飲食企業応援 ~アフターコロナ経営V字回復セミナー~ 【Seminar Report 20200521】

こんにちは、インフォマートの佐藤です。5月21日に開催された、株式会社タナベ経営と弊社の共催セミナーのレポートをお届けいたします。飲食企業向けに経営回復をテーマに、実際の課題解決策についてわかりやすく解説していただきました。

◆セミナータイトル
 飲食企業応援 ~アフターコロナ経営V字回復セミナー~
◆登壇者
 株式会社タナベ経営 経営コンサルティング本部 原泰彦様
 株式会社インフォマート マーケット開発室 室長 石塚賢吾

【外食チェーンが今できる経営再建ステップ8項目】

 はじめに原様から、ケネディの言葉をご紹介いただきました。
“東日本大震災以降の日本の経済環境は、『上げ潮は全ての船を持ち上げる』経済状態でありました。今回のコロナショックで起きた・今後起きる出来事は食関連ビジネスに関わる全ての人が初めて経験することです。感傷的になったり、自分でコントロール出来ないことを悩むのではなく、コントロールできる範囲に集中しましょう。政治批判は時間のムダ、経営者は政経分離で経営に専念すべきです。”
『Do your homework!』
 自分自身の課題、自社の課題、経営者としての課題、幹部としての課題、飲食店に携わる営業パーソンとしての課題…こういったものを全て片付けていきましょう。

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◆海外事例に学ぶWith コロナでの消費者行動5つの着眼
 大きなインパクトがあった時には、過去の歴史や海外の事例に学ぶのが原理原則とのこと。今回は、下記5点の事例をそれぞれご紹介いただきました。※資料提供:TNC
   ①ローカル消費、コミュニティ連携
   ②オンライン体験の多様化
   ③「おうち時間」の充実化
   ④業態の変化や転換、異業種連携
   ⑤自宅の拡張的使い方としての自動車

①ローカル消費、コミュニティ連携
 オランダの事例です。地元の農家・ベーカリー・牧場から直接購入できるサイトが、新鮮かつ生産者の顔が見える物を買えると利用者にも好評だそう。コロナにより輸出や飲食店への販売ができなくなった地域の農家を、品物を購入する事で支援しています。最寄りの開催場所と日時を参考にネットで予め注文した商品を引き取りに行く試みもあります。日本のマルシェのようなイメージです。
 中国の事例では、食料品を町内会単位でグループ購入する動きが増えているそうです。実店舗での売上減少に危機感を感じた市場が始めたものですが、一括購入により通常より割安で購入できるため、コロナ終息後も定着する可能性が高い事例です。

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②オンライン体験の多様化
 ドイツでは、ビデオチャットを使用して、家族や友人とボードゲームやカードゲームをするのが流行っています。オンラインゲームとは異なり、小さい子どもやお年寄りでも取り組みやすく、どの家にもあるトランプやサイコロを使って遊べる手軽さが受けているそうです。祝日や休暇に親戚で集まってボードゲームをする文化があるため、特に4月のイースターでは、外出制限令で会えない分、できるだけ長くオンラインで家族一緒の時を過ごそうという動きがあったようです。
 スウェーデンでは、現在休館中の美術館、博物館と共に、ストックホルム市庁舎が動画配信をスタートさせました。一般公開されていないため今まで中の様子を詳細に知る機会はありませんでしたが、自宅でテレワークをしている人を対象にスウェーデン語で情報を発信していて、地元の人が今まで知らなかったエピソードなど交えて案内してくれます。

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③「おうち時間」の充実化
 デンマークでは、イベント会社がオンラインイベント・サポートサービスを開始しました。企画者はプラットホームから企画を申し込み、値段・対象年齢・開催日時などを設定しておきます。参加者はプラットホームからチケットを購入(無料イベントもある)、モノを使ったイベント(試飲会・試食会・ワークショップ・ゲームなど)ではイベント会社がサポートしてくれ、参加者の自宅には、イベントで使う各種アイテムが開始前までに届きます。今まで、ワインやビールの試飲会、パンを焼く会、バリスタ講座、食事会など
様々なイベントが開催されていて、収束後も引き続きニーズがあるとみられています。

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④業態の変化や転換、異業種連携
 アメリカでは、新型コロナ感染のリスクが高い高齢者がスムーズに買い物できるように、開店前の1時間を高齢者限定の時間にする動きが広がっています。その中で、Uberがスーパーマーケットチェーンと連携して、来店する高齢者の運賃を半額にする期間限定サービスを始めました。60歳以上が対象となっており、専用のプロモーションコードを入力すれば上限$20が割引きになり、週に2回利用できるサービスで日本で言う3密も考慮されています。
 またイギリスでは、観光バス運営会社が外出規制によってツアーがキャンセルになり稼働していないミニバスを利用したサービスを開始しました。自宅隔離などで買い物に行けない方のために、生活必需品を無料で届けています。食品だけでなく、病気のお年寄りのために処方箋の薬を買いに行って届けるなど、あくまでも善意の行為ですが、全国ニュースにも取り上げられるなど企業名の宣伝にもなっているそうです。

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⑤自宅の拡張的使い方としての自動車
 ミュンヘンのイタリア料理店では、敷地内の駐車場を生かして車内で料理を堪能できるサービスの提供を開始しました。通常のメニュー、ドリンクだけでなくフルコースも注文可能です。車の中にいながらもきちんとした食事を楽しんでもらうため、レストラン内で使用されるものと同じ食器やテーブルクロスを使用。従業員は全員マスク・手袋を着用するなど安全面も徹底していて、食べ終わった後の食器は車の横に置かれた小さい机の上に置く仕組みで、直接のコンタクトも最低限に抑えられています。非常に面白い取り組みです。
 デンマークでは、車ごと会場に入ってコンサートを楽しむドライブイン・コンサートが開催されました。音楽演奏のほかコントやフィルム上映なども行われたそう。通常イベントだと、会場付近に駐車場を作る必要があるなど駐車問題が付きまといますが、駐車場でそのままイベントを開催できれば、スペースを有効活用できます。

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 今回のセミナーでは、タナベ経営様の参考資料『赤字店舗再建手法』と『マーケティングカレンダー』を参加してくださった方々へ参加特典として配布させていただきました。お客さんの視点や行動の変化を知っていただき、ご自身のお店に活かしてほしいというメッセージでした。上記8ステップの中で話されていた 『弱いから負けるんじゃない、負けるから弱くなるんだ』 という言葉は非常に印象的でした。3点、参加者特典の一部もご紹介いただきました。

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 例えば100店舗のチェーンの場合、多いと約半分の店舗が赤字で、よくて2,3割程度のようです。外食上場企業でも、営業利益率が10~15%を超えている場合は赤字が無いんだそう。

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【まとめ】 
 土佐料理司~4月入社社員が企画・撮影・編集した商品紹介動画を教えていただきました。
  https://www.youtube.com/watch?v=2JwYTCkArio
 参加いただいた方々へは、ご紹介した海外の事例をもとに、withコロナ、アフターコロナでの消費者の行動変容に対して、自社のサービスをどう提供していけるかを考えてほしいというメッセージをいただきました。HPからも様々な情報をご覧いただけますので、ご興味ある方は資料請求してみてはいかがでしょうか。タナベ経営様HP:https://www.tanabekeiei.co.jp/

【正しい現状分析をするための体制整備ノウハウ】

 タナベ経営様のお話にあった8ステップの中の1つ目に、正しい現状を認識するという内容がありました。正しい現状を知るお手伝いを、インフォマートでさせていただくべく、ご紹介させていただきました。まず、大きくは4つの理由から、質の高いサービスを維持することが難しくなっているという点や、飲食店は始めやすいが倒産件数は非常に多いというデータをご紹介しました。

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◆FLコストについて
 飲食店の収益構造のおさらいから、正確なFLコストを把握しましょうというお話をさせていただきました。
      FLコストとは・・・ F(材料費)+L(人件費)
      FL比率とは・・・{ F(材料費)+L(人件費)}÷売上高
 F(材料費)は30%以内、L(人件費)は20%以内、合わせて50%以内が理想であると言われています。ですがこれを、1ヶ月や1年という単位で見ても、あまり意味がありません。1日単位で、勝っているのか負けているのかを把握することが重要です。

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 毎日把握する方法として、データ連携をご紹介いたしました。売上、勤怠、仕入のデータを合わせることで、日次損益を正確に把握し現場が日々の勝ち負けを判断することが出来ます。インフォマートで、出店傾向にある企業(3年間で7ID以上増加)と減少傾向にある企業(3年間で3ID以上減少)で、日報連携を行っている割合を比較したところ、成長企業59%、衰退企業39%と圧倒的に成長企業が高い結果になりました。

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◆仕入れ分析でコスト削減
 続いて変動費を抑えるというお話です。インフォマートを導入された企業様からよく言われることが2つあります。1つ目は、「一時的に原価が上がった」と言われることです。これは、導入したことにより、正しい評価単価で棚卸ができるようになったためです。2つ目は「食材費のコストが削減できた」というお声です。いわゆる“一物複数価”の見直しができたためです。
 例えば同じマヨネーズでも微妙な価格差があったりします。これが紙だと分析することは非常に困難なのですが、インフォマートの場合、運用分析ツールの「取引商品年表」で、一物複数価が無いかチェックできます。このデータを使えば、スケールメリットを活かした値交渉もできるため、実際に見直しをした結果原価率を4%カットできたという事例もありました。

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【まとめ】
 データが蓄積されることにより、正しい現状把握をすることが可能です。原様のお話にもありましたが、正しく把握することは非常に重要で、コロナ禍はもちろんのこと、この体制を作っておくことはコロナ終息後も必ず役に立ちます。インフォマートとしては、そのお手伝いができれば大変嬉しく思います。

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