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舞台 新宿羅生門 感想

他人事とは思えないキャスト(SQのオタクです)、スタッフに後押しされて9/23マチネ(戒援隊編)を見てきました。
さくっといきたかったのですが、めちゃくちゃ長くなりました……。

以下はネタバレです。


全体

といいつつ、目次でネタバレしたくなかっただけなので、ここでは山南と坂本について語ります。
もちろん、このお話は沖田兄弟のお話……というより、沖田洸くんのお話です。各キャラの紹介もありつつ、洸がいかに新徴組抜刀隊になっていくかの過程と、兄弟の絆は取り戻せるのか?という物語です。
ですが……今回、そのお話に深く絡んでくるのが、山南さんでした(現世の名前は山南帝承、前世はもちろん山南敬助)
なにを隠そう、私はもう20年近く山南敬助という人のことを考えてきた身でして。
ありとあらゆる「山南敬助はなぜ脱走したのか」の説を見てきた身としては、沖田兄弟の話が吹っ飛んで
「また新しい山南脱走の解釈を見れるぞ」
に頭がいってしまったわけです(反省)
歴史とは難しいもので「○○である」という文章が残っているとそれが「史実」とされがちです。が、実はかなり昔のことを思い出して書いた文章だったから筆者の記憶違いだったとか、誰かに「書きなさい」と強要されたから書いた文章だったとか、別の誰かから見たらそう見えてただけとか、そんなものがいくらでもありまして、もはや「このときに起きたことは絶対にこれだ」と言い切ることはできません。だから未だに、明智光秀はなぜ織田信長を討ったか、さえも理由はわかってないわけです(改ざんされてなく、絶対に本音を吹き込んだと約束されたボイスレコーダーでもなきゃ、無理だー!)
そんなわけで、歴史は「研究者たちの解釈の学問」でして、「史実では」なんていう無粋なお話は致しません(一応、これでも大学は歴史学科でして)
まず、今作で山南が新選組をつけ狙っていた理由は、近藤と土方が内部粛清にやっきになっていたのが耐えられずに脱走し、自身も粛清されたから、となっています。これはですね……うまいです笑
幕末の思想(尊王攘夷とか佐幕とかetc.)を語りだしたら2時間じゃ収まらないし、話が洸くんから逸れすぎちゃうので。
ただ、内部粛清の話になると、(近藤と)土方と山南の話になってしまって、これまた沖田から逸れてしまうんですよね。
そこで今回もう1つ乗っかったのが
「誰かに命じられたから殺す」
という沖田の姿勢です。
山南が沖田をかわいがっていた、というのは割と定説です。今回も清河が浪士組を立ち上げたときに沖田兄弟と一緒に山南さんがいましたが、今作でも採用されてる感じだったのかなと思います。
切腹の介錯は「ただ首を斬る」わけではなくて、切腹する人を苦しめずに死なせてあげるための行為です。だからこそ、この物語の山南さんは「かわいがっている沖田の意思で」介錯されたかったのに、そうしてもらえなくて、悔しくて、現世でもその恨みを抱えていると。
なのに現世でも結局殺してはもらえなかった。
でもそれは沖田兄弟の「殺したくない」という意思の表れで、そして「山南への愛情」だと思うのですが、全然届いていないんですよね……すれ違い。
ここは切なかったです……。
(ちなみに、芹沢にも恨みに思っているはずだ、ということを言ってますが、あなた自身が芹沢暗殺メンバーの一員なのだが……というのはまあ、置いておこう)

さてそこに颯爽と(?)登場し、山南を「友」と呼ぶのが坂本(旭、前世はもちろん坂本龍馬!)です。
このシーン、大河ドラマの「新選組!」を見たことのある方なら「うわー!」ってなる設定ですが、恐らく殆どの方は、唐突すぎん??ってなったのではないかと思われます……笑
こちらは「坂本も山南も北辰一刀流の千葉道場に出入りしてたかもしれない」→「もしかしたらふたりは知り合いだったかもしれない」というかなり信憑性低めな噂が元ネタです(とはいえ大河で採用された"解釈"でもあります。絶対に有り得なかった、ということも証明できていないので)
私はまさかのこの解釈採用に震えました。最高すぎて。
幕末を動かしまくった坂本龍馬という大物が、ただのおもしろ戒援隊の一員で終わるわけがないんですよね。底知れなさや視界の広さ、ある意味での不気味さが、ほんの僅かなこのシーンで表されていて、ぞっとしましたし、感服しました。
戒援隊はまだ、岡田くんの身体に恐らく何かがある、という謎もあり、個人的には1番気になる組織になりました。
ちょうどエンディングも戒援隊で、めちゃくちゃありがたかったです……嬉しすぎました。
3人のわちゃわちゃ(置いてけぼりになる勝先生とか)もなんだかとても尊いものに見えてくる不思議です。

薩長エージェンシー

ここからはオタク(塚本くんと日向野さんのオタク)のレポと感想です。
スイーツネタは日替わりっぽいですかね。
23日マチネは、パンケーキに蜂蜜で文字を書いている瞬間が1番幸せな桂様。
西郷「パンケーキになんて書くんだよ」
桂「桂」
西郷「やべえ奴だこいつ」
桂「だったらお前はなんて書くんだ」
西郷「西郷、だろ」
桂「変わらないだろう!」(キレ)
のコントがよすぎです。日替わり全部円盤に収録されますか……?
あと、本編初登場シーンで、西郷に椅子から叩き落された後、そのまま床に転がってずっとセリフを普通に喋り続けていた桂さんもツボでした。
このシュールさが本当に面白すぎて(演出でつけられたのか本人提案かわからないですが)このお笑いセンスが本当に好きだ……と、うんうん頷いてました。
日向野さんのボケMAXおもろキャラも好きでした。
かっこいい役も大好きですが、どこまでもボケ倒していくのもたまらんなと。畳み掛けるようなボケが冴えていた……ボケが冴えてるって何?って感じですが。
1番シリアスそうに見えて、実は1番おもろが多かったのが薩長エージェンシーだと思います。
23日マチネ、カテコ挨拶ランダムにやります!と言われたときに、なんか端っこでこそこそ会話してたのも、仲よしでニコニコしちゃいました。
殺陣は2人とも(というかみんな、だけど)めちゃくちゃかっこよくて、最高でした。
日本刀アクションは正義です。

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