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24-7 to heaven

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コンソールゲームのクリエイターである『僕』と、そのアシスタントで不思議な女の子の『彼女』。そして、もういない『君』。昨日と今日の違いを知る、ありふれた日常の物語。
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24-7 to heaven #3

 コンソールゲームのクリエイターである『僕』と、そのアシスタントで不思議な女の子の『彼女』。そして、もういない『君』。その気になれば『僕』だって変われるんだ。子供のように得意げに『僕』は笑ってみる。 ***  「最下位は乙女座のあなた! バラ刺繍のガーゼハンカチがお守り!」  ……そんなの、おばあちゃんくらいしか持ってないんじゃないの。  テレビに真顔でつっこむクラウディ・ウェンズデー。 「自転車、お好きでしたっけ?」 「ううん。買ったばっかり」  うわぁ、ロードバ

24-7 to heaven #2

 コンソールゲームのクリエイターである『僕』と、そのアシスタントで不思議な女の子の『彼女』。そして、もういない『君』。「いっそ海外とかどうです?」なんて『彼女』の言葉が、どうにも『僕』は気になって。 ***  「器用なくせに不器用だよね。意味わかんない、」  そう言って笑う君がいない、レイニー・チューズデー。雨音が心地いい。  彼女のせい、とは言わないけれど。あれ以来、トラベル雑誌によく目が留まる。ニューヨーク。パリ。ロンドン。リゾートにアウトドア。歴史景観に自然遺産

24-7 to heaven #1

 コンソールゲームのクリエイターである『僕』と、そのアシスタントで不思議な女の子の『彼女』。そして、もういない『君』。何気ない日々の中、『君』がいないのに『彼女』のせいで『僕』は少しずつ変わっていく。 ***  「案外、何でも形から入るよね」  そう言って笑う君がいないブルー・マンデー。薄曇りの空は少し優しい。  皆ざわざわと席を立ち始める。いつの間にか昼休みになっていたらしい。ディスプレイに映し出されるのは、スパゲッティも真っ青なスクリプトの羅列。僕は大きなため息を