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【不妊治療】第5章【顕微授精のスタート<1>】 朝は、まだ来ない【後編】

朝は、まだ来ない【後編】

平成9年1月18日

失敗する事を、考えていないわけでもない。
そう言う事もあるだろうし、そう言う時こそ強くならなければ・・・と思う。

ワラをも掴む思いで、Mクリニックを訪ね、2ヶ月以上になるが・・・。
こんな事もあるのか・・・別の不安が襲ってきた。

今日はM院長の診察だったので、主人にも説明を受けてもらおうと、クリニックに来てもらった。

私は先に内診を受けて、主人と一緒にM院長の前に座った。
内診の結果、、、『あまり良い状態じゃないです。』と言われ
・・・??なぜ?

M院長の話をまとめると・・・卵巣機能の低下、そして位置が悪いと言われ続けていた左の卵巣の卵胞がかなり大きくなってきていて、肝心の右側がまだまだ小さい。このまま左だけが大きくなって卵巣が腫れて、右側がこのままと言う事も有り得る。
そうなると危険なので、今回はキャンセルという事になるかも・・・とにかく、もう少し排卵誘発剤をうって、様子を見ます。・・・と言う事だった。

『キャンセル?!』ってなに??
キャンセルなんかになったら、この1週間はなんだったの?
毎日スプレキュア
をしたり、仕事を休んで通院して・・・痛い注射を受けて、そこまでかかった費用だって・・・。どうなるの?どうすればいいの?

頼むから、右側の卵胞も大きくなってよ!
位置が悪い左からは採れないんだから・・・。それでも、排卵誘発剤の注射をして帰る事に・・・明日の日曜も9時に通院して、注射だ。

月曜の診察で、少しでも改善されていればいいのだけれど・・・。
M院長は、改善されれば『早くて水曜~金曜のうちに採卵できますよ。』って言ってたけど・・・。
それはあくまでも、右側の卵胞が大きくなっていればのこと・・・。
キャンセルと言うこともあるのだ・・・。

何をどうすればいい??
失敗するもなにも、肝心の卵子が採れないんじゃ、お話になんないよ。


平成9年1月20日

よかったぁ・・・右側の卵胞も大きくなってくれている。
しかも、たくさん出来ていた。まだ16~17mmぐらいだけど、なんとか左に追いついた。
今日の診察で「あと、もう少し右が大きくなったら、採卵できますよ。」と言う事だった。あぁ、よかった・・・本当に、よかった。

とりあえず、注射液の量を今までの≪2/3≫にして「100ml」を、うつ事になった。

私は、昨日・・・反省した。
心の何処かで、主人を責めてきたのじゃないかと・・・。言葉にして、彼に言った事は1度もないが、こんな状況になったことを心の何処かで責めてきたんじゃないだろうか?
そんな私を神様は戒めたんじゃないのだろうか・・・?!

私をずっと支えてきてくれたはずの主人の事を・・・。
主人に≪不妊の原因≫を背負わせていた私に『左の卵巣の位置が悪く採卵できないのに、その左の卵胞ばかり大きくして・・・私にも不妊の原因があるのだよ』と、私に気付かせてくれたんじゃないのだろうか?


平成9年1月21日

採卵の日が決まった。1月23日(木)だ。やった!やっとここまで来た!

『今日は、今年一番の寒さになりました。雪が降るでしょう・・・』と天気予報で言っていた。でも、風は強いけど、朝から天気がよく、青空が広がって、陽が当たって・・・気持ちがいい日だ

内診では、右側の卵胞もかなり大きくなってきていて、数も多い・・・M院長は『数えきれないなぁ』『大きくなっている卵胞の数だけ数えて大きさを確認しておきます』と、おっしゃっていたが・・・。
ひとまず、木曜日に採卵が出来る事になった

ただし『卵巣過剰刺激症候群』を避ける為、採卵後5日間は安静にして下さい・・・と言われた。そう、たくさん卵子が出来過ぎも良くない事なのだ。

 今夜、HCG(胎盤性性腺刺激ホルモン)という、排卵を促す注射をうちに、夜10時30分に、再びMクリニックへ行く。
夕方の4時に最後のスプレキュアをして、採卵までの準備となる。

明日は通院しないが、夜9時に下剤を飲んで絶飲食となり、採卵が終わるまで何も食べれないし、何も飲めない。
そして、23日朝8時45分に通院して10時30分には、いよいよ採卵初めの1個が採卵でき確認できたら、主人が採精するという運びらしい。その後、2時間安静にして帰宅。・・・という感じだ。

とにかく今夜のHCG注射から、36時間後の採卵までは、無理をせずゆっくり過ごそう。

同意書や、承諾書、etc.を書き、今夜Mクリニックへ持っていかなくちゃ。

あぁ、嬉しい
まだ、始まったばかりなのに、ここまで来た事が、・・治療が前進した事がこんなに嬉しい
・・・やっと採卵が出来るってだけなのにね。
大変なのはこれからかもしれないのに・・・。

どうか神様、顕微授精を成功させて下さい。おねがい・・・

夜、10時半。MクリニックへHCG注射に行く。主人に車で送ってもらう。Mクリニックのあるビルは、すでに表玄関がしまっているので、裏の方にあるインターホンでクリニックへ連絡、看護婦さんが迎えに下りてきてくれる。

他の患者さんとは採卵時間に当然ズレがあるので、私ひとりだった。
私より早く採卵する人は、9時・9時半と、言う具合に、少し早くMクリニックに来てHCGの注射を受けに来たらしい。私の後もあるのかな?

みんな、成功するといいね・・・

次回・・・第5章 顕微授精のスタート<2>
あの光りは錯覚だったの?・・・
をお届けします。


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