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会える人

昨日、高校時代の部活メンバーで飲み会があった。
7人中6人が岩手県内にいて、5人が集まることができた。
私が岩手に帰ってきてから、初めて集まるその会は、とてもとても楽しかった。

高校時代は、同じ学校に通い、同じ授業を受けて、同じ部活の所属して、3年間のほとんどの日を一緒に過ごした。
私たちはほぼ同じだった。同じ人間のようだった。
うまくいかない日も共有して、空気が悪くなることもあって、ただ、ひたすら毎日笑っていた。部活のみんなと一緒にいるとくだらないことでも面白くて、笑いが絶えなかった。
なんとなくみんなの性格を理解して、これはあの子が喜ぶだろうなとか、これはあの子は嫌がるだろうなと考えていた。
家族の雰囲気も大体知っていて、みんな家族と仲が良かった。大切に育てられていることがわかっていた。

そんな私たちも、大学進学を機にバラバラになった。岩手に残る子、新潟、宮城、東京、名古屋。それぞれの地で別の友達を作り、生活をした。
大学時代もお正月には集まっていたけど、だんだんと私たちは違う人間だったことを思い出した。
あれ、今まで何を話してたっけ。何で笑ってたんだっけ。
一緒にいるのに、時々寂しくなった。

社会人になってからも連絡を取り合い、集まれる人で集まるようになった。
そのあたりから、私はちょっと会うのが億劫になっていく。
話すことは大抵仕事の愚痴か、彼氏の話、家族の話。
仕事の愚痴を話すことが苦手(人のは聞けるけど、自分がどう大変かを話すことができない)で、彼氏もいなくて、家族とも離れて暮らしているので、私がみんなに提供できる話題が無かった。
みんな、なんだかキラキラしていて、可愛くて、私とほど遠いなと思った。
みんなが変わったんじゃない、当時の私はなんだか気持ちが内側に向くことが多くて、新潟の友達は私をそうさせなかったから、新潟の友達が一番心地よかった。
それもそうだ。新潟の友達は1ヶ月に何回も会い、日々の出来事を共有して、今の私を一番理解してくれている。家族以上に、理解していくれている。
そんな毎日を一緒に過ごしている友達と、年に1回ほどしか会わない友達を比べるのは違う。
頭ではわかっていても、会いたくないな〜とぼんやり考えてしまう心は打ち消せない。

それから数年、何人かが結婚して、ママになった。結婚式をして、家を建てて、自分の親のことをおじいちゃんおばあちゃんと呼ぶようになった。
私と見ている世界があまりにも違って、興味のあることがあまりにも違って、もう話すことないじゃんという気持ちが加速する。

地元に帰ることを決めてから、お正月にみんなで集まる時。
最初は、飲み会で話が進んでいたが、結局お昼に子どもも一緒に集まることになった。私はそれに気持ちが重くなった。めんどくさいな〜と思った。

会う直前まで憂鬱で、きっとまたみんなと自分を比べて、自分の現状に悲しくなる。自分はなんでみんなと同じように結婚して、ママになることができていないのだろうかと、自分が嫌になる。みんなのキラキラに、目がつぶされると思った。

でも、会ってみたら、みんな優しいし、子どもたちは可愛かった。みんな私の話も聞いてくれて、なんだか大丈夫だと思えた。

そして、昨日。念願の夜の開催、昔みたいに私たちだけで集まれる日。
私自身、飲み会がとても久しぶりで、地元に帰ってきてから友達と会う回数が格段に減ったので、楽しみな気持ちが大きかった。
みんなとワイワイお酒を飲んだ。
最近楽しかったこととか、子どもが何ができるようになったとか、家を建てるとか、結婚式をするとか、仕事のこと、家族のこと、たくさんたくさん話をした。
高校時代の、先生も巻き込んだエグいドッキリの思い出話とか。笑いが止まらなかった。
夜の空気も気持ちよくて、何だか自由な気がした。
私たちは、高校生の時と同じように、今でも自由なんじゃないかと思えた。
日々はいろんなことに囲まれているけれど、今夜だけはそれがないような気がした。
体も心も軽くて、どこまでも歩いていける。
きっとこれからも一緒に生きていける。
それぞれが別の道を歩いているようで、本当は大きな道をみんなで歩いているんだね。きっと、そうだよね。

なんだろう、女友達の強さが、最高に美しく思えた。

30歳手前。
私たちはもう同じ人間じゃないことを知っている。
それぞれの生活があって、理解しきれない部分もある。
世界の見え方はさまざまで、今知りたいことも、ネットで調べることも違う。
心配なことも、一番嬉しいことも違う。
ただ、それぞれの日常が幸せであって欲しいと願う。

彼女たちは、自慢をしない、上から目線でものを言わない、どれが正解だと決めつけない。
ツッコむけど、相手を否定しない。
それは、自分が幸せだと思えているからだと思う。
幸せの安定感がある。芯の強さがある。信じる力がある。


でもね、ちょっとね、わかっているんです。
何かものすごく悲しいことがあって、落ち込んでいて、世界を呪いそうな時、彼女たちとは会えない気がする。
きっと励ましてくれるし、元気をくれるんだろうけど、そうじゃない。
そうじゃないんだよな〜〜と遠くを見つめる。

その時は、また考えよう。
また何か変わっているかもしれないから。


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