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第20回 地味に進化しているプラモデルの関節

これはですね、バンダイさん基準でお話しますが、最近のプラモデルや昔のプラモデルを色々と作っていると気付くポイントなんですよね。


それが「関節」の作り。


いや、関節というより、その可動軸とダボ受けという方が正しいのかも知れません。

ということで、僕が感じた「プラモデルの関節の進化」について書いていこうと思います。


旧キットの関節~その1~

旧キットと一言で区切っても、幅広くあるので、まずは「最初の頃のガンプラ」を例にしてみましょう。

こちらは1/144 ジュアッグです。

組立説明書の方が分かりやすいので見てみると、この肩の関節はT字プラパーツを使っています。

腕はパーツ内側に円盤上の凸部分が引っ掛かることで回転を可能にしています。


当時のキットはガンプラだけに関わらず、このような「プラパーツ(スチロール樹脂)」のみで可動軸が設けられていました。


ここで問題になるのが「関節ゆるゆる問題」です。

当時の技術では難しかったのか、樹脂パーツ同士の密着度の精度がまばらで、キットによって関節がゆるゆるになる(つまり軸と受けに若干の隙間が生じている)ことがありました。


そこで登場したのが「ピンに細い凸をつけました仕様」です(笑)

これにより軸と受けがギチギチに締まるようになったのですが、動かしていると少しずつ削れてしまい、結局緩くなってしまう問題があります。(て言うかギチギチ過ぎて普通に動かすのにも力が必要です(笑))

やっぱり樹脂のみでの関節は難しいのでは・・・?


旧キットの関節~その2~

そこで登場したのが今もお馴染み「ポリキャップ」です。

このポリキャップは柔らかい為、前述した樹脂同士の軸受けと違いピッタリと軸を受け止めてくれる素材なのです。

ポリキャップが関節に使われることにより、キャラクタープラモデルの関節は大きな進化を遂げました。

そして、このポリキャップは、現代までの長いプラモデルの歴史を大きく支えるパーツとなります。


新キットの関節~その1~

さて、現在のプラモデルは「スナップフィット」モデルが中心です。

この「スナップフィット」とは、接着剤で接着していた旧キットのプラモデルから「はめ込み式」に進化した仕様のことで、パーツ同士を軸と受けで繋ぎとめる仕組みのことを言います。

(もしかするとこれは、前述した「関節軸」の経験が活かされたのかも知れませんね。)


しかし、このスナップフィットの技術が確立しても、既にポリキャップが流通している為、関節構造をわざわざ元に戻す必要はなく、従来通りポリキャップ構造は変わらず続いたのでしょう。


そこで、今度はポリキャップが進化します。


これまでほとんどのポリキャップが丸穴の開いた形状だったものが、今度は長方形型や回転軸が付いたもの、引き出すタイプのものなどが誕生しました。


これにはモデラー達も驚きました。

ポリキャップそのものが進化することにより、これまでよりも細部の可動、より省スペースの設置が可能となっていくのです。


ちょっと休憩~ABSの誕生~

ポリキャップが大活躍している一方で、密かにプラモデルパーツ界隈にニューフェイスが登場します。

その名も「ABSパーツ」

この「ABS」とは、樹脂パーツよりも柔らかく非常に耐久性が高い素材で、「RGシリーズ」を始め、様々なプラモデルで少しずつ成果をあげていきます。


そうです。ポリキャップ、絶体絶命のピンチです。


実際、RGにはポリキャップは使われておらず、ABS素材のフレームにパーツを組み込んでいく仕様になっています。


これまで何年もプラモデルを支えてきたポリキャップですが、ここでABSという新たな素材により、その立場が危うくなってきたのです。


果たしてポリキャップの運命やいかに・・・


新キットの関節~その2~

さて、そんな中、バンダイは新しいプラモデルシリーズを発売します。

それが「境界戦機」シリーズです。

なんとこのシリーズのキット、ポリキャップもABSも使わずに関節軸を再現しています。


つまり、、、そうです、ここに来てまさかの「樹脂同士の軸」に戻ったのです!

まさに30年以上の時を経て、初期の関節軸仕様に戻ったわけですが、その進化はモデラーの想像を遥かに上回る完成度を誇っており、抜き差しも適度にやりやすく、可動も適度にしやすい、非の打ち所がない仕様になっています。


これにはポリキャップはもちろん、ABSも開いた口が塞がりません。


もしかすると、これからのプラモデルは全て樹脂同士の可動軸へと移行していくのかも知れませんね。

いや、もしかしたら他の新たな素材が開発され、可動軸は新たなステージへと進んでいくのかも・・・


まとめ

すごいですね、プラモデルって(笑)

色んなキットを作っているとこういった「実は進化している箇所」などが見えてきたりするので、そういったところを楽しむのも一つの楽しみではないでしょうか。

皆さんも気付いた点などあれば、ぜひコメントで教えてください^^



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