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中小企業診断士と成功事例

成功事例がみんな好き

セミナーアンケートによく書かれるのは「成功した事例を教えて欲しい」ということです。

なので、私がセミナーをするときはできるだけ事例を入れ込んでみるようにはしています。評価は凄く気になる性質なので。

中小企業白書でも、事例はたくさん紹介されています。

ただ・・・、事例というのは良くも悪くも恐ろしいものだと思っています。

特に成功事例を免罪符として使うことを目的として使う場合は、問題だと思っています。

もちろんアイデアを考えるときだったり、お客さんと話をするときに、事例をネタとして使うことはありますけど、そのものズバリを使うことはまずありません。

成功事例には環境の理由がある

成功事例を聞くのは楽しいですし、非常に参考になります。
やり方を真似ればうまくいくと考える人が多かったりします。

ただ、実際には成功事例には環境があります。成功させた人は様々な環境のことを考えて、取り組みをしています。

事例を導入するとなった場合においても
内部環境である組織の人員、体力も違っていますし、
外部環境も、マーケティングの4Pの視点は全て違っているはずです。

全然、無視して成功事例だからということで、「二匹目のドジョウ」を狙ってやってしまう人は多かったりします。

タピオカ屋、白いたい焼き、高級食パン、細いモンブラン含めて、真似してやって失敗してしまう人が多いですし。
(早期回収、早期撤退を意識してやっている人もいますけどね。)

事例を勉強することは大事だけど・・・

コンサルタントとして、全く事例を知らないというのは勉強不足だと思いますし、事例を勉強するのは大切です。私自体も経営史だったり、経営者の本なんかを過去にはたくさん読んできました。

ただ、事例については深く研究することが必要だと思っています。軽く知っているだけで使うのは失敗の原因になると思います。

今はネットで、成功事例の詳細を調べるのは簡単になっています。もちろん現地に行ったり、周辺情報も含めて調べるのが一番効果的ですけど。

ただ、成功要因というのははっきりとわかりません。セミナーで紹介された内容を聞くぐらいでは全然わからないはずです。
重要な成功要因についてはKSF(キーサクセスファクター)といったりもしますけど、普通は一つだけじゃないですし。

そのため、成功事例は中々に再現性がありません。
特に人が最大の問題になります。
成功した案件には本気で考えて取り組んだ核となる人が存在します。

どんな事例も「行動している」ことだけは共通しています。
一方で、事例を聞きたいと簡単に言う人には「行動する」が足りない場合が多かったりします。

恐れずに自分で事例を作っていこう

前述の通り、事例はみんなが欲しがるものですし、だからこそ凄い武器になります。

そんな中で診断士としての価値を上げていくためには自分で成功事例を作ることが大切ですし、事例が作れると仕事が楽しくなってきます。

そして事例を作るためにはやっぱり本気でコンサルティングをしていくのが一番の方法だと私は思っています。

ただ、中小企業診断士としてコンサルティングをしていくと、成功することも失敗することもやっぱり出てきます。

これは新人の時も、ベテランになっても一緒です。

私だってできるだけ、失敗はしたくないですし、だからこそ必死に取り組むんですが、100点満点のコンサルティングなんてできるものじゃないです。

自分で100点と思っても、他の人から見たらダメと思われることもありますし、昔の自分の報告書を見るとかなり残念なものだったりします。
(コンサルティングに絶対的な100点というものは存在しません。1000点があるかもしれませんから。)

それでも、中小企業診断士として生きていく上では打席に立っていくしかないですし、打席に立って初めて、検証ができるようになります。そして検証をして、はじめてコンサルティング事例になってきます。

そもそも100点じゃなくても、十分に成果を出すことはできますし、実際にやってみるとたくさんの気づきが出てきます。もちろん、失敗だって失敗したという大切な事例になります。

私の100点じゃない支援でも、利益に繋がったりもしていますし、たくさんの企業さんに喜んでもらっている・・・ハズ。

そして自分が体験して作った事例は凄く大きいものになります。気付いた要素や要因は1時間あっても話しきれないぐらいの濃いものです。

もちろん自分で体験した事例を話すと説得力は間違いなく強いですし、色々な質問をされても、全然対応できます。

そして、次の支援の際に事例として身に着けたノウハウを使うと、支援自体の効果を高められるのはもちろん、事例をもっと磨き上げることもできます。

この記事を書いた理由

セミナーのアンケート結果の感想を見ていて、事例の話をして欲しいという意見が多かったので、ちょっと腹が立って。(別に自分がやったセミナーじゃないんですが・・・)

そして、他人に答えを求める、事例に頼るということが、診断士には合っていないということをずっと思っていたので。色々な事例を勉強しないでいいってわけじゃないですけどね(笑)

あとは手を上げない人が多いという話を聞いたことも一つの理由だったりします。

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