「マングラ」にて
小学校の頃の話である。多分4年生くらいだ。
私は、割と外で遊ぶことの多い活発な子供だったと思う。
外で遊ぶ際には、決まった公園で友達と遊ぶことが多かった。
「マングラ」
と呼ばれる公園には、毎日のように遊びにいった。
「マングラ」とは、小学校の近所にある比較的大きいマンション(13階建の集合住宅)に付随して作られた公園であることから、マンショングラウンド、の略で、
「マングラ」と呼ばれていた。
誰が「マングラ」と言い出したかは定かではなかったが、子供達の間では愛称は定着しており、
「学校終わったらマングラ集合な。」
といった具合で、遊びの約束を取り付けるのが常であった。
「マングラ」では、まあ、普通の小学生がよくやる遊びをしていたと思う。
ゴムボールでの野球、サッカー、鬼ごっこ、ブランコ、ジャングルジム、当時流行だった遊戯王、ベイブレードなど。
特にこれといって特徴的な遊びをしていたわけではなく、世間一般の小学生がやるような遊びをしていたと思う。
唯一この公園が特殊と言えるのは、この公園は、マンションに付随して作られている公園だと言うことだ。
それは、例えば、10人くらいで探偵をしたとすると、(一般的にはケイドロって言うらしい)
そのバトルフィールドは公園に留まらず、13階建の大きなマンション内全てが遊び場となる。
これによりただの探偵(ケイドロ)が、脚力比べに留まらず、エレベータ・階段を駆使した、「総合戦略型鬼ごっこ」へと昇華していくこととなる。
マンションの住民からすれば、迷惑この上ないが。
ちなみにこの頃、私自身もテクニックの開発には余念がなく、例えば鬼に追いかけられているとして、廊下の曲がり角にくると、急ブレーキし、鬼の死角となる曲がり角ギリギリに待機する。
追いかけてきた鬼が、曲がり角で私に気付いても、勢いをつけて追いかけてきている為、オーバーランしているうちに、元の走ってきた方向へ素早く戻るという、撹乱戦術を用いていた。
これは、当時読んでいた漫画忍たま乱太郎に描かれたものを、そのまま実践的に使用していたのだが。
(この頃から、狡い戦術を多用していたようだ。小賢しい限りだが。)
ここで起きた思い出話を一つ。
この公園には、併設のトイレがなく、トイレをするには、300mほど離れたコンビニに駆け込むしか無かった。
小学生の中には、まだ人生経験が足りていないせいか、己の限界を知らず、コンビニにたどり着く前に、あえなく放水してしまう者もいた。
ある奴が、探偵(ケイドロ)中に尿意をもよおしたらしいが、たまたま、その時は、マンションの最上階13階の廊下にいた。私とそいつは泥棒として探偵から逃げている最中のことである。
最寄りのトイレは、13階から1階に降り、そこから300mほど離れたコンビニまで行かなくてはならない。
距離としては少し遠い。
「俺、ここでやるわ。」
「えっ?」
そいつは、徐にズボンを下ろし、(小学4年生ですので。。) マンションの13階の廊下から、下の中庭の駐車場(1階)に向かって、放水し始めた。
遠くの方で、車の上に水がかかる音がしたような
しなかったような。。。
なんて奴だ。
マンションの13階から立ちションするやつは、後にも先にもそいつしか見たことがない。
13階からの見晴らしは、彼にはどのように映ったのだろうか。
気持ちよかったのだろうか。
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