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暗箱

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#波音

詩「波音は聞こえずに」

砂利を踏む音が響いた 駅裏の駐車場 街灯が消えかけて 点滅を繰り返す 空にはまだ星のひとつも見えない マンションのベランダに 取り込まれないままの洗濯物が 風になびく 窓に順々と灯りがついて 砂利を踏む音だけが響く 駐車場で 思い出すのは 買いそびれたパンのこと 敷地の隅に 残されるようにある松の木が 音も立てずに揺れている 昔 この木を眺めたひとは 何を思い出したのか 灯りの消えた路上 ひび割れたアスファルト ブルーシートに覆われたものたち あれは 砂利を踏む音が響い