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38人2週間、フルオンライン研修をやりきって分かったこと


新型コロナの影響で実施出来なくなった2週間の新人研修を、フルオンラインでやりきった。しっかり思考や行動の変容まで持って行くことが出来ることができたと思う。

ポイントは、

・オンラインならではの継続力を引き出すような設計をする
・PPTをほぼ使わず、予備校的な進め方がいい
・チャットを活用して双方向性を作る
・サポート役とのチームワークがカギ
・セキュリティーを考えてツールを使い分ける

15年ぶりの新人研修

「新型コロナの影響で新人研修が実施出来なくなってしまいました。オンラインでどうにかできませんか?」と依頼をもらったのが、3/26。そこからチャレンジが始まった。

海外幹部研修を得意とする会社なので、これまでもOnline研修の経験は積んでいる。でも、この依頼は悩ましい。なぜなら、、、

①新人研修は15年ぶり

確か2005年くらいに1度やったことがあるけど、それ以降、やっていない(と思う)。

②オンラインで”終日”

いつものオンライン研修は、2〜4時間程度。集まらないなら小分けでやった方がいい。でも、今回は配属前の新人なので、終日の研修が続く。

③自宅から講義

非常事態宣言が迫る中で、講師の自分も在宅勤務中。そのため、自宅から講義することに。設備が整った会議室ではなく、どうやってやるか。


オンラインならではのプログラム設計

対象が新人なので、社会人としての生活「習慣化」が重要と考えた。せっかくフルオンラインなので、それを活かすよう設計した。

①「ソラ・アメ・カサ」トレーニング

毎朝、その日のニュースを確認して Teams 上の「ソラ・アメ・カサ※」フォームに記入。朝の30分は、これを使って情報の読み方を練習。
    ※ソラ(事実)を観て、アメ(意味・予想)をとらえ、カサ(打ち手)を
       決める)という思考の枠組み

②「○○社クイズ王」決定戦

会社の理念や歴史、商品についてのクイズ。これも、Teams上で毎日3問出題、チームで回答。合計ポイントで「クイズ王」を決定して、最終日に表彰した。

③毎日の内省

(ここに書けない)ある手法で、毎日、その日の学びを振り返り、手書きでノートに書き込んで写真をアップ。

オンラインプログラムだからこそ、効率よく続けられる。そういうオンライン”ならでは”をいろいろ盛り込んだ。


講義は”予備校式”で

オンライン研修で絶対にNGなのは、PPTを画面に映しっぱなしにして話すこと。どんなに上手く話しても1時間が限界。絶対、疲れるし、飽きる。

だから、講義形式は、自室にホワイトボードを用意して、書きながら喋る。PPTはほぼ使わない。使っても、少し映したらすぐに消す(あとでデータで配布する)。

要は、「今でしょ!」の、あの人のスタイル。

ある専門家から教えてもらったのだが、デジタルの資料を見る時、人間は自然と受け身になる。紙の文字を見るときには、能動的に”観る”。だから、オンラインでは、いかにしてアナログな方法を使うかがカギとなるのだ。

また、短時間のグループ議論を頻繁に入れ、講義中もチャットで答えるような形を多用。

「これ、AからCのどれでしょう。ハイ、チャットで回答!うーん、Cが多いねぇ。。。」「これどう思う?意見ある人はチャットに!○○さん、書いてくれたの、どういう意味?ちょっと説明よろしく!」そうやって、双方向性を作った。

講師のしゃべりとチャットが同時に進むのは、新鮮な臨場感を演出でき、複雑な演習もしっかり行うことができた。慣れてくると、講師の話にチャットでちゃちゃが入り、だんだん楽しい研修になってくる。


サポート役がめっちゃ大事

チャットを使いながら、ホワイトボードを書きながら、、、講師はとにかく大変。だから、”飽きさせない”オンライン研修を長時間やるには、サポート役の力が問われる。

サポート役は、(在宅勤務中なので、もちろん自宅から)3画面を駆使して、

①講義スライドのめくりと画面切り替え
②回線トラブルや操作トラブルの対応
③ブレイクアウトルームのチーム分け操作
④タイムマネジメント

を行う。

(サポート役の状態(実際のもの))

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これをチームワーク良くやるには、事前の計画が大事。研修全体のフォーマットは、このような形がベスト。

(研修全体のフォーマット)

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セキュリティー対策

ZOOMの安全性は課題なので、社内セッションや情報共有はTeams、通話品質が必要な講義とブレイクアウトルームによるグループワークはZOOMと、使い分けた。

ZOOMには、パスワード&待合室を設定し、サポート役が管理。

また、通信障害でストップしないよう、講師は、自宅のWifiを2系統と有線接続を用意しておく。


2週間やった結果

「最初は違和感があったが、すぐに慣れた。全員の顔を見ながら研修を受けるのは、リアルではできない体験であった。」というのが受講者の声。

確かに、通常の研修では見えるのは前の人の頭。顔は見えないな。これは新たな発見だった。

研修中に宅配便が届いたり、部屋が少し見えたり、そういう生活感が、親近感に繋がったという声も多かった。

一方、事務局からは、「チャットやTeamsの機能を使った構成は、いままでの集合研修以上にインタラクティブかもしれない。特に、毎日の”ソラ・アメ・カサ”で、受講者の視点がみるみる変わっていくのが実感できるのに驚いた。」という感想。継続の力を引き出すのはオンラインのメリットだと思う。

最終日のオンライン懇親会では、事務局の方のものまねや漫才など、”芸”の披露もあり、しっかり飲み、語り合い、大いに盛り上がり、皆は各配属部署に巣立っていった。

感動した。

オンラインである問題は全くなく、ともに学んだ最高の同期になれたと思う。

今回の38人は、(実施出来れば)6月の集合研修で初めて顔を合わす。僕も彼ら彼女らと、初めて顔を合わす。その時に、皆がどうなっているのか?今回のチャレンジの真価は、その時に分かるだろう。

早く皆に会いたいな。

実は、オンラインの最大の効用は、「この人に会いたい」という渇望の力を引き出すことかも知れない。

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