるさはいくらか改善していました。

圧迫
弾性ストッキングというきつめの靴下のようなものが医療機関で購入できます。
市販の靴下では代用になりません。
圧が一定ではないので。

運動
足首をぐるぐる回したり、つま先を上げ下げしたりしましょう。
血栓はふくらはぎの筋肉の中にある血管のにできやすいので
ふくらはぎの筋肉が動くとOK


つわりは多くの妊婦さんが経験する症状ですが、なかには重症化するものもあります。
妊娠したんだから当たり前、と我慢せずにかかりつけのお医者さんに相談してみてはいかがでしょう?


参考図書
・病気が見えるVOL10
・イラストで学ぶ 妊娠・分娩・産褥の生理

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