詩「夜明け」
知らぬ間に閉じ込められていた
というのは気のせいで
夜の闇が覆っていた
列に並ぶ人を見送り
ためらいはない
ほしいものなどない
とわかっていたから
公園で立ち尽くしてもさびしくはなかった
ダンスミュージックを鳴らして
高速道路に消えていく車を見送り
何もない夜
きっと
何もないことにしよう
コンビニの灯りが見える
猫が戯れる
信号は点滅を繰り返して
温かい風が吹く
階段を駆け上がる声はやがて電車の音に消える
悲しいことなど忘れられていく
iPhone に並ぶ文字
その向こうの海
見たこともない
のになぜあることを知っているのだろう
知ってしまったのだろう
道端に
花が咲いている
それが朝日に照らされて
青い
知らぬ間に
夜が明けていた
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