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大学キャリコンの魅力~どうやってなるの?から

大学キャリコンは学生を支援するのが主な仕事だが、指導やコントロールする一面もある。
大学職員として13年勤め、その後大学キャリコンとして7年半勤めた経験から、「キャリコン資格はとったけど、これからどうしよう」という方、なかでも大学などの就活支援に興味のある方に書いてみた、大学キャリコンの魅力です!

1.大学キャリコン求人の見つけ方

キャリコンを取得してすぐにとにかく経験を積みたいと考えていた私は、CDA資格なので、まずはJCDAに流れてくる求人をひとしきり見ていた。
大学名で求人が流れてくることもあるが、大部分は授業講師もキャリアカウンセラーも大学が企業にアウトソーシングしている場合が多数。
なので、応募の段階でどの大学なのかがわからないことも多い。
子育て中でフルタイム勤務は難しかったので、まずは週1勤務2コマ授業のキャリア教育講師に応募。大学職員経験があったからか、幸い面接が通りキャリコンとしての仕事を、まずはキャリア授業講師としてスタートさせた。
グループ6名ほどで一つの大学の授業をまわしたが、そこには多種多様なキャリコン人材がいらっしゃった。
大学職員出身、一般企業出身、転職アドバイザー経験者、キャリア教育ではないが講師出身、キャリコンのフリーランス、などなど。
「キャリコン経験がないし受からないかもしれない」という心配がある人もいらっしゃるかもしれない。
でも、
自身が今まで積み上げてきたキャリアや、自分自身が得意としていることを伝えることを最優先してもらいたい。
その企業や大学がどういったキャリコンを求めているかによって採用される可能性は全然あるということをこの時実感した。

その他、ハローワーク求人、indeedなどに掲載されていることもあるし、
実はキャリコン仲間からの紹介も多い。
現在、私もとあるキャリアサービス人材企業の業務委託として大学に勤めているが、定期的に「誰かいい人いたら紹介してください」と言われる。
キャリコン同士のネットワークを築いていくことは
これからの就職の機会になり、
そして大切な自分の資産になるのだ。

また、大学がweb上で直接採用をしているケースも。
家から近い、この大学に行きたいというターゲット校があるのであれば、
常にチェックしていただきたい。

2.いざ大学でのキャリコン勤務スタート
そこで起こること

私の勤めている大学では1日で学生10人の相談を担当。
特に本学は総合大学で、学部も様々。

薬学部、看護学部、教育学部、経済経営学部、スポーツ関連、IT情報関連、メディア関連、観光関連・・・

え、こんな会社あったの?の日々。

学生さんが「こういうところ受けるんですけど志望動機が書けなくて」
と相談に来られる。全然知らない会社が毎日出てくる。その会社を調べる。知らない職業も出てくる。またまた調べる。
薬学部や看護学部は採用試験に小論文があることが多く、小論文の添削も徹底的におこない、専門用語にも慣れてきた。
これを7年続けてきたことで、いろいろな仕事や会社を知ることができた。「大学で相談業務を」と考えていらっしゃる方、
ファーストキャリアはぜひ多種多様な学部が集まる大学がおすすめ。
「どんな就活相談でもできる」という自信になり
その後の自分自身のキャリアにも大きな資産となります

また大学内のカウンセラーは自分ひとりであるというケースはまれで、
むしろ老若男女を取りそろえたカウンセラーさんを有する大学が多い気がしている。
学生さんにとってどういう人があうかはそれぞれであり、
大学としては様々な人材をそろえておきたいからだ。
もちろん性別や年齢別だけでなく、
やさしく包み込むようなカウンセラーがいれば、
バシバシと鍛えてくれるようなカウンセラーもまた需要がある。
そうすると、キャリアに正解はないと言えど、
なんとなく周りのカウンセラーさんと意見が異なるケースが出てくることも。
私も7年たっているのにまだ出てくる。
それは自分の支援が間違っているわけではない。
学生さんに日頃言うのと同じく、

カウンセラー自身が支援の軸を持つことがとても大切だと思う。


「私は学生さんたちにとってどのような存在でありたいのか」
「この学生さんに伝えたいことは何なのか」
その自分の軸にそって支援することが大学キャリコンにとって最も大切なことだと思う。
そしてその軸を事務方の職員さんにも伝えておくべきだ。
「私の軸はこの大学の方針にあっているのかどうか」をはかる目安になり、もしずれているとわかったら、時には自分の軸を修正することも必要になってくる。
特に大学直接雇用ではなく、業務委託、派遣などの場合はなおさら。
自分自身のやりたい支援と、大学側の方針が違うこともままある。
その時に、私のやりたい支援はこれではない!と自分の意見を主張して、
別の大学を探すのもあり、
なんとなくの折衷案を見出すのもありだと思う。

もし本当に自分だけの支援がしたいのであれば起業や独立しないとなんともできないのではないだろうかと私は思っている。
大学の意向だけでなく、派遣元の意向も存在するからだ。
でも、その大学での勤務を自分自身の経験ととらえているのであれば、その自分自身の支援軸を微調整することも必要となってくる。
大学側の期待にこたえることもまた業務の一つだから。

たとえばこんなことがあった。

教員から「ガクチカにアルバイトのことは書かせないでくれ」とのクレームが入ったのだ。学生の本分は勉強であり、アルバイトのことを書くと、学生時代勉強をしていなかったかのように見えてしまうとのこと。
そう考える教員や、採用担当者がいることもわかっている。
だが、私は採用担当の方が履歴書全体を見たときに、
学生さんの多面的な人生をみてもらうために添削する
と軸を決めて添削をおこなっていたので、まずは職員さんに自分自身の添削趣旨を説明した。
なぜその学生さんはアルバイトで書くことがふさわしかったのか、また履歴書やESの項目全てが学業になってしまうことの危険性などもふまえながら。
職員さんを味方につけたことで、職員さんから先生に話をしてもらい、学生によってはアルバイトを書いてもいいということで落ち着いた。
これぞ折衷案。
「人によっては」なので、私はこれからもアルバイトを書いてもらう!
この学生さんにとって、アルバイトが素晴らしい経験になっていたり、
なおかつその学生さんもアルバイトのことを伝えたいのであれば、
存分に書けるというお墨付きをいただいたのだから。

また、同じく教員からの話で、
「就活についてのセミナーをキャリコンの方にお願いできないか」と話があった。
もともと講師に興味があったこともあり、二つ返事で引き受けた。
一つ開催し、そこそこの支持を得ることができると、
うちの学部も、うちの学部も、となり、結果的にほとんどの学部でキャリア授業を経験できた。
一から教材をつくり、その年の学生さんの傾向や先生が伝えてもらいたいということをおりまぜて講義にしていった。
これは大きな経験値である。
また授業で教壇に立ったことで学生に顔を覚えてもらえたので、
その後ご指名をいただいてカウンセリング予約されることが急激に増えた。

大学のキャリコンをスタートさせると・・・
1.自分自身の知識の幅を広げる必要性が出てくる
2.自分自身の支援軸を探し固めていく作業が必要
3.大学側の支援方針と合わないことが出てくる
4.支援室の職員さんと常にコミュニケーションをとるといい
5.契約にない仕事依頼もくる(すべて引き受けよ)。

3.支援時々教育、まれにコントロール

私は常に学生さんには応援的立場で接しようと思っているが、
時に教育や指導といった面もある。
例えば、学生さんが面談に大きく遅刻してきて悪びれる風でもなく面談を始めようとしたとする。
もしそんな姿勢で面接に行ってしまおうもんなら大変なので、
「これが面接でも遅刻するかな」
「これが面接だったら、第一声なんて言う?」
などと、小姑のような回りくどい指導をするときがある。
我々のカウンセリングをサービスと考えるのであれば、特に指導はしなくてもいい。だが、大学にいる以上我々キャリコンも教育者だと思っている。
特に就活は日頃の所作や姿勢がすぐに出てしまうもの。
それをご理解いただけるまで説明する。
その結果、二度と面談に来なくなる可能性もなくはないのだが、
だとしても、就活に臨むうえで、最低限のマナーは理解してもらいたい。
そのような姿勢で特に難なく面接をクリアできたとしても、その方は入社後きっと苦労する。
我々は内定をゴールにすえる内定屋ではなく、教育者の一人でありたいから。

また、大学側の意向により、学生さんをコントロールしなければいけない場面もある。なんの就活もしないまま4年生の後期になり、先生に言われてしぶしぶカウンセリングにくる学生も毎年多数いる。
その場合、なんとか次の予約をとって継続支援してもらいたいと大学側からの依頼が入る。それには私自身も反対ではない。
よほどの理由があり就活をしてこなかったのではなく、もしさぼっていたとか、なんとなく就活できていなかった、とかであれば、
やはり一度は就活を経験してもらいたい。
一度やってみて見えてくることがあるからだ。
また就活は内定先を決めるだけが目的ではなく、内定後の未来をえがくことに他ならないからだ。
「フリーターでもいいんで」という学生さんだったとしても、次回来てもらい、今後をどう生きるかを一緒にイメージしてもらう時間は必要だと考えている。なのでその場合私も手段を選ばない。
次回も来てもらうため、
「この話の続きは次回ね~」とか
「これ宿題ね、やってきてね」とか
「次予約入れといたからね~」とか
少々姑息な手段を使ってでもコントロールするときがある。
それが学生の意思と反していたとしても。
カウンセラーとしてはどうなの?だが、
私の支援軸からするとアリなので、がんがんやるのだ。

4.大学キャリコンの魅力

大学キャリコンの魅力を一言で伝えるとすると、
それはやはりその方の未来について一緒に考えることができること。
そしてカウンセラーにとってわりとオリジナリティーを出すことができることも魅力の一つである。
同じことを、(他のカウンセラーさんとは違う)私はどう伝えたいのか、
同じことを、相手の学生さんが違えばどう伝えるといいのか。
カウンセラー業務はわりとクリエイティブである。
私の支援と学生さんの要望とが合致する瞬間がある。
その瞬間、あぁやっててよかったと毎回思える。
相談中に学生さんの目がふと輝く一瞬がある。
それを見ることができれば、それをおかずに3杯白飯をいただける。
苦労して苦労して、学生さんの努力が報われ、それをわざわざ報告に来てくれたりすると、それを肴に3杯飲める。
こういった経験はただただ積み重ねることができる。
学生さんとひとつひとつ積み重ねていったこの経験は資産となる。
来年の以降の学生さんにいきる。
私のキャリアにいきる。
そして社会を少しよくすることができると思うのだ。


※大学キャリコンに関してわからないこと、聞いてみたいことあれば
TwitterからDMください。
わりとなんでもお答えします!


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