【映画】ティム・バートン 『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』

★★☆☆☆

 約1年ぶりに映画を観たので、せっかくだから感想を書いておきたいと思います(『ファイト・クラブ』前に観ました)。

 僕は本当に映画を観ないんです。だいたい1年に1本くらいしか観ません。それも映画館で観る/家で観るを問わず1本です。
 この話をすると、たいてい驚かれます。僕はふつうに生きてるだけなのですけども。
 そんなわけで、本作ももちろん今年初めて観た映画です。もう11月なのに……。

 結論からいうと、あんまし面白くなかったですね。映像的な面白さはあるのですけど、いかんせん脚本が適当すぎます。特に最後の方はやっつけ感があるというか、適当に終わらせたように思えました。

 ただ、一概にそれが悪いとはいえないと思います。というのも、映画にしろアニメにしろ、映像作品の本質は必ずしもストーリーにあるわけではないからです。

 以前『エヴァンゲリオン』の映画をDVDで観たのですが、同じような印象を持ちました。どういうことかというと、この映画はストーリーよりも、映像化したい場面を先に決めてる印象を受けたのです。
 つまり、もともとストーリーに主眼がないわけです。辻褄が合うかなんて気にしない、とにかく画面の動きが一番なのです。
 そうはいっても、好きな場面だけを描いても観客はついてこれません。なんだかんだいっても、観客の大半は話の筋を追うからです(つくりたい場面だけでつくると、PVになってしまい、せいぜい5分くらいしかもたないでしょう)。そうならないためにも、繋ぎとしてストーリー展開は必要なのです。

 しかしながら、本音ではストーリーなんて二の次なんです。

 優れた映画監督はだいたいそう思っています(たぶん)。宮崎駿の映画なんてそうですよね。『崖の上のポニョ』はポニョが海の上を走るシーンを撮りたかっただけなのですよ。もう、それだけ。あとはおまけなんです(たぶん)。
 だから、オリジナルストーリーではなく原作があるものしかつくりませんよね、ジブリって。話なんてわざわざつくる必要がないのです。描きたいシーンが出てくる原作を見つけたら、話の方はすでにできあがってるので、考えるコストが減りますし。

 ティム・バートンもおそらくそうだったのではないでしょうか。彼はたぶん、奇妙な子どもたちの奇妙な場面をたくさん撮りたかったのでしょう。鉄の靴を脱ぐとふわりと浮く女の子とか、手をかざすと火がつくとか、心臓を入れるとゾンビになって生き返るとか、そんなシーンを撮りたい。人が鳥に変身するとか、時間が逆行するとか、そういう場面をつくりたい。あとはうまいことつながればいいや、と。なんとなく話が展開して、適当なところで終わりっぽくなれば、それでよし。

 その意味では、楽しめるところもたくさんありました。たぶん、映画館で観たらもっと迫力があってよかったでしょうね。家の小さなテレビで観るよりも、大きな画面で観るべきです。

 読み方によってはひどいことを書いているように見えるかもしれません。ティム・バートン好きには申し訳ないです。
 でも、気にする必要はありません。なにせ一年に一本しか映画を観ないような人間のレビューですから。

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