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キングオブタンクトーナメント

映画は〝人間〟を描かなければならない。映画は社会を〝批評〟をしなければならない。……そんなもん本当に面白いのか? 映画は他人を見下す道具ではない。
note空想映画劇場 ゴールデン・フェイク 開演です。

ひとりよがり上等! ゆるゆる設定、大歓迎! 全力ご都合主義宣言!

〇おじいちゃんには夢がある。

 10式戦車、レオパルド、M1エイブラムス……。
 太陽系一の大富豪、アリアル・戸巻には疑問があった。大好きな戦車の中でどれが一番強いのか?

 御年72の老人が昭和の小学生のような思考を持っていることにも驚きだが、それを実行できる理不尽な財力と政治力を持っているから厄介だ。

 この面白老害のシャレにならない思い付きは、テラフォーミングした火星を舞台に開催される事になる。

〇さて、ルールは?

 実行委員会を設立し、レギュレーションほか賞金などもろもろの付帯事項を決める。もちろん、面白老害の意向が最優先されるのはこの手の作品のお約束だ。

 戦車大国を名乗るナショナルチームやプライベートチームが火星に集結し、激戦を繰り広げる。

 某女子高生たちが繰り広げるさわやかな青春戦車大会とは違い、こちらは実弾を使うため、死者が続出するリアル戦場に近いものになっている。

 加えて、戦車の性能差もそれに拍車をかけている。

〇オモシロが全てに優先する。

 戦車は基本的には全て〝旧式〟だ。テラフォーミング技術が進んだ未来社会が舞台であることから、それも当然。我々にとっては〝現代〟戦車でもこの映画の世界では〝中古〟扱いだ(さすがに最新鋭の戦車は使用禁止らしい)。

 だから2023年時点で最新鋭の10式戦車と戦車の始祖MK1(第一次世界大戦時に開発された)が対戦しても、〝クラシック〟という点では平等のマッチメイクという訳だ。

 しかし、それでも1対1で戦うとは限らない。各チームによって所有台数が違い、申告さえあれば何機でも投入してよいルールになっている。例えば1台の戦車に10台の戦車が群がる場合も当然ある。多勢に無勢の状況をどう乗り切るかがこの大会の見物、楽しみの一つになっている。

〇意外と……

 上記のように戦闘は単調にならず、割と金がかかったCGとSFXのおかげで迫力ある映像になっており、そこに一癖も二癖もある登場人物や組織の思惑もあって、意外と目が離せない。

 面白老害・戸巻を演じた神田慶弔や見かけは幼女のワンマンアーミー・キルラ役のシャミー・ローズの怪演ぶりは、酒の肴に相応しいものだ。

〇監督もまた……

 監督はダン・ラーション。不幸な事故(自業自得)によって、ほぼ完成しながら上映中止となったいわくつきの作品『激突! 暴走戦車』の監督だ。

※不幸な事故~日本の地方都市で、レプリカの戦車が暴走した事件。主砲の暴発により火災が発生した。撮影に特段必要のない戦闘能力までも忠実にコピーし、しかも撮影許可を得ないで、ゲリラ的に撮影したため、監督を含め関係者が複数書類送検された。この件によって、ダン監督はしばらく業界を干された。

 空白期間を取り戻すかのように、これまた好き勝手に撮ったカムバック作、ぜひ音響の優れた映画館で鑑賞してほしい。

〇最後に……

このコンテンツはフィクションであり、実在の人物・組織とは一切関係がありません。数字なども同様です。すべてはフェイク。

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