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ブックレビュー

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読んだ本の感想を書いています。読む本を探すときなどの参考にしていただければと思います。
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#読書

最近、本を読めていますか?【『本を読めなくなった人のための読書論』 読書メモ】

なぜ読んだ?最近、あまり本が読めていない。研究や仕事に関する本・論文を必要に駆られて読むことはある。しかしその読みは苦しく、逃げ出してしまうことが多々ある。 趣味を仕事にしたら楽しくなくなるとはよく言ったもので、仕事で「読む」をするようになると、不思議と趣味での「読む」がなかなかできなくなる。 そんな葛藤を抱えながら、久々に1人で図書館をさまよう時間を取った。終わらせなければならない課題を抱えて図書館に来たものの、心が浮いたので机には座らなかった。研究で使う理系チックなコーナ

東大生が『東大生となった君へ』を読んで感じた、この本を読む意味【ブックレビュー】

Q. なぜこの本を読んだ?A. 大学3年生の頃、公共図書館にあった「大学生におすすめの本リスト」に載っていたのを見て。大学での学びとは何か、大学で身につけると良い能力とは何か、といったテーマに興味を持っていたので読んでみた。 基本情報タイトル:東大生となった君へ 真のエリートへの道 (光文社新書) 著者:田坂広志 出版社:光文社 Amazonリンク↓ 感想総論真のエリートとは何か、社会ではどのような変化が起こっているのか、それを踏まえて大学生のうちに鍛えるべき能力とは何か

"思考本"の定番をブックレビュー【思考の整理学】

Q. なぜこの本を読んだ? A. 「思考すること」について書かれた本の中で、長く読み継がれている定番の本であるから。 基本情報タイトル:思考の整理学 (ちくま文庫) 著者:外山滋比古 出版社:筑摩書房 Amazonリンク 感想かつて、東大京大の書籍部において数年連続で「最も売れた本」となった本。「思考すること」について書かれた本の中で定番と言われる位置を占めている。 余談だが、瀧本哲史は『2020年6月30日にまたここで会おう』において、自分の書いた本が『思考の整理学』

神は細部に宿る【『最後の秘境 東京藝大』ブックレビュー】

基本情報タイトル:最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 著者:二宮敦人 出版社:新潮社 Amazonリンク↓ 2021年1月30日に読了。 感想2年くらい前だったか。下北沢のブックオフでこの本を見かけた。タイトルを見る、手に取る、目次を見る、本文をぱらっと見る。面白そう。具体的には、自分の生きている世界と違った世界が覗けそうなので面白そう。だがそのときは買うに至らなかった。 そして今日(2021年1月30日)、公立図書館の377(大学)コーナーを眺めていたら、本

逸脱した欲望への恐怖 【『コンビニ人間』読書メモ】

基本情報タイトル:『コンビニ人間』 著者:村田沙耶香 出版社:文藝春秋 私は2020年7月に読了した。 以下、ネタバレを含みます。 ----------------------------------------------------------------------------- 感想恐怖と安堵という相反した読後感を与えてくれる不思議な小説だった。主人公に100%共感する人はあまりいないと思うし、どこか恐怖を感じてしまう部分があるだろう。しかしながら、不文律から