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AI時代の地政学: Googleの海底ケーブル戦略と日本

2024 年 4 月 11 日6:31 AMのロイターの記事「Google、2本の海底ケーブルによる日本との接続強化に10億ドルを投資 」(グランス・ヴァナイク著)によると、Googleは、アルファベットが所有する2本の新しい海底ケーブルを通じて日米間のデジタル接続を改善するために10億ドルを投資する計画であることが明らかにされました。この動きは、両国間の関係強化を目的とした日本の首相の訪問中に発表され、地政学的な文脈において注目されています。このセクションでは、記事からの情報を要約し、その重要性についての初期の考察を提供します。

背景と現状

ロイターの記事によると、海底ケーブルはインターネットのバックボーンであり、世界のデータトラフィックの99%を伝送するという重要な役割を果たしています。これらのケーブルは、各国間の情報やデータを高速でやり取りするための基盤となり、グローバルなコミュニケーションと経済活動を支えています。特に日米間のデジタル接続は、経済的および技術的な観点から見ても、重要性が高まっています。

Googleの海底ケーブル投資の詳細

GoogleはProaとTaiheiという2本の海底ケーブルプロジェクトに10億ドルを投資し、米国、日本、および太平洋の複数の地域間のデジタル接続を強化する計画です。Proa海底ケーブルは米国、日本、北マリアナ諸島連邦、グアムを結び、Taihei海底ケーブルは米国、日本、ハワイを接続するとされています。これらのプロジェクトは、地域のインフラを強化し、より信頼性が高く速度の速い通信網を提供することを目的としています。また、Googleはハワイ、北マリアナ諸島連邦、グアムを結ぶインターリンクケーブルの建設にも資金を提供し、この地域のデジタル接続改善に取り組んでいます。

地政学的意味合い

記事によると、ジョー・バイデン大統領は通信サービス業界が世界中の情報の流れを制御しているため、これを国家安全保障上の重要な問題と見なし、米国の通信サービスにおける優位性を推進してきました。米国は昨年、Googleが建設する2本の海底ケーブルに共同で資金を提供することを約束し、これによって米国領土のグアムとフィジーおよびフランス領ポリネシアのハブを接続し、太平洋の遠隔諸島全体にインフラをさらに延長する計画です。

この戦略的な動きは、通信インフラの支配を通じて地政学的な影響力を強化する米国の意図を示しています。海底ケーブルは単に技術的なインフラ以上のものであり、国際政治や安全保障の文脈においても極めて重要な役割を果たします。特に太平洋地域においては、中国との影響力争いが激化しているため、このような投資は地政学的なバランスにおいても大きな意味を持ちます。

経済的・技術的協力

記事によると、GoogleはProa海底ケーブルによって米国、日本、北マリアナ諸島連邦(CNMI)、グアムを接続し、Taihei海底ケーブルによって米国、日本、ハワイを結ぶことを発表しました。さらに、Googleはハワイ、CNMI、グアムを結ぶインターリンクケーブルの建設にも資金を提供することを明らかにしました。この一連の投資により、太平洋地域全体のデジタル接続が大幅に向上する見込みです。

また、Googleはこの地域のデジタル接続を改善するために、KDDI、アルテリア・ネットワークス、フィリピンに拠点を置くシタデル・パシフィック、CNMIなどの日本に拠点を置く企業と協力すると述べました。これは、地域内での技術的な統合と協力を促進し、より広範なデジタルインフラの構築を目指しています。


以上記事をまとめましたが、海底ケーブルは単なる通信インフラ以上の意味を持ち、米国と中国との間で高まる地政学的競争の中で重要な要素となります。この投資は、太平洋地域における米国の影響力を強化し、情報と通信の主導権を握ることに貢献する可能性があります。

MicrosoftのazureがGoogleの海底ケーブルを利用する可能性

Microsoftは9日に、日本でのAIとクラウド強化で4400億円投資を発表したばかりですが、大手テクノロジー企業間でインフラを共用することは、過去にも行われてきました。これは、特に海底ケーブルのような高コストのインフラにおいて一般的です。企業はコストを共有し、より広範なネットワーク接続を確保するために共同で投資することがあります。

例えば、Google、Microsoft、Facebookなどの企業は、海底ケーブルプロジェクトに共同で投資してきました。これらのプロジェクトは、参加企業間でのデータ転送速度を向上させ、より広い地域へのアクセスを提供することを目的としています。企業が共同で海底ケーブルプロジェクトに投資することで、それぞれのネットワーク容量を増やし、全体的なコストを削減することができます。

Microsoftの日本への巨額投資については下記のNoteに詳しくまとめていますので合わせてご覧ください。


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