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【外部大学院入試 合格体験記】一橋大学ソーシャル・データサイエンス研究科修士課程入学試験

2024年度に実施された一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科修士課程(以下SDS研究科)の入学試験に合格しました、@ABC123です。

この記事では私がどの様な受験勉強をして合格をいただくまでに至ったのか、説明をしていこうと思います。
一般的に情報が少ない大学院入試の中でも、SDS研究科は2023年4月に設置されたばかりで、特に情報が少ないです。
本体験記がこれから入学試験を受けられる方々の参考になれば幸いです。

なお、本体験記を読んだ上で読者の方に不利益が生じた場合、筆者は一切責任を負いません。予めご了承ください。


内容は以下のとおりです。

筆者のプロフィール

私は国立大学の情報系の学部に所属しており、GPAは3.1/4程度でした。
学生時代は主に民間企業でのインターンシップを行っていたため、受験勉強を始める前までは特に勉強熱心な学生ではありませんでした。ただ、研究自体に興味があり、学部を卒業した後は院進したいと考えていました。
後述する通り、結果的には自身の出身大学の大学院とSDS研究科の2つの入試を受けて、両方から合格をいただくことができました。

教科別の受験勉強

受験の全体像

2024年度のSDS研究科の入試は以下の要素で構成されていました。

  • 一次選考(書類審査)

  • 二次選考(筆記試験)

  • 三次選考(口述試験)

実際に対策するべき内容としては

  • 研究計画書

  • 筆記試験の選択科目

  • 英語の外部試験

  • 口述試験

の主に4つとなります。

注意点として、SDS研究科はまだ創設されてから日が浅いので、試験内容に頻繁に変更がある点が挙げられます。そのため、本合格体験記の情報が参考にならない場合があります。

研究計画書

個人的にはこの研究計画書の執筆に一番苦労しました。もし受験を検討されている場合は、研究計画書の準備を一番早めに始めることをお勧めします。私の場合は大まかに下記のステップで執筆を進めました。

  1. 興味をもとに自身の研究テーマを大まかに決める

  2. キーワードなどをもとに先行研究を調べる

  3. 先行研究で明らかになっていない点を見つけ、研究テーマに仕上げる

後述しますが、三次選考の口述試験はこの研究計画書についての質問をされるため、可能な限りクオリティを上げることが求められます。私は上記のステップを進めるにあたって、以下のサイトに載っている情報を参考に進めました。特に、2つ目の計算言語学研究室の情報はSDS研究科の小町守教授が書かれているので、とても参考になると思います。

また、研究計画書の直接的な書き方ではありませんが、Dr. MMさんが書かれていた下記の3つの記事も参考にしました。

統計学

SDS研究科の筆記試験では統計学・情報学と社会科学の2つに試験科目が分かれています。私は予め統計学・情報学では統計学を筆記試験で選択すると決めて、統計学のみ対策を行っていました。なお、時間に余裕のある方は統計学・情報学のどちらの対策も行うのも良いと思います。

また、統計学・情報学の試験の特徴として、試験時間が60分と短い点が挙げられます。そのため、本番では詰まることなく問題を解き切ることが求められます。

私は統計学で参考図書に指定されている「現代数理統計学の基礎」を中心に勉強を進めました。具体的には1〜9章までの内容を理解し、例題や各種証明、章末問題を自力で解き切れる様にしました。なお、受験で求められているレベルを超える問題も混じっているので、基本的な問題を優先して進めるのが良いと思います。また、章末問題を解く際は下記のQiitaのページの答案を参考にしました。

なお、参考図書では上記の本の他に「新装改訂版 現代数理統計学」も指定されているので、実際に一度手に取ってみて、自身が勉強しやすい方を採用するのが良いと思います。私の場合はどちらの本も手元に置き、分からない事項が出てきた場合はもう片方の本で調べていました。

注意点として、大学学部レベルの線形代数・微積分の事前知識がない方は他の参考書で事前に勉強しておくことをお勧めします。参考図書の2冊は両方とも数学科で学ぶ学部3・4年〜大学院1年目の数理統計学の内容を扱っているので、線形代数・微積分の知識を抜きに学習を進めるのはあまりお勧めしません。

経営学

筆記試験の社会科学の科目の中では、経済学・経営学・政治学・法学の4つから1つの科目を選択し解答します。私の場合は、研究テーマとの関係から経営学を選択しました。こちらも試験時間は60分なので、本番で詰まることがないように意識しながら勉強を進めました。

具体的な勉強としては、参考図書に指定されている「世界標準の経営理論」と「コア・テキストマーケティング」の内容を暗記しました。その際は以下の点を意識しました。

  • 各理論やテーマの重要なキーワードを覚える

  • 各理論やテーマで主張されている内容・ロジックを理解し覚える

  • 上記の2つを何も見ずに白紙に書ける状態にする

私は情報系の学部に所属していたため、社会科学の素養はほぼありませんでしたが、参考図書がとてもわかりやすく、スムーズに学習を進めることができました。

英語の外部試験

SDS研究科では英語の審査としてTOEFL iBTかIELTS Academic Moduleのスコアの提出が求められています。なお、スコアの提出は出願時期に行うので、早めに受験しておくことをお勧めします。また、どちらの試験でも受験にはパスポートが必要になるので、持っていない方はその取得の時間も考慮する必要があります。

私の場合はIELTSを選択し、OverAllスコアで6.0を取り提出しました。英語の試験は得意な傾向が分かれると思うので、ネット上の模擬試験などを用いて両方を受けた上で、得意な方を採用するのが良いと思います。

なお、取得する必要があるスコアの目安としては、以下のサイトの情報を参考に、TOEFLで79点、IELTSで6.0点付近を目標としていました。(あくまで参考程度にお願いします。)

口述試験

口述試験では何が問われるか分からなかったので、自身の研究計画書を分析して、想定される質問に対しての返答を事前に用意する対策を行いました。また、それらの質問を用いて模擬面接を行い、返答の際に詰まることがないように練習しました。

時系列順の受験対策

1〜3月

この時期は、研究室配属なども始まり学部卒業後の進路について真剣に考え始めました。
ただ、この時点では明確にやりたい研究がなく、自分のぼんやりとした研究対象から幾つかの候補となる大学院を日本の中で探していました。
また、研究室も後々潰しが効くところを選択しました。

4月

4月になると、研究テーマをもとに大学院の進学先の候補を真剣に絞り、受験勉強を始めなければいけない時期になります。
ただ、私の場合はインターンシップの業務に忙殺されており、本来するべき研究テーマの決定や先行研究の調査などを怠っていました。
現在これを読まれている皆さんは同じ失敗を繰り返さないように、研究テーマは早めに決めて動き出すことをお勧めします。

5月

このタイミングでようやく研究テーマが定まり、候補となる研究室が定まりました。結果的にSDS研究科・出身大学の大学院・滋賀大学データサイエンス研究科の3つに候補を絞り、対策をし始めました。まず英語の試験に集中をして、5月末にIELTSで目標スコアを取得することができました。

6月

定めた研究テーマをもとに研究計画書を執筆し始め、研究室訪問を行いました。研究室訪問では希望する研究テーマを実施できるかの確認や、研究室の雰囲気・相性を確かめるために非常に重要です。SDS研究科の教授陣は、事前にアポを取れば訪問できる方が多いと思うので、可能な限り訪問しておくことをお勧めします。場合によってはオンライン上でのコンタクトも可能だと思うので、遠方の方も諦めず一度メールを送ってみてください。

この過程で、設定した研究テーマがすでに解決されていたことがわかり、6月の下旬に研究計画が白紙に戻りました。この時点でかなり精神がボロボロになりましたが、めげずに研究テーマを設定し直し、再度先行研究を調べ始めました。最終的には他のテーマで研究計画を再設定し、先ほどの3校をそのまま受験するに至りました。ただ、研究計画書の執筆は出願前ギリギリまで続きました。

この月から筆記試験の勉強を本格的に始めました。統計学・経営学共にまずは内容を把握するため、指定された本を1周読み、その後各章の演習等を始めていきました。加えて、昨年度に出題された過去問を分析し、どの様な内容が問われているのかを分析しました。

7月

新たに研究計画書を書き上げ、別の教授の方へ研究室訪問を行いました。そして、研究計画書の大枠が完成し、身の回りの方に読んでもらいながらアドバイスをもらい、それをもとにブラッシュアップする作業に入りました。その際、専門外の方にも読んでもらい、どの様な人が読んでも理解しやすい研究計画書を書く様に心掛けました。

筆記試験の勉強としては、6月にやった内容を復習する形で教科書の内容の理解に努めました。この時期は自身の出身大学の受験勉強も並行して行っていたため、かなりしんどかった記憶があります。

8月

8月に入り、やっと研究計画書が完成しました。ここまでに割いた時間としては筆記試験の対策と研究計画書の執筆で1:1程度でした。

筆記試験の勉強では本格的に演習に入りました。一通り問題を解きながら、できなかった問題を重点的に復習していました。更に、試験本番を想定してスピーディーに答案を作ることを意識していました。

この月に、出身大学の入試があり、無事に合格をいただけました。

9月

9月上旬に実施される筆記試験の対策をひたすら行なっていました。新しい問題などには手をつけず、今まで解いてきた問題の復習に努めました。

筆記試験が終わった後は、一度休んだ後に口述試験の対策を行いました。

10月

10月6日に無事にSDS研究科から合格をいただけました。
なお、滋賀大学のデータサイエンス研究科の試験は10月下旬に出願予定だったので、出願せずに終了しました。

試験本番の内容

執筆日が試験本番からかなり後のため、内容が不正確な場合があります。予めご了承ください。
公式サイトに2024年度の過去問が掲載されていました。(2024/4/26追記)

統計学

昨年の傾向と同様に、大問が2つありその中から問題を選択する形式でした。
1つ目の大問は、前半が単語の定義を説明する問題で、以下の8つの項目から4つを選択して回答する形式でした。

  • ガウス・マルコフ定理の説明

  • 中心極限定理の定義

  • 繰り返しの期待値の定義

  • 分布の無記憶性の定義とその具体例の説明

  • 推定量の不偏性・一致性・有効性の定義

  • 第一種の過誤と第二種の過誤の定義

  • 決定係数の定義

  • あと1つは忘れてしまいました、、、

後半は、与えられたグラフから情報を読み取り考察をする問題でした。前半は対策をしていたため、ほぼ完答することができましたが、後半は参考書などでもあまり見たことがない形式だったため、ほぼ解くことができず、無理やり回答を埋めました。
2つ目の大問では、3つの問題から1つを選択する形式でした。
私は1つ目の問題を選択し、以下のような内容が問われていました。

  • ベイズの定理の証明

  • ベイズの定理を用いて確率を求める

  • マルコフの不等式の証明

  • 大数の法則の証明

これらの内容は対策を十分にしたので、ほぼ完答することができました。他の2つの問題については、ほぼ見なかったので内容は覚えていません。
全体としては、6-7割くらいの得点だったと思います。
結果的に、定理の証明や単語の定義を問う問題が多く、教科書の章末問題のような内容の問題はほぼ出てきませんでした。ただ、単語の定義やその使い方についての理解が深まったので、やって良かったと感じています。また、全体を通して解ける問題を素早く見極めることが求められていました。

経営学

経営学では2つの大問があり、すべての問題に回答する必要がありました。
1つ目の大問では、「両利きの経営」についての問題で以下の内容を問われました。

  • 両利きの経営について「知の探索・知の深化」というワードを用いて説明する(300字)

  • 両利きの経営を時間・戦略・組織の観点から具体例を用いて説明する(400字)

この大問は対策をしていたため、ほぼ完答することができました。
2つ目の大問では「SWOT分析」についての問題で、以下の内容を問われました。

  • SWOT分析についてそれぞれの頭文字を明らかにした上で説明する(400字)

  • SWOT分析を実際の企業を取り上げて行う(400字)

これらの問題についてもほぼ完答することができました。
経営学全体としては、8〜9割程の得点を得ることができたと思います。

口述試験

口述試験では、3人の試験官(SDS研究科の教授陣)から、研究計画書に書いた内容について一通り聞かれた後、それぞれの項目について深掘りをされました。深掘りの内容としては、理由や経緯などを主に聞かれました。
ただ、2回ほど回答に詰まってしまい、試験の最後に「〇〇のような回答をするともっと良かった」とアドバイスをいただいたことから、試験の出来はそこまで良くなかったと思います。正直、試験直後は落ちたと思いました。

また、服装はスーツで受けられている方が多い印象でした。私も変な心配をしたくなかったため、スーツで試験に向かいました。

参考にした他の方の体験記

私が受験の際に実際に参考にした他の方の体験記等のリンクを掲載させていただきます。

最後に

長くなりましたが、以上が私の合格体験記になります。4月の時点では、研究テーマも決まっておらず、受験科目の知識もほぼなかった状態でしたが、沢山の人に支えられて、根気強く勉強を続けたことで合格するとこができました。

ここまでお読みいただきありがとうございました。受験勉強頑張ってください。応援してます!


もし質問や気になる点などがある場合は、コメントかnoteのお問い合わせから連絡いただけると幸いです。(研究計画書の添削は行なっておりません。あらかじめご了承ください。)


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