見出し画像

【図解】暮らしが先にくる思考回路

序論

薬剤師の重要な役割は「国民の健康的な生活を確保する」ことであり、患者の生活の質(QOL)を維持し、向上させることです。川添哲嗣氏(徳島文理大学香川薬学部 医療薬学講座 准教授)は、「暮らしが先にくる思考回路」を提唱し、薬が患者のQOLを低下させないようにすることを最優先に考えるべきだと強調しています。

QOLを守ったり上げるために薬剤師がやるべきことは「薬によってQOLを下げないように守る」ことなんです。そこに薬剤師の大いなる使命と役割が存在するんです。

川添哲嗣:「Do処方、特変ナシ」から脱却せよ.日経BP社,P14

薬が「食事」「睡眠」「排泄」「運動」「認知機能」の5領域に与える影響を総合的に評価し、適切なアプローチを取ることが求められます。薬剤師は、薬がこれら5つの領域に悪影響を与えていないかという視点で、患者との聞き取りを行います。つまり薬の使用によってQOLが低下しないように細心の注意を払います。

そのとき思い付いた言葉が、「暮らしから薬をアセスメントする」という言葉で、「薬が先にくる思考回路」に対して、「暮らしが先にくる思考回路」なんですよ。

川添哲嗣:「Do処方、特変ナシ」から脱却せよ.日経BP社,P24

▼「暮らしが先にくる思考回路」を要約したのが下図です。

具体的な聞き取り例

食事

質問例:「ご飯はおいしく食べられていますか?」
これは食欲不振や味覚の変化が薬の副作用によるものではないかを確認するための重要な質問です。特定の薬が食欲に影響を与えることがあるため、患者が食事を楽しめているかを確認します。この質問に基づいて、必要であれば薬の種類や投薬量の調整を提案します。

睡眠

質問例:「夜はよく眠れていますか?」
睡眠障害を引き起こす可能性のある薬も存在します。睡眠パターンに変化がないか、睡眠が十分に取れているかを確認し、問題がある場合は薬剤の変更や投薬時間の調整を検討します。

排泄

質問例:「排便や排尿に問題はありませんか?」
下痢や便秘、排尿障害が薬の副作用である場合もあります。これらの症状が日常生活に与える影響を理解し、適切な対策を講じます。

運動

質問例:「普段通りに体を動かせていますか?」
筋力低下や疲労感が薬の副作用として現れることがあります。患者が日常的に運動できているかを確認し、必要であれば運動療法や薬の変更を提案します。

認知機能

質問例:「物忘れや集中力の低下を感じることはありませんか?」
認知機能への影響は特に高齢者に多い問題です。これにより生活の質が低下する可能性があるため、早期に気づき適切な対応を行います。

まとめ

薬剤師が患者の生活の質(QOL)を維持し向上させるためには、薬が与える影響を総合的に評価し、生活の5つの領域—食事、睡眠、排泄、運動、認知機能—に焦点を当てた聞き取りを行うことが不可欠です。これにより、薬がQOLを低下させないようにするための適切なアプローチを取ることができます。


もし私のnoteがあなたのお役に立てたのであれば、これほど嬉しいことはありません。