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【40】主人公の信義に自らの生き方を問われる『検事の信義』柚月裕子
信義という言葉を使う機会はなかなかない
信義とは「真心をもって約束を守り、相手に対するつとめを果たすこと」
当たり前のようで、なかなか重みのある言葉だ
佐方貞人シリーズ4作目となる『検事の信義』
検事である佐方の信義がわかる4つのエピソードからなる短編集
繰り返し佐方が口にする「罪はまっとうに裁かれなければいけない」というのが信義の1つであろう
検事である佐方は「人を裁く」ことはできない。それは裁判官の役割だから
一般人からすると法曹界はみなが「信義」があるかのようなステレオタイプを持ってしまうが、そうではないのだろう
どんな業界・世界にも信義を持ち、行動する人間とそうではない人間にわかれる
フィクションの世界だが、自分にも信義と言えるものがあるか、問われているような気持ちになった
加えて印象に残ったのが
「事実は真実ではありません」という佐方の言葉
誘拐された少女と生活を共にした大学生の特別な関係を描いた『流浪の月』と共通するテーマだと感じた
事実を明らかにするだけが正義ではない
その奥にある人間の心理を理解してこそ価値がある
○読書については以下の投稿で書いています
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