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どんなものより嬉しいクリスマスプレゼント

 パンデミックの最中に在外研究という機会を得たことで、どこか後ろめたい気持ちはずっとついて回っていました。

 一つには、本務の大学の同僚たちが感染防止やオンラインへの挑戦で苦労している中を研究だけに専念して良いと言ってくれることへの後ろめたさ。ゼミ生を始め、学生のために直接できることがあるはずなのに間接的な関わりしかできなくなることへの不安。

 もう一つは、受け入れてくれたルンド大学にとって、私が迷惑になったらどうしようという申し訳なさとも不安とも言える気持ち。

 そんな中、私が一番よく頼る研究棟のスタッフや受け入れてくれた同僚たちが口々に一緒に研究ができて嬉しいと言ってくれたその言葉に涙が出そうになりました。

 コロナで、海外から研究者が訪れてくれなくなる方がよほどの損失。あなたが来てくれて一緒に研究ができて本当に嬉しかった。今度のセミナーを楽しみにしているから。と言ってくれたここでできた大切な同僚たち。

 私が一人でここにいて、淋しいと感じずにいられたのは(むしろ忙しすぎるくらいでいられたのは)、パンデミック下でも継続された研究会やセミナー、ワークショップの数々、そして3日も顔を見せないと「帰っちゃったんじゃないかと心配したの」とまで言ってくれる「研究棟常駐組」のおかげです。


 アパートには大きなツリーもないけど、こちらで友達になった人がくれたトムテさん用の小さなツリーが洋服ダンスの上に飾ってあります。これで十分。

 すっかり、ずっと感じていたどこかにひっかかった「タイの骨」が取れた気分。残す滞在期間はあと約2ヶ月。ルンド滞在中最後の私のプレゼンもまじか。

 コロナ禍の疲れた心に人の温かい言葉が何百倍もの勇気を与えてくれます。

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