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3月26日*ライブ参戦記とあれやこれや

“悪い女のフリをしてプライドを守って 壊れない様に鍵をかけた”
2016年3月26日、土曜日。代々木labo。

 久しぶりのライブハウス。何年ぶりだろう。心臓をぶん殴るような重低音に揺さぶられ、チカチカと光を受けるステージに目がくらむ。ジントニックに温められた血液が脳のあたりをぐるぐる踊る。

 CDやYoutubeで聴いてはいたものの、生で演奏を観るのははじめてだったお目当てのバンド。きれいに、ただきれいに録られた音よりも、ずっとずっとよかった。

 ストーリー性のある音楽と、圧倒的なサウンド。けっしてキャッチ―ではないメロディラインを、小柄なドラムボーカルの彼女が吠えあげる。吠えるたびに、長い黒髪がステージで踊る。まるでそれすら彼女たちの公演の一部なのだと思わせるほどに、独特の空気感を持つバンドだった。

 声は、音はすべて圧なのではないかと思えるほど、パワフルな圧力で心臓を潰しにかかってくる感じがたまらなくって、危うく立ちくらむところだった。聴衆に向けられた殺意にも似た世界観に圧倒されて、音が止むたびに小さく疲弊していく感覚。一曲ごとに、まるで一本の長編映画を見終えたときのような心地よい疲れを味わって“一刻も早くこの衝動を誰かに伝えたい”。そんな気持ちになった。話す相手もいないからこんなところに書くのだけれど。孤独は毒、です。

 それから電車に揺られて一時間、千葉県の行徳駅へ。カラオケアプリで知り合った大人の人たちが出演するというライブに。

 さきほどとは一転してこちらはすべてカバー曲。楽器にかんする知識も批評できるだけの耳もわたしは持ち合わせていないけれど、あまりうまいとは言いがたい演奏とやさしくって不安定な歌声に絆されてぎゅぎゅっと。ついつい心のなかで応援したくなっちゃうような臨場感、それはそれでいとおしい感覚です。あぁ、きょうも一日楽しかった…!

 帰宅したら体が熱くってふわふわ。高揚感かと思ったけれど、単純に発熱だった。40.5度だよ、毎度のことながら死ぬんじゃないかと。っていうか、小さく死んだんじゃないかと。高熱を出すと肌の表面の細胞が死ぬのか、皮ふの表面がべろんと剥がれるの、脱皮っぽくてウケる。すぐに高熱を出しては脱皮をして、なのに蝶になることも蛾になることもなく衰弱し続けるさまは、生き物として劣等なんじゃないかな。

 一晩経ったら熱はすっかり下がったけれど、高熱のせいか何を食べても鉄と土が混ざったような味がするようになってしまって困った。いきおいあまって醤油と目薬を舐めてみたけれど、やっぱり味の違いがわからない。なにこれ。

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