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【74】Googleのプロダクトデザイナーが実験した87の戦術『時間術大全』ジェイク・ナップ他

Googleでgmailやyoutubeのプロダクトデザイナーだった著者が、時間を生み出すために実験した戦術を紹介しています。スマホ利用時間が長くなっている人、そもそも利用時間を把握していない人にはとても参考になると思います

実験思考とテクノロジーへの深い理解が特徴

本書が世の中に数多く存在する時間術の本と大きく異なるのは、新しいテクノロジーを活用したサービス開発・改善の手法(実験)が持ち込まれていることだと思います

例えば、youtubeなどのサービスはいかに多くのユーザーが夢中になるかが重要です。そのための数多くの実験(連続して再生するようなページのデザインやグッドボタンの配置など)をしつつ、良い効果が得られたものが新たな仕様として定着します

本書では、時間術に対して同様のアプローチが取られており、著者が実験して効果が得られた戦術が紹介されています。注意すべきなのは、万人にそのままフィットする時間術はないため、戦術を参考にして読者自身が実験を通じて「時間術」を作り上げるプロセスが必要になります


もう一つ本書の特徴をあげると、著者がプロダクトデザイナーとして事業に携わってきたためgmailやyoutubeなどアプリケーションの危険性を誰よりも理解していることです。それらは人類の長い歴史の中で培われてきた本能を刺激するように設計されています。これに抗うのはとても難しいことを前提としているため、実験されてきた戦術は実現可能な内容になっています

時間術の全体像としては、「4つのステップで毎日実験すること」を推奨しています

①ハイライト:毎日「最優先事項」を選ぶ
②レーザー:気を散らすものを遠ざけて集中する
③チャージ:体を使ってエネルギーをチャージする
④チューニング:①~③の振返りメモをつくりシステムを改善する

これらの具体的な戦術として本書では87つ紹介されています。難しいものから簡単なもの、また真面目なものからちょっとふざけたものまであり、楽しみながら実験することができる仕掛けになっています

本書を読んでから実際に「実験」している戦術は次のとおりです

①ハイライト:毎日「最優先事項」を選ぶ

ハイライトでは、16の戦術が紹介されていますが、「戦術1:紙に最優先事項を書く」、「戦術8:ハイライトを予定に入れる」は取組みやすく効果が得られていると感じています。とても単純な戦術ですが、最優先事項を紙に書き出したうえで、何時からどれくらい時間をかけて取り組むかをgoogleカレンダーに入力しています。実際には予定通りにいかないこともありますが、後述するレーザーの戦術と併せて取り組むことで、意識的に最優先事項の時間をつくることができるように感じます

②レーザー:気を散らすものを遠ざけて集中する

レーザーでは34の戦術が紹介されています。現代の時間泥棒になりうるスマホやメール、テレビとの付き合い方など。SNSやニュースサイトなど気付いたら1時間くらい経過してしまうものは、ここで紹介されている戦術がとても役に立ちます。実験しているのは「戦術18:ログアウトする」「戦術19:通知をオフにする」「戦術23:朝の巡回をやめる」など。もとからSNSはほとんど使っていませんが、情報収集用のtwitterは使い終わったらログアウトすることで無意識にチェックしてしまうことを防げています。また、Lineやメールの通知をオフにすることで、通知によって集中が途切れることを減らせています。さらに、朝起きてからニュースサイトの巡回などルーティンになっていたことをやめて、朝起きてからしばらくスマホを触らないことを習慣としています

③チャージ:体を使ってエネルギーをチャージする

チャージでは27の戦術が紹介されています。カフェインの有効活用や食事や睡眠、運動など生活習慣を見直す実験です。「戦術75:カフェインの門限を決める」「戦術83:寝室を寝る部屋にする」などは特に効果があると思います。カフェインの体内での半減期が5、6時間であることを踏まえて、1日2杯までを午後2時までとすることが自身の体質には合っていることがわかってきました。また、寝室にスマホを持ち込まず、一定の時間になったら部屋の明かりを暗くすることでスムーズに入眠できるようになってきています

④チューニング:①~③の振返りメモをつくりシステムを改善する

チューニングでは、①~③の戦術が自分の生活に効果があったかどうかを振り返る機会になります。良いものは続けて、良くないものはやめるか、やり方を変えるという極めてシンプルなものです。google keepなどメモアプリをつかって記録することで、どの戦術が自分にフィットしているか認識することにつながります。このメモではその日にあった感謝を併せて記録することで、記録すること自体を継続しやすい工夫も気に入っています

最後に

まだまだ初期段階ではありますが、実験を繰り返すことで良い習慣(時間術)を身につけるヒントが多く得られる本だと思います。スマホの利用時間が長い人やシステマチックに生活習慣を改善したい人にはとても参考になると思います

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