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祖父の本棚

祖父は代表取締役だったらしい。本人から聞いたわけではないし、本当かはよく分からないが父親が「結婚の挨拶に行くときは緊張した。社長の娘だなんて思わなかったから、、」と言っていた。
社長の娘のはずの母親は、「代表取締役なんて、なに取り締まってるんだろうなぁって思ってたから社長だなんて思わないじゃない」と言っていた(なんとなくお嬢様の雰囲気はある。だが、貧乏だったとずっと言っている。)

私は祖父の「一生勉強」という言葉を意外にも大切にしている。意外なのは、とくだん祖父を好き!!というわけでもなかったからだ。役職のある仕事を任され始めた頃に残業がきついと言ったら「無能だからだ」と言われてとんでもなく腹が立った。(思い返すと事実である…)
そのくらい特に甘やかされた記憶もなく、どちらかというと厳しい祖父だったが、私は意外と祖父の言葉を大切にしていることが多い。

そんな祖父が脳卒中で倒れた。余命数ヶ月と言われていたが現在も元気である。久しぶりに祖父の家を訪ねて、本棚を見せてもらったら私が最近読まなくてはなぁと感じていた本がたくさん置かれていた。
ドラッガー、古文書の読み方、IT用語、アルゴリズムetc…
ドラッガーは現役から大切にしていたと言っていたが、IT用語など変わりゆくものも適切にどんどん仕入れていたのだと感じた。
いくつか本を借りたところ、クラウンドファンティングに線が引かれていたり時代の先端を常に見ていたんだな。やっぱり社長だったんだろうなと思う。

やっと、祖父の言葉を素直に聞けそうになったところだが祖父は話せない。ラジオで片時も休まず知識を得続けているのをみると頭が下がる。
ひとまず、祖父の本棚から少し遅れてではあるがIT用語やドラッガーの本を拝借しようと思う。

あとがき
毎日何かをするということはそれだけすごいことだと実感する。
祖父が倒れたのは、1人目が産まれる直前だった。会わせられないかもと思っていた1人目のひ孫を見せることができ、さらには2人目にも会っている。
長生きしてくれるといいな。


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