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こっそり営業中です。

 我が家はいわゆる鉄工所を営んでいます。父と私だけの小さい職場です。なので、お休みも残業も、ある程度は自由に決めています。
 物を作る仕事は、おおよそ時間で生み出せる品物の量が決まってしまいます。一日休めば一日分、生産量も売り上げも減ります。
 お給料は固定なのですが、私は長い休みを取りたくありません。私が携わった工業製品を世の中に少しでも多く出荷したいのです。
 我が家(社なんて呼べるようなものではないのです)の製品は量産品ではなく、ほとんどが工場で使われるテスト用の部品や治具等なので使われている現場を見ることは滅多にありません。
 でも、極まれに、本当極まれに、私の手元から巣立っていた部品の働く姿をテレビやカタログなどで見かけることがあります。末端の加工屋ですから、まったく関係のない話なのですが、それでも、けっこう嬉しいものです。
 仕事はじめは・・恥ずかしながら2日です。父に隠れて、こっそり仕事しています。もう阿頼耶識組み込んでもいいくらい機械の前にいるのが楽しいです。はい、父には異常だと言われています。
 昔の火サスなどでは容疑者=鉄工所員でしたが、犯行を考える暇がないくらい楽しい職業です。
 父が鉄工所のおっちゃんで、よかったです。

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