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少年社中の舞台「テンペスト」が演劇愛を叫ぶ大嵐だった話

 2024年1月8日ソワレ、12日ソワレで舞台「テンペスト」をサンシャイン劇場で見てきた個人用メモです。個人用メモである上に、普通にネタバレがあるので気をつけてください。
 劇中劇でテンペストやっているんですが、劇でもテンペストをやっているので、テンペストを見に来ている私たちが見ている劇団がテンペストで劇中でテンペストを… ?

ウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』を上演することになった人気劇団。
だが稽古を迎える前に演出家が急死。
困り果てた劇団員の前に現れたのは、一人の天才役者だった。
彼の存在は反発と憧憬と混乱を生んだが、どうにか公演初日を迎えることとなる。

まさに開演しようとしたその時、劇場にかつて劇団を追われた男が現れる。
その男の目は、復讐の炎に燃えていた…。

彼の発した宣言により、嵐のような初日の幕が開ける。

『テンペスト』は裏切りと欲望、そして悲しき過去の渦巻く怒涛の物語として進んでいく。
復讐の果て…その終着地とは?

「さあ、始めよう。
私の人生を奪った“演劇”に復讐を」

公式サイト

サンシャイン劇場

 サンシャイン劇場、初めての1階席。当日券多いマンは大体2階席なんだ。1階席、めっちゃ良かった。2階席も傾斜がついているので、見やすくて全然良い。ただし、その道中の階段ヤバすぎるのでエレベーターかエスカレーターを今からでも付けてください。まだ間に合います。よろしくお願いします。

#社中テンペスト

 少年社中さんがシェイクスピアそのままやるはずがないので、全力で楽しむには…!と思い、原作テンペスト読みました。原作も好きだった。シェイクスピアに出てくる若き男女、初見で婚約するのなんなん。

構成すご

 「テンペスト」の構成がすごい。自分の理解では3つのテンペストが同時上演されていて、今誰がどの立場で喋っているのかを敢えて曖昧になっている部分もいっぱいあった。知らんけど。

レイヤー1(メタレイヤー):劇団・少年社中の舞台「テンペスト」
レイヤー2(劇中):架空の劇団・虎煌遊戯の実質「テンペスト」的な状況
レイヤー3(劇中劇):劇団・虎煌遊戯の舞台「テンペスト」

なんかすごかった

 レイヤー1はメタレイヤーなんだけど、劇団・虎煌遊戯の25周年記念舞台として「テンペスト」を上演している時点でもう重ねて見ろ!と言われている。
 劇団・虎煌遊戯の舞台「テンペスト」には途中休憩があったけど、休憩中の劇団の様子をレイヤー2で観てる為、劇団・少年社中の舞台「テンペスト」の舞台には途中休憩なかった。両方とも、ロビーで劇団・虎煌遊戯の25周年記念Tシャツは売っていた。おもろいかよ。
 最初は各レイヤーがそこそこ分かりやすく演出されているのに、後半になって、あれこれは劇中劇の台詞なの?脇で言っている台詞なの?ってなってくる。
 最後のシーンはもはや全てのレイヤーで1つのシーンになっているといっても過言ではなく、客席(レイヤー1と3)と舞台(レイヤー2と3)を行き来している主人公だけでなく、最後にレイヤー1の観客まで舞台「テンペスト」の登場人物に昇華。でも観客を巻き込むのはシェイクスピアの原作通り。あちぃ~
 原作のテンペストのシーン(と何故か別の作品の台詞w)と虎煌遊戯の演出家の台詞と少年社中としての台詞が同時に飛んでくるので、ちゃんと受け止めるには3回以上観ないといけない可能性が高い。もう1回行きたかった。できれば最前センター下手寄りの魔法の席に座りたい。

キャスト

■鈴木さん:毛利さんが見たい鈴木さんというのは非常に信頼がおける。ポスターの衣装もめちゃくちゃ素敵だったんですが、劇中衣装がなんかのポケモンみたいなシルエットで非常に可愛かった。ダンスが上手いわけではないが(ターンの軸とかめちゃくちゃ気になるのに)まじ最強の妖精だった。群衆の中で視線を集める天才。台風の目。舞台上いっぱい人がいるのに鈴木さんから目線外せない瞬間が多いのはほんま流石ですわ…
■本田礼生:ええ役もろたな…!と何様視点でずっと思っていました。コメディの動きが上手すぎる。劇中劇の道化師達もいざこざに巻き込まれている劇団員なので、ファーディナンドと同様の爽やかな風、癒し、秀逸なコミックリリーフ。エーステ夏単を要所要所で思い出す等した。
■井俣さん:ラスト、プロスペローの独白に沿った「演劇の熱き炎でこの身を焼き尽くす~」付近の台詞、羨ましかった。劇中のいろんなものと現実のいろんなものを背負ってあのセリフ言えるカッコ良さと、今までの人生をあんなに肯定してもらえる台詞があるの本当に憧れる。超絶かっけぇかった…
■鈴木勝吾さん:声のでかいやつが芝居が一番上手い!(褒めてる)
■森大さん:1/8公演の日替りサコン。社中ロミジュリファンとしてはこの日行けてめっちゃ良かったです。森大サコンさん、ランくんにやたらロミオ役の人の演技参考にした方が良いよ言ってたし、長すぎて強制終了させられてたw
■山川ありそさん:私、多分ありそさん好きだわ… ロミジュリから三人どころじゃないから全部ありそさんの役好きだわ… なんかいいよね…

 まじ毛利さん出演日に観に行きたかった。あのシルエットであの場であの台詞を言う毛利さんに会いたかった。
DVDに全日替り出演者クリップ入れてください。お願いします。

まとめ

 案の定、一筋縄ではこない少年社中さん。もはや「一捻り加えました!」とかが可愛く見えてくる、メビウスの輪を入れ子構造にしたみたいな構成になってて過去と現在と現実と非現実と劇中劇と劇の境目が曖昧で非常に心地良い嵐だった。ずっと夢の続きを見せてください。
 30周年の「真夏の夜の夢」が今からとても楽しみです!!!


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