いち中小企業診断士が感じる地方創生
政府の体制が変わり、予算が増える
石破首相に決まり、地方創生の交付金の倍増を目指すというニュースが出ています。
予算が倍増するなどの話になっていますが、増えたところで効果がないだろうと考えています。
これは商店街支援や観光支援を実施している立場から見ると、地方創生がいかに難しいかを感じているからです。
予算が増えることの功罪
地方は予算がありません。予算が増加することはいいことだとは思います。
ただ、ほとんどの予算はひも付きです。
「●●をするから、その分の予算をみてあげます」というものですね。
補助金支援はこの形です。
そして令和6年の予算の中身としては以下となっています。
本来必要な「人材の育成」や「人の流れの強化」というところの予算は実は削減傾向になっていて、ソフトウェア活用が一番大きいです。
ソフトウェアも地方自治体のシステム更新費用がほとんどなので、現場に落ちるお金は少ないです。
もちろん予算が付けば、その分仕事が増えるので、人が足りなくなるという問題も発生します。できる人ほど仕事が振られやすいですし。
地方の人材の枯渇
地方には人材がいません。私が住む大阪ですら優秀な人は東京・海外に行ってしまいます。私の友人も東京・海外がほとんどです。
そして、変化をしたくなるエネルギーのある人材は地方にとどまるわけはありません。
東京が仕事・収入、生活環境、行政サービスの全てにおいて最も有利ですし、やる気があるなら、東京に行くという選択肢しかありません。
(大阪に居ながらこういうことを書くのもどうかと思いますが。)
そうなると地方には変化できない人だけが残ります。
高齢化も相まって、どうにもならないのが現状です。
変化できない人しかいない町についた予算は?
変化できない人しかいない町は、何にも動きません。ひも付き予算は自分たちで使うことすらできません。
結局、事業の全部を東京の広告代理店やコンサルに委託することになり、お金は東京に流れていきます。
事業についても、見た目は綺麗ですが、お金を稼ぐ効果は弱く、地域が継続的に儲かる形にはなりません。
仮に事業がうまくいき、大人気になれば、東京資本が参入して、地域資本が駆逐されるという状況になっていきます。
中小企業診断士にできることはないのか?
中小企業診断士として仕事をしている中で、地方に対してできることは多数あると考えています。対企業でも、対行政でも。
プロジェクトマネジメント能力を生かすこともできますし、事業の採算性改善や広報・広告宣伝にも可能性があると思っています。
ただ、東京に居ながらにして、ビデオ会議を使って軽くやりたいというのは難しいです。現地に行って雰囲気を見たり、現場を確認していくということは絶対に必要です。
経験が浅い中で、週末コンサルみたいな気持ちで行くと、絶対にうまくいかないです。
まとめ
地方創生という言葉は誰も反対しないので、使いやすいのはわかりますが、実際には不可能です。
一番大切なことは下の内容ですが、全てが既に弱っているので難しいです。
地域の儲ける力を高める
地域資源を含むサプライチェーン、バリューチェーンを作る
現場のリーダーを確保する
今回はちょっと偉そうなネタになりましたが、別に政治がどうこうという話ではなく、鳥取で現地の人と話をしたり、現場を見てきた中で感じることを書いてみました。