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ついに実現!養育費受領率の政府数値目標が導入されました。

画期的な一歩が刻まれました。

本年4月25日、小倉将信・内閣府特命担当大臣のリーダーシップの下、ついに政府による養育費受領率の数値目標導入が実現しました。いまだに不払いの多い養育費の問題について、政府としては初めての具体的な目標設定となります。一昨年の初当選以来、自民党のひとり親議連の養育費PT事務局長として最重要テーマに位置付けて取り組んできた政策課題の一つが、こうして実現したことに深い感慨を覚えると共に、お力添え頂いた皆様に心から感謝したいと思います。

「希望する全てのひとり親世帯が養育費を受領できるようにすることが重要であると いう認識の下、まずは 2031 年に、全体の受領率(養育費の取り決めの有無にかかわらない受領率)を 40%とし、養育費の取り決めをしている場合の受領率を 70%とするこ とを目指す。」

養育費受領率の達成目標について」2023年4月25日

この機会に改めて、養育費問題の意義とここまでの経緯について簡単に振り返りたいと思います。

ひとり親等世帯に冷たい国の現状

あまり知られていませんが、日本では、ひとり親家庭の貧困率が48.3%に上ります。これはOECD36カ国の中でも35位と国際的に見ても極めて低い水準であり、日本よりも貧困率が高いのはコスタリカ一国となっています。その一因と考えられているのが、養育費の受領率の低さであり、昨年11月に発表された最新の統計でも28.1%にとどまっています。養育費が確実に支払われることで、子どもたちの生活の安定や教育環境の向上が期待でき、将来の貧困の連鎖を断ち切る可能性が広がるのではないか。弁護士時代に関わった離婚事件への対応などの経験からこうした問題意識を強く持つようになりました。

ひとり親等世帯の貧困率の推移

2021年に弁護士から国会議員に転身し、自民党・ひとり親議連の永岡桂子会長や森まさこ首相補佐官にこうした問題意識について相談したところ、すぐに議連の中に養育費プロジェクトチーム(PT)を立ち上げてくださり、事務局長を拝命しました。調べてみると、諸外国では養育費を払わなければ刑罰の対象となったり(米国)、政府が母親に代わってとり立てる(韓国)ような制度が存在しています。ところが、日本では養育費不払いは基本的に当事者同士の民・民の事案として扱われます。地元で勉強会などをしても、「弁護士に相談して裁判をするだけの余裕なんてありません。」と諦めに近い当事者の声を何度も聞きました。

ひとり親の皆様との勉強会を重ねる

もう一つ対応を難しくしていたのが役所の縦割りの問題でした。ひとり親対策は貧困対策を扱う厚労省、家族関係を扱う法務省、男女共同参画やこども政策を扱う内閣府の3つの省庁にまたがり、多岐にわたる政策メニューが用意されているものの、政策遂行の責任の所在が曖昧だと感じました。こうした役所の縦割りを乗り越えるためにはどうすればいいか。色々な方に相談して着想したのが、政府としての養育費受領率の数値目標の導入でした。


数値目標導入に向けたこれまでの歩み

まずは昨年2月にひとり親議連としての提言をまとめ、関係省庁と個別に協議してみましたが、どこも「うーん、、」と難しい顔。仕方ないので同年4月20日に厚生労働委員会で質問に立ち、与党議員の立場ながら「受領率に関する政府目標を立てるべきではないか」と政府に迫りました。しかし、こちらも残念ながら実質的には無回答でした。

「委員御指摘のとおり、養育費の支払い確保のためには、取決め率の向上だけではなく、その受給率を向上させることが重要であると考えられるため、引き続き、一人親家庭の支援を行う関係府省庁とも連携しながら、養育費の受給率向上に向けて様々な取組を進めるとともに、厚生労働省の行っている全国ひとり親世帯等調査の結果を注視してまいりたいと考えているところでございます。」

2022年4月22日厚生労働委員会 堂薗政府参考人答弁 詳細はこちらから

そこで舞台を変えて、5月13日の自民党の女性活躍推進特命委員会にて、数値目標導入を訴え。島尻安伊子事務局長をはじめ役員の皆さまの温かいご理解と後押しもあり、党の正式な政策提言に取り入れて頂きました。そして、昨年6月3日に発表された政府の「女性版骨太の方針」とも呼ばれる政府の「女性活躍・男女共同参画の重要方針」において、数値目標を定めることが発表されたのでした。

具体的な数値基準がどうなるのか。最新の全国ひとり親等世帯調査報告の結果を待ちながら役所側と協議を重ねて参りました。今年4月にこども家庭庁が設立され、こども関係の政策遂行の縦割りを解消するための組織的な基盤が整いました。そしてついに、最新の統計結果を踏まえ、小倉将信大臣から2031年までに40%という具体的な数値目標が発表されるに至りました。

目標達成の前倒しに向けて更なる取り組みを

今回の数値目標には、過去の受領率の増加トレンドを加速する政治的意思が込められています。当初はより保守的な目標が検討されていたのを、小倉大臣の政治的なリーダーシップでなんとかここまで引き上げたとも側聞しており、政治家の役割の大きさを改めて感じています。数値目標の導入は、政府が責任を持ってひとり親支援に取り組む姿勢を示すものであり、養育費の受領率向上に向けた政策や法整備が進むことが期待されます。

「養育費受領率の達成目標について」2023年4月25日

ひとり親家庭の厳しい現状に鑑みれば、更なるスピードアップを求める声もあるかもしれません。議連の活動などを通じて、数値目標をさらに前倒しして実現できるよう、関係者の皆様と連携しこれからも取り組みを進めてまいります。

特に現在議論中の民法改正や、法テラスによる支援の充実など、具体的な議論の進展が期待できる政策がいくつかあります。私一人ではとても解決できない問題ですが、養育費問題への理解と関心が一層深まることで、子どもたちや保護者が安心して暮らせる社会に近づいていくと信じ、取り組んで参ります。

「政治の世界では、しつこいことは美徳よ」

と励まし続けてくれた議連会長の永岡桂子先生をはじめ、幹事長の金田勝利先生、事務局長の丸川珠代先生ほか、ご理解、お力添え頂いた大勢の皆様に心から感謝申し上げます。

これからもご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

議連の丸川たまよ事務局長と小倉大臣を訪ね、ひとり親支援をお願い(2022.11)

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