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「おすすめの本」など存在しない

本は読むのは好きですが、「おすすめの本」を誰かに聞くことは少なくなりました。その心を綴らせていただきます。

目的の違い

例えば、坂本龍馬に興味を持ち、「おすすめの本」を知人に聞くとします。

坂本龍馬の「人柄」に興味を持ったのであれば、伝記がよいでしょう。しかし、知人が坂本龍馬の「業績」に関心を持っているのであれば、歴史書を勧められるでしょう。

同じ題材にしても、興味の持ち方によって「おすすめ」は異なります。

前提知識の違い

例えば、知人から福沢諭吉の「学問のすゝめ」を勧められるとします。

明治初期に書かれた本なので、当時の社会情勢を理解した上で読む必要があります。明治政府に変わって西洋化は進んでいましたし、アヘン戦争以降の中国大陸における国際情勢も不安定になっていました。

私自身、「有名な本だから」という理由で手に取ったものの、当時の社会情勢に疎かったため著者の意図が汲み取れず読み進める気になりませんでした。最近になって歴史を学び直したのですが、「明治初期における福沢諭吉の思想」を知りたくなり、同書を再び読みました(読了しました)。

学友なら前提知識も共有しているかもしれませんが、勧めてきた相手が博識の場合は要注意です。本を勧められたら「どんなところが面白いと感じたのか」を教えてもらえばいい気がします。興味はあるけど前提知識が足りてなさそうだなと思ったら、今すぐに読むべき本ではなさそうです。

話題の書籍について

書店やAmazonで売り上げ一位の本は話題になります。漫画や小説など娯楽目的の本なら読んでもいいと思います。

しかし、専門書については自分に前提知識が備わっているか注意する必要があります。トマ・ピケティの著書のように、経済学などの本も話題になりやすいですが、自分に取って「今」読む価値があるかは一考するようにしています。

また、タイトルが気になる専門書があっても、レビューや目次などを読んで興味がわかなければ、前提知識が適当ではないと判断しています。

おわりに

全く未知の分野について知りたい時は、調べ始める緒として「おすすめ」を紹介してもらうのもアリだと思います。ただ、「今の」自分にとって読みたい本は、自分が一番よくわかるのではないかと思っています。

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