人生を漂白したら

生まれから今までを真っ白にしてしまいたい。なくしてしまいたい、つまり、死んでしまいたいと思うことはよくある。
さして珍しいものでもなく、ふと、飛び降りたくなる。
思うようにならないのは当たり前だけれど、思うことは止められない。欲望と理想は芽生えてくるものだ。
摘んでも摘んでも。

自分は性格が悪い。他者に責任転換することで生きてきたし、あわよくば相手を悪にして許されようと考える。
不思議なもので、まるで創作をするようにどうしたら誰がどう返してきて、、、と脳裏に繰り広げられる。
現実にしたことはないが、疲弊するのは当然だし、自分がいやになる。
これが本来の創作に生きることもある。

私はそれを「スタートボタンを押す」と呼んでいる。妄想、創作はスタートボタンを押せば、突然繰り広げられていく。私は常にそれを鑑賞していて、のちにフラグ回収されるのを半ば驚きながら見ている、観客のような気持ちだ。
こうして活躍する想像力はとても素晴らしい。

しかし、諸刃の剣とはいったもので、いざ現実に根差した悩みや人間関係に疑問を持つとスタートボタンが押され、辻褄の合う悪い妄想に取り憑かれる。

アダルトチルドレンの症状を持っているし、おそらくそうだろう。自己肯定感が低く、疑い深い。
こんな性格にさらにこの創作力が加わることで人間不信に陥っていく。

こんなとき、自分に問う。
預貯金五億円だったら悩んでる?
悩むわけがない。つまるところ、生活苦からくるストレスが原因といったところ。
私は性格が悪い。
責任転換したいと思っている。
できないと分かっているから、臆病な理性がそれでも生きようと無駄なあがきをする。

夢をみたい。
家族とともにいることが幸せな家族関係、周りと安定した関係を続けられる安定した心、信頼し信頼されることにプレッシャーを感じない健康的な思考、好きなことに罪悪感を感じない自己肯定感…それらが備わった人生。
ぜーんぶ夢。
分かってる。
なんて惨めなんだ。

私は性格が悪いと分かっているから、外に出す言葉は気をつけているつもり。
真っ白にはなれないし、握りつぶした紙を広げたような心は簡単に破れていく。
それでも、感謝だけは忘れずにいたい。
生まれる場所は決められないけれど、生き方は決められる。

十年前は前世、何度も繰り返す。
まだ大丈夫。





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