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シャニマス『ストーリー・ストーリー』の所感

読みました。いい話でした。
TVの『ストーリー』対アンティーカのストーリーという筋書きも良いのですが、アンティーカの本当の姿が二転三転し、最後にそんなの関係ないと霧散するのが大変エモいと感じた所存。

キャラがどうこうよりコミュ全体のメタな話を、私なりにかみ砕き解釈した内容なので注意されたし。

◆あらすじ

そこはとあるテラスハウス
そう、彼女たちはあの人気バラエティの撮影に臨んでいた
出演者たちがひとつの住居で
《笑顔》の生活を共にするリアリティ・ショー
《泣いたら退去! グッドラフ・テラス》

TVでわちゃわちゃするアンティーカのほんわかイベントって思いたいのですが直近のイベントシナリオが、

・上手くいかなさに妙な説得力があった「薄桃色にこんがらがって」
・ユニットメンバーの人気の差に触れた「WorldEndBreakDown」

このハードさだったので明らかにヤバい雰囲気が伝わってきます。
なのでアンティーカがこの試練をどう乗り越えるのか楽しみでした。
...楽しみでした(過去形)。

◆第4話「やさしい家」

一緒の生活を楽しみながら放送を待つアンティーカ。
しかし番組のディレクターが意図的に不仲と取れるよう映像を抜きアンティーカの実像が歪めて伝わってしまう。一見して露悪な展開。なんと嫌味な演出!

でも一度立ち止まり考えてみたい。それは誰に向けての『ストーリー』か?
ディレクターはどうしてそうしたのか?それはウケて数字が取れるから。そしてこんな展開するリアルなショーを毎話最後のクレジットまで律義に見ているのは...そう、私たちだ!
ディレクターはウケると思って他ならぬ我々へも『ストーリー』を差し向けているのではないか?

...趣味が悪いと言いたいが薄桃色やWorldEndBreakDownの後のイベントと思うと...それを望んでいないと否定できないだけに、ディレクターを悪くは言えない。実際作中のSNSで話題になったのでこの不仲に見せる方法は成功している。なんと隠し味まで効いた嫌味...

◆第6話「もうすぐ帰ります2」

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「勝手に『ストーリー』にされても?」
「う、ううん…………」
「だから______」
「ストーリーを…………つくるの……………………」

意図的に違った見え方するよう映像を抜かれたけど、今後どうするのかと相談する場面。ディレクターの筋書きを超える、本当のアンティーカをストーリーにして見せつけるぞという意志が伝わってくる。

一見これが真実アンティーカと思える場面だが、視点はあくまで三峰のインタビューをする雑誌記者越しでありこれも虚像である。

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画像はコミュの出だしちょっとの部分。記者の「そうだったんですね...」という発言の後。スクリーン風な画面に映る三峰からコミュが記者越しの視点、過去の話だと伺える。もしかして話が一本線にも見えるように、多分、あくまで憶測だが時系列と地の文を意図的に隠してないか?

今まで見ていたショーの『ストーリー』、今見ているアンティーカのストーリー。どちらも虚像でありアンティーカの実像は私の認識の外へ行き失踪。なんだこれ。私には何が見えているんだ?

そしてエンディングまでアンティーカは私を振り切り実像らしいストーリーを書き続け先を突っ走っていった...

◆エンディング「家の物語の話」

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(上画像の発言に対して)
「大丈夫……」 
「生きてることは……物語じゃ……ないから…………」
「わたしたちが……わたしたちなら……」
「ほんとは……」
「どこにも……嘘なんて……__」

でもそういう『ストーリー』とストーリー、嘘と本当が対立する中で霧子が言うわけです。語られる外でも私たちは生きているから。嘘本当ひっくるめてアンティーカがいるからと。
(もしかしたらそういうこと言いたかったのかな...どうなんだ霧子?私の受け取り方が間違ってたらごめんな。いつか話を聞かせてくれると嬉しいな...)

だからショーや記者越し(あるいはコミュ越し)で描写された物語それがアンティーカの全てじゃなくて、その外で推しのライブに行く三峰や、学校の授業を受けている咲耶がいるんです。あるいは撮影の外だとパンを咥えていないかもしれない摩美々とか。もしかしたらTVのようにギスギスしたアンティーカだっているのかも?
語られない外にも彼女たちだけの出来事が存在しているのです。

私たちの望む『ストーリー』、私たちが語る嘘本当、ゲームのコミュで語られるあれこれすら飛び越える気概を見せたようなアンティーカ。
むかーし昔に別れた友人を「あいつ今何してんだろうな」と思うように、アンティーカが生きていることを実感したような...そんな余韻でした。

◆あとがき

恋鐘や三峰のここすきポイントも語りたいがここまで。

まさかシャニマスではっきりと生きている何か感じるとは思わなかった。
天気の子とか十三機兵みたいな。誰かが何かする裏に別の重要な誰かが動いてる。自分には見えないけど宇宙のどこかにその人がいる。そんな感覚。(天気の子も十三機兵もシャニマスも、全部毛色は違うけど。)

ストーリー・ストーリーのアンティーカは語られるなかでどう自分たちを見せかって話で、私もTVも振り切るように先へ行ったのがそれらしくて、ええもう...繰り返しますがいいですねぇ...。G.R.A.D編もどうなるのかすっごい楽しみですねぇ。

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