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商店街とは(3) 商業の集積

大阪で元気のある商業集積

商店街でないところが元気

商店街に元気がないと言われて久しいですが、それでも若者が集まって、元気が出てきている商業集積は大阪には結構あります。

  • アメリカ村・堀江

  • 中崎町

  • ウラなんば

  • 福島

  • 天満市場

  • 蒲生四丁目

  • 中津

  • 十三

  • 九条

  • 寺田町

共通しているのは以下の要素です。

  • 中心駅から1駅離れたところ

  • 歴史、風俗面の問題があり、避けられていたところ

  • 小さい店舗(箱)があるところ

  • アーケードがないところ

上記の要素があるところは家賃が安くて、魅力のある店舗ならお客を呼ぶことができます。結果として、やる気のある人が集まりやすくなります。

どれも既存体制の商店街ではなく、補助金も特別活用していません。一方で、マスメディアへの露出だったり、魅せ方は上手です。

結局、補助金ではなく、魅力と発信力のある店舗を作れば人も集まるし、利益も確保できます。商店街としてのソフト事業もハード事業も必要ないわけです。

元気な商店街の現状

大阪でも心斎橋や天神橋など、元気な商店街はありますが、基本的には大阪市の中心街であり、住宅もオフィスも存在していて、交通至便の場所なので、一般的な商店街とは違っています。

外から見て、お客さんの多い元気な商店街には個人店舗はほとんどなくなっていて、チェーン店が中心になっています。そして地元資本ではなく、東京資本、海外資本が中心になります。

チェーン店の店長はサラリーマンですし、商店街活動を担う余裕はなく、商店街としてハード整備以外はほとんどしなくなります。

結局、商店街組合は設備管理者となってくるので、一般的な商店街とは全然違う状態です。

商業集積がそもそも必要なのか

技術環境の変化

商業集積は過去の環境では必要でした。
ただ、技術革新が進んだ今の時代に商業集積は必要かは疑問があります。

影響の大きい技術変化は以下の3つです

  • 車(まとめ買いが可能になった・商圏が広がった)

  • 冷蔵・冷凍(まとめ買いが可能になった)

  • インターネット/スマホ(通信販売が可能になった)

また、消費者側だけではなく、販売者側の改善も大きいです。

  • 管理システム(大規模店舗の管理が可能になった)

  • 建築能力向上(大型店舗の建設が可能になった)

  • 物流システム(多品種の調達・販売準備が可能になった)

実際に50店舗の商店街全体より、1店舗のスーパー・コンビニの方がお客さんが多いなんていうことは多々あるわけです。

出典:中小企業庁「商店街実態調査報告書(令和4年3月)」https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/download/220408shoutengai02.pdf

結局、梅田に買い物に行こうというのと同じ感覚で、ライフに、ユニクロに、コストコに買い物に行こうとなるわけです。

消費者は商業集積を求めているわけではなく、商品を求めているので別にどこで買い物してもいいんです。もちろんネット通販でも。

出典:総務省「情報通信白書(平成28年)より抜粋」
出典:総務省統計局「家計消費状況調査2022年ネットショッピングの状況」より抜粋

消費目的の変化

前述の技術革新に加えて、消費者に生活の余裕も出たこと、SNSをはじめとした情報拡散などで、何時間も待つ人も出てきました。

行列は昔からありますが、得をするから、おいしいものを食べるというより、今は人気になっているその店でご飯を食べている自分をSNSでアップしたいという承認欲求を満たすためと変わってきています。

商業集積のメリットはあるのか?

商業集積は一か所/一地域で便利に選んで、買い物や飲食ができるというメリットはありますが、人気のある店舗は偏ります。

一か所に集まっていると言っても、決済は複数回しないといけないし、何店舗も回らないといけないというのは不便です。

また、特定の店舗に何時間もかけて、行く人も出てきているわけで、その人たちには他の店舗なんて存在していないのと同じなわけです。

過去においては駅、寺社仏閣、工場と相互依存の面は間違いなくありましたが、現在は商業集積がおんぶされる状態になっていることが多いと思います。

駅に商業集積があることで、遠方から電車を使って買い物に来てくれるということもありましたが、商店街に力がなくなってしまっている状態だとマンションになってくれた方がいいというのが本音でしょう。

商店街は商業集積になっているのか

空き店舗状況

そもそもすでに商店街が商業集積となっているのかも疑問です。空き店舗が多数存在してしまっており、商業集積としての価値を生み出すことはできていません。パーセントはわからないですけど。

出典:中小企業庁「商店街実態調査報告書(令和4年3月)」https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/download/220408shoutengai02.pdf
出典:中小企業庁「商店街実態調査報告書(令和4年3月)」https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/download/220408shoutengai02.pdf

商店街は地域全体の店舗を管理しているわけではないので、空き店舗への対応は不可能に近いです。イオンモールなどのモールだと、空き店舗部分ができれば、休憩場や子供の遊び場にしたりという対応をしています。

商業集積に求められること

過去における一般的な商店街は普段の買い物をする場所なので、最寄り品を品揃えしておけばよかったというところがあります。いまだに、物販店が一番偉い立場だという考え方の商店街もあると聞きます。

一方で、買い物環境として、商店街はほとんど整っていません。アーケードがあっても、駐輪場・駐車場もありませんし、トイレもありません。(あるところもありますが、少ないです。)

コンビニでもトイレもありますし、駐車場・駐輪場も整っています。

消費者を集めるための施設、商業集積に必要な施設が整っておらず、店舗が集まっているだけというのは時代の変化対応不足でしょう。

トイレは非常にコスト、心身への管理負担がかかるのと、駐車場・駐輪場はスペースが確保できないというのが理由ではあるのですが・・・

まとめ

そもそも、商店街という商業集積にこだわって、行政が支援をするという考え方が20年以上古いというのが実際のところだと思います。

経営者の年齢も相当に上がってきていて、昔ながらの商店街組合というものは維持できません。

消費者はワガママですし、商店主もワガママです。それでいいと思いますが、行政については、地域と商業集積の考え方は変えていった方がいいと思っています。



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