マガジンのカバー画像

連作

9
連作をまとめました
運営しているクリエイター

#短歌

連作 親友なんです

連作 親友なんです

今から三年前に発表した連作を見つけたので、載せようと思います。2017年の大阪文フリで配布した関大短歌のフリーペーパーに載せた連作です。その時に載せた自己紹介も載せました。海遊館に行きたい。

親友なんです見覚えのある背中に体当たり 友達以上恋人未満

知ってるけど夏の思い出聞いておく 吐息がかかる電車の中で

チケットをなれた手つきで買ってきて今日だけ「ツレ」の称号を得る

シーラカンス 

もっとみる
春と夏の子

春と夏の子

相席短歌に載せていただいた連作です。

「春と夏の子」

すれ違う人を桜と呼んでいて君を欅と呼んでいる日々

手のひらをくすぐるような冷風で夏の便りを受け取りました

チョコモナカジャンボを食べる早朝に給油している軽トラック

大雨が奏でる音に立ちどまる鍵盤がわりの傘は小さい

まるまるとまどろむ猫がいる日陰駐車できない5番の車 #tanka #短歌

海の足跡

海の足跡

心臓を持たないものが支配する夜から朝へ移りゆく時間

布団からでたら覚めちゃう夢だから匂いも熱も今はわたしの

味噌汁の湯気がくすぐる 美味しい、と食べる前から伝わるサイン

古びてる学生ローンの看板を見つめる人を追い越す群れよ

夢ばかり見ていた人が今もまだ夢を語って画面にでてる

押し寄せる波、波、波の砂浜に打ち上げられない思い出があり

ゆらゆらと雲の形は変わるから空を見上げて歩いてしまう

もっとみる
ヒーローとヒロイン、私

ヒーローとヒロイン、私

「ヒーローとヒロイン、私」月一で京都に通う 京阪に乗れば始まるプロローグは

十五分遅れてヒーロー参上し本を閉じれば劇が始まる

ヒーローは優柔不断パフェ一つ選べないままおやつの時間

二番目でいいから私、続かないセリフの前に笑いあってる

ヒロインは怒った顔も美しい空気も光もひざまづかせる

微笑んで貰ってくれたヒロインの手の甲にいる毛糸の子猫

振り向けば二人がいない舞台上 照明係は仕事をやめ

もっとみる
憂鬱がタップダンス

憂鬱がタップダンス

2017年6月まで、Twitterで詠んだ短歌のまとめです

指先が触れたガラスは泣いていた空気に溶けた悲しみが雨に

しゃべれども君は聞かない悲しみで顔が溶けてく印象派の絵

君にいつどこでお土産渡そうか袋のシワが語る恋心

君の背を見つけられない水曜は憂鬱がタップダンスをする

やわらかな世界に僕は勝てなくて腰まで浸かり骨がとけそう

百五十グラムで胸が騒がしい笑みが止まらぬ単行本よ

また今

もっとみる