詩「雨とロックンロール」
ねえずっと倒れそうなまま生きてきたのではなかったっけ?
川沿いの道に石が幾つか転がって
ああその日も雨が降っていたな
ポケットに手を突っ込んで
傘は持っていなかったから
下を向いて歩いていく
石のひとつを蹴飛ばして
表層化しない反抗の渦がうかつにもまだ底のほうにあって
髪から滴る雨が肩を伝って
ノーカラーの白いシャツを濡らしては
立ち止まったら息が止まりそうだって
誰に言えただろう
気付いたら
老体にタバコ
まるで酸素呼吸器のように
葉が揺れて滴にうるおっていくだけの世界を
何と取り違えた?
水溜まりには遠くのビルと街灯と
死に体
やがて痩せ細っていくだろう
何を言われても言い返しはしない
泥濘に足を取られた
弾みで空を見上げれば
雨
雨 ああ
雨だ
無数の声に降られて
唯々ここに立っている
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