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Webアプリケーション開発プロジェクトを成功させるためのタスクとは?
この記事は、以下の記事の内容を元に作成されています。
プロジェクトを成功させるためには、タスクを構造化して捉えることが必要です。この記事では、ケーススタディとして、Webアプリケーション開発を行うプロジェクトを立ち上げた場合にどんなタスクが必要になるのかということを考えてみたいと思います。
Webアプリケーション開発は、多くのタスクが複雑に絡み合うプロジェクトです。今回はプロジェクトをスムーズに進めるために必要なタスクを、WBS(Work Breakdown Structure)の形式で分かりやすく解説します。
WBSとは?
WBSは、プロジェクト全体を細かなタスクに分解し、階層構造で表現する手法です。プロジェクトの全体像を把握し、各タスクの進捗を管理するのに役立ちます。WBSを元にそれぞれのタスクにかかる期間の見積もりを行い、必要なリソースやコストを計画する時に使います。WBSに漏れがあると途中でリソースやコストが不足するという問題が発生するため、非常に重要な作業になります。
実務ではWebアプリケーションを使ったビジネスや業務も併せて検討する必要がありますが、今回のスコープからは外しています。
Webアプリケーション開発WBS
Webアプリケーションを開発して、リリースするまでに必要なタスクは以下のようになります。
プロジェクト計画
目的設定:プロジェクトの目標、スコープ、成功基準を明確にします。
要件定義:機能要件、非機能要件を定義し、要件定義書を作成します。
スケジュール作成:WBSを作成し、ガントチャートなどでスケジュールを策定します。
リソース計画:開発に必要な人員、スキル、役割分担を計画します。
リスク管理計画:潜在的なリスクを特定し、対応策を検討します。
コミュニケーション計画:関係者間のコミュニケーション方法、頻度、報告体制を定めます。
効果測定方法決定:プロジェクトの成果を測定するKPIと収集方法を決定します。
予算計画:予算配分、管理体制を計画します。
制約事項の確認:技術的、法的、その他の制約事項を確認します。
プロジェクト管理
進捗管理:定期的な進捗確認、課題管理を行います。
品質管理:品質基準を設定し、テストやレビューを通じて品質を確保します。
リスク管理:リスクの発生を監視し、計画に基づいて対応します。
コミュニケーション計画:コミュニケーション計画に基づき、円滑なコミュニケーションを促進します。
ドキュメンテーション
設計書作成:UI/UX、機能、データベース、API、インフラなど設計書を作成します。
テスト仕様書作成:テストケース、テスト手順などをまとめたテスト仕様書を作成します。
運用マニュアル作成:システムの運用方法、障害対応などをまとめたマニュアルを作成します。
その他
顧客レビュー:定期的に顧客からのフィードバックを受け、必要に応じて修正を行います。
法的コンプライアンス対応:個人情報保護法などの法規制を遵守します。
リリース判定:リリース基準を満たしているか確認し、リリースの可否を判断します。
設計
UI/UX設計:ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスを設計します。
機能設計:システムの機能、データフロー、処理ロジックなどを設計します。
データベース設計:データベースの構造、テーブル、関係などを設計します。
API設計:外部システムとの連携に必要なAPIを設計します。
インフラ設計:サーバー、ネットワーク、ストレージなどのインフラを設計します。
セキュリティ設計:セキュリティ対策、脆弱性対策などを設計します。
開発
フロントエンド開発:HTML、CSS、JavaScriptなどを用いて、Webページの見た目や動作を実装します。
バックエンド開発:サーバーサイドの処理、データベースとの連携などを実装します。
API開発:APIのエンドポイント、データ形式などを実装します。
データベース構築:データベースを作成し、初期データを設定します。
インフラ構築:サーバー、ネットワークなどを構築し、環境をセットアップします。
テスト
単体テスト:個々のモジュールやコンポーネントが正しく動作するかテストします。
結合テスト:モジュールやコンポーネント間の連携が正しく動作するかテストします。
システムテスト:システム全体が要件を満たしているかテストします。
性能テスト:システムのパフォーマンス、負荷への耐性などをテストします。
信頼性テスト:システムの信頼性、安定性などをテストします。
セキュリティテスト:システムのセキュリティ、脆弱性をテストします。
ユーザビリティテスト:システムの使いやすさ、ユーザーエクスペリエンスをテストします。
デプロイ
環境設定:本番環境、ステージング環境などを設定します。
デプロイ:アプリケーション、データベースなどを本番環境に配置します。
データ移行:既存システムから新システムにデータを移行します。
運用・保守
モニタリング:システムの稼働状況を監視します。
パフォーマンス最適化:システムのパフォーマンスを改善します。
バグ修正:システムのバグを修正します。
機能追加:システムに新しい機能を追加します。
Webアプリケーション開発WBSの要素間の関連性
上で挙げたWBSの各要素は、プロジェクトを円滑に進めるために相互に関連しています。ここでは、それぞれの要素がどのように関連しているのか、具体的に説明します。こういった関連があるため、計画や設計段階で不備や矛盾があると、後の工程でリカバリしないといけなくなり、コストもかかることになります。慣れない領域のプロジェクトをする時は、有識者や経験者に見てもらい、足りないところをレビューしてもらう必要があるでしょう。
1. プロジェクト計画
目的設定 は、プロジェクトの全体の方向性を示し、要件定義、スケジュール作成、予算計画 などの基礎となります。
要件定義 は、設計、開発、テスト の各フェーズで、何をどのように行うべきかを示すガイドラインとなります。
スケジュール作成 は、リソース計画 と密接に関連しており、進捗管理 の基準となります。
リソース計画 は、開発 をスムーズに進めるために必要不可欠であり、進捗管理、リスク管理 にも影響を与えます。
リスク管理計画 は、プロジェクトのあらゆる要素 に影響を与える可能性があるため、定期的な見直しが必要です。
コミュニケーション計画 は、プロジェクト管理 全般に関わり、チームの連携 を円滑にします。
効果測定方法決定 は、プロジェクトの成功 を評価する基準となり、目的設定 と関連します。
予算計画 は、リソース計画、スケジュール作成 と連動し、プロジェクト管理 において重要な役割を果たします。
制約事項の確認 は、プロジェクト計画 の実行可能性 を評価し、リスク管理 にもつながります。
2. プロジェクト管理
進捗管理 は、スケジュール と照らし合わせ、プロジェクト が計画通りに進んでいるかを確認し、リスク を早期に発見します。
品質管理 は、設計、開発、テスト の各フェーズで実施され、顧客の要求 を満たす製品を提供するために重要です。
リスク管理 は、プロジェクト計画 で策定した計画に基づき、進捗管理、品質管理 と連携して行われます。
コミュニケーション管理 は、プロジェクトチーム 内だけでなく、顧客 や関係者 との円滑なコミュニケーションを確保し、プロジェクト を成功に導きます。
3. ドキュメンテーション
設計書作成 は、設計 フェーズの成果物であり、開発、テスト、運用・保守 の各フェーズで参照されます。
テスト仕様書作成 は、テスト フェーズを効率的に進めるために必要不可欠です。
運用マニュアル作成 は、デプロイ 後の運用・保守 を円滑に行うために必要不可欠です。
4. その他
顧客レビュー は、設計、開発、テスト の各フェーズで実施され、顧客の要求 を満たす製品を提供するために重要です。
法的コンプライアンス対応 は、プロジェクト全体 において考慮されるべき事項です。
リリース判定 は、テスト 結果や顧客レビュー を踏まえ、プロジェクト がリリース可能かどうかを判断します。
5. 設計
UI/UX設計 は、ユーザーの使いやすさ を考慮し、機能設計、フロントエンド開発 に影響を与えます。
機能設計 は、要件定義 を基に、システムの機能 を具体的に設計し、開発、テスト の基礎となります。
データベース設計 は、データの管理 方法を設計し、バックエンド開発、データベース構築 に影響を与えます。
API設計 は、外部システムとの連携 を考慮し、バックエンド開発、API開発 に影響を与えます。
インフラ設計 は、システムの安定稼働 を確保するために必要不可欠であり、インフラ構築、運用・保守 に影響を与えます。
セキュリティ設計 は、システムの安全性 を確保するために必要不可欠であり、開発、テスト、運用・保守 の各フェーズで考慮されます。
6. 開発
フロントエンド開発 は、UI/UX設計 を基に、ユーザーインターフェース を実装します。
バックエンド開発 は、機能設計、データベース設計、API設計 を基に、サーバーサイド の処理を実装します。
API開発 は、API設計 を基に、API を実装します。
データベース構築 は、データベース設計 を基に、データベース を構築します。
インフラ構築 は、インフラ設計 を基に、インフラ を構築します。
7. テスト
テスト の各フェーズは、開発 の各フェーズと並行して実施され、品質 を確保します。
単体テスト、結合テスト、システムテスト は、機能 が正しく動作するかを確認します。
性能テスト は、システム が要求されるパフォーマンス を満たしているかを確認します。
信頼性テスト は、システム が安定して稼働 するかを確認します。
セキュリティテスト は、システム がセキュリティ上の脅威 に対して安全であるかを確認します。
ユーザビリティテスト は、システム がユーザーにとって使いやすい かを確認します。
8. デプロイ
環境設定 は、本番環境 を構築 し、システム をデプロイ するための準備を行います。
デプロイ は、開発 したシステム を本番環境 にリリース する作業です。
データ移行 は、既存のシステム から新しいシステム にデータ を移行する作業です。
9. 運用・保守
運用・保守 は、デプロイ 後のシステム を安定稼働 させ、ユーザー にサービス を提供し続けるために必要不可欠です。
モニタリング は、システムの稼働状況 を監視し、障害 を早期に発見 します。
パフォーマンス最適化 は、システムのパフォーマンス を改善 し、ユーザー に快適な操作環境 を提供します。
バグ修正 は、システム のバグ を修正 し、安定稼働 を維持 します。
機能追加 は、ユーザーの要望 に応じて新しい機能 を追加 します。
まとめ
今回説明したWBSは一例で、他にいろんな分け方があります。ただ、基本的な分け方としては「プロジェクトのフェーズ」で分けるか「成果物の要素」で分けるかの2軸なので、それらを組み合わせて、最適な構造を見つけていってください。