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外見より内面で「スキ」って言われたい。

noteの話です。


先日、「note感謝祭」に参加した。note感謝祭とは、日々進化を遂げるサービスの現状報告と、運営サイドがユーザーへの感謝の気持ちを伝えるために開催されたお祭りのこと。お昼から夜に渡って3部構成で行われたそのイベントは、Twitterのトレンドで1位になるほどの賑わいだった。

私は仕事が終わってからいそいそと会場(ピースオブケイク社さん)へ向かい、第3部「みんなでnoteの未来を考えるnote大茶会」から参加した。


第3部は、CXOの深津さんCTOの今さんnoteデザイナーチームのみなさんが登壇。事前に集められた我々クリエイターの質問・要望を、noteプロデューサーの徳力さんが運営サイドに問いかけてくださるQ&A方式のトークイベントだった。

登壇されたみなさんは、どの質問にも丁寧に答えてくださったし、ユーザーから寄せられる質問も優しさとユーモアがあって、さすがnoteのクリエイターさんらしいなと思った。

その中で、

「なんで僕はフォロワーがめちゃくちゃ増えたの?」

という質問があって、ドキっとしてしまった。私が送った質問じゃないのだけど、私も“そう”だったからだ。


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noteのフォロワーさんが増え始めたのは、2019年の5月頃だったと思う。

ある朝、起きてみるとGメールにnoteの通知が20通も。何かと思えば、全てフォロー通知だった。noteに登録したばかりなのか、大半はデフォルトのニコちゃんマークのアイコンばかり。軽くゾッとした。

残念だけど、良い記事を書いたとか、オンラインサロンに入会して友達が増えたとか、フォローにつながる行動は何一つしていない。

身に覚えがないとなれば、「どこかで私のnoteが晒されているんじゃないか……」とネガティブな妄想が先行する。いや、でも待てよ。悪い意味で晒されているなら、フォロワーは増えないはず……。これはもしや良い方なのでは……。と、無理矢理小さな希望を見出すことで、一旦気持ちを落ち着けた。

500人にも満たなかったフォロワーさんは、日に日にゆるやかに増え続け(noteを書いてはいるけれど、バズった記憶はない)、1000人、そしてついには2000人を超えた。いやいや急にどうした。note自体が最近話題のサービスだし、登録者数が増え続けているのは超わかる。でも「私」は特に話題になっていないし、勢いにものってないのだ。哀しい哉。


ある日、noteのクリエイターさんと多くつながっているTwitterで耳よりな情報を入手した。

noteに新規登録をする際に、ジャンル別でおすすめユーザーを表示する仕組みが導入されたらしい。

友達に無理矢理noteを登録させ、早速検証させていただいた。

メールアドレスやパスワードを設定したあと、こんな(↓)画面が出てくる。


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興味のあるジャンルをクリックすると、自分好みの記事をセレクトしてくれるらしい。デザイン、ライフスタイル、政治・経済……幅広いジャンルが羅列されている。

ふんふん、Twitterで話題になっていたのはこのことだな。どれどれ、試しに何かクリックしてみよう、と私たち。「コラム・エッセイ」のタブをカチッ。


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ぎゃーーーー!!
何これーーーー!!


阿部さんの下、見覚えのあるアイコンに悲鳴をあげ、私たちは一旦パソコンを閉じた。何かの間違いだよね……と思いながら恐る恐るパソコンを開いてみる。そこにはまだ私のアイコンがあった。

記念(?)にスクショをとって、戻るボタンを押し、いくつかのジャンルをクリックした後でもう一度「コラム・エッセイ」のタブに戻ると、そこにはもう私の姿はいなかった。どうやら、表示されるクリエイターはランダムで変わる仕様らしい。(たまに「小説」を書くこともあるので、小説タグでも私が表示されるのかもしれない)

検証につき合ってもらった友人に感謝を伝え、noteの登録を終えるのを見届けた帰り道。私の中の名探偵コナンが、これまで起こっていた不可解な謎を結びつけ、ひとつの答えを導き始めた。


フォロワーが増えた理由って、
これだったのか!!


「エッセイ・コラム」のジャンルをクリック

人気のクリエイターに(なぜか)私が登場

「おすすめなんですね。
じゃあフォローしてみましょう」
(フォローのチェックボックスに
最初から「ちょん」が入っている仕組みなので、
うっかりフォローしちゃった人もいると思う笑)

結果、私のフォロワー様倍増!!


はいはい、これでフォロワーが増え続けている謎は万事解決!!
これにてQ.E.D.!! ハッピーエンドです!!

と、事件は無事解決したように見えたのだが、当然、新たな謎が生まれた。

なぜ、なんでもない私が
人気クリエイターに表示されているのか(苦笑)!!



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茶番が長くなったが、話をnote感謝際に戻そう。こんな理由で「なんで僕はフォロワーがめちゃくちゃ増えたの?」という質問への回答が、非常に気になっていた。新たに芽生えた謎の答えが見つかるかも、と鼓動が早くなってしまう。

「あれのことかな?」と深津さんと徳力さん。「あれ」とは、きっと上記に書いた仕組みに違いない。この問いには、デザイナーチームの松下さんが答えてくださった。


松下さん「新たにnoteに来てくれた読者の方に、素敵な作品とまず出会ってほしいという気持ちが、私たちにはあります。noteの中で「良い作品を書いているな」と思った方たちを、(新規ユーザーさんに)おすすめとして紹介していることがあるんです。そこにピックアップされると、おそらくこの方のように、なぜだかわからないけれどフォロワーが爆増するということが有り得ます。それはちょっと申し訳ないのですが……。note側から良い作品をおすすめしたいなと思ってやっていることなんです」


補足として、深津さん、徳力さん、今さんの話が続く。


深津さん「人力でピックをしているので、まだまだ偏ったり、いきなり(フォロワーが増える)ということがあるかもしれません。1年・2年、そんなにかからないうちに、AIが良い感じにnoteの中を循環するようになると思います。「この人にもっと光をあてよう」とか、ジャンル毎にちゃんと満遍なく回ってピックアップして、おすすめされるようになるはず。今、AIチームの人たちが頑張って作っているところ。来年中には、そういうシステムが走るはずです」
徳力さん「(noteの)アカウントを作った時に、おすすめユーザーのようなものが出てきて、それを自動でいくつかフォローするという画面があったと思うんです。Twitterでも昔ありましたよね。誰もフォローしないと何も記事が出てこないし、なんだかよくわからない、ただの真っ白なタイムラインになってしまう。(noteの)ユーザーの伸びが大きいので、そこのリストにのると急にフォロワーが増えるという話ですよね」
今さん「探り探りこの機能を作ったところもありまして、特定のクリエイターさんにものすごくフォロワーが集中してしまった。そのあと、運用を見直しまして、人をばらけさせたり、ジャンルをもっと精緻させたりして、今はびっくりさせないようになっていると思います」


「びっくりさせちゃうのが課題だったんだよね」と深津さんが続ける。ええ、とてもびっくりしましたとも……!と、後方の座席で一人大きく頷いた。

でも、とても丁寧に回答してくださり、心がじんわりと温かくなった。


(私がピックされているのが間違いでなければ、)「良い作品を書いている」と誰かが判断して、取り上げてくれたというのは、本当に本当にありがたいことだ。1日に何千何万もの投稿がある中で、誰かに見つけてもらうのはとても難しい。

「良い作品」の定義が何であるのか、何をもってして「良い作品」になるのかは明確になっていないので、不満に感じる人もいると思う。

でも、真っ白なタイムラインのままでは、せっかくnoteの街にやってきたのに楽しめない。おすすめクリエイターは、新しいユーザーさんと、noteの街をつなぐ懸け橋のような存在なのかもしれない。

私も、そうでありたいと思ったし、選んでくださったことが間違いでないのであれば、ちゃんと貢献できる作品を生み出し続けなければと、また少し気が引き締まった。


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この仕組みには賛否があるようで、度々Twitter上でも議論が交わされている。これについて私がどう考えているか、最後に少しだけお話しさせてほしい。

正直なところ、ピックされているのはうれしいし、出会いの場を作ってくださるのはとてもありがたい。

でも、たぶん、そこから私を選んでくださった人たちは、アイコンとプロフィールの内容を見てフォローしてくれている可能性が高い。つまり、「外見」で私のことを選んでくれたのだ。

プロの日本画家さんに描いてもらったアイコンは、私もすごく気に入っているし、おしゃれだと思う。プロフィールもなんかすごそう(笑)に見えるのかもしれない。

ネットで活動していくにあたって、アイコンやプロフィールはすごく重要だし、私もそれを念頭において運用している。それが功を奏したなら、それはそれでうれしい。

でも、「外見」だけでは物足りないのだ、私は。
「外見」だけじゃなくて、
「中身」もちゃんと知ってくれた上で、
好きって言われたい。


恋愛でも人付き合いもそうだけれど、「外見」を褒められるよりも、「中身」を——……つまり、思考や言葉選びや文章の構成を——褒められた方が、私は嬉しい。

私自身もあまり人の外見を褒めたことがない(褒められたい方がいたらすみません)。いつも「こういう考え方が素敵だよね」とか、内面のことを褒めるし、もっと内側のことを知りたいと思う。


だから、欲を言えば、アイコンやプロフィールで私を選んでくれた人には、中身も好きになってもらいたい……と思っている。

noteの仕組みのおかげで外見を好きになってもらった。もう、私がnoteをアップしさえすれば、自動的にあなたのタイムラインに登場する。そうであれば、魅力的なタイトルをつけて、最後の最後まで読んでもらえる文章を、丹精込めて作るだけだ。noteの仕組みがここまでお膳立てしてくれた。あとは自分で、読者さんを振り向かせるしかない。


エッセイとかコラムとか、小説とか。自分の内側を書くことで生計を立てていきたいと思っている。だから、「人気クリエイターに載せないでください」なんてことは、絶対に、口が裂けても言えない。使えるものは全部使う。それくらい強かにやっていかなければ、叶いっこない夢だから。

noteさんが、せっかく機会を与えてくれたのだから、
私はそれに応えるだけだ。そう、思っている。


フォロワーの皆様。

まずは、私をフォローしてくれてありがとう。

絶対、あなたを振り向かせてみせるから、これからよろしくね。



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