お金がある!
『あなたもモニタリング』 1.
みなさん、おはようございます。
『あなたもモニタリング』をご覧くださいまして、ありがとうございます。
本日も生放送でお届けする、この番組。
どう展開していくかは、みなさまの投票で決まります。
リモコンの『dボタン』でお答えください。
ポチポチ押して、盛り上げていきましょう!
人生右往左往バラエティ『あなたもモニタリング』始まります!
派遣社員の萌子さん(仮名)です。
ご主人を送り出すところですね。
さっそくみなさんにクエスチョンです。天気が変わります。
Q 【『雨が降ってくる』or『雨が上がる』どちらにしますか?】
みなさん、dボタンで投票をお願いします。
黄:雨が降る 赤:雨が上がる
さあ、運命の分かれ目です!
萌子の事情 ▼ 1.
夫にお弁当を渡していると、雷が鳴った。
「え? 雷? 今日って、天気悪くなるの?」
「天気予報で降水確率、80%って言ってたぞ」
「ほんとに? 晴れてたから、洗濯物、外に干したよお」
外を見ると、いつの間にか空は黒雲に覆われている。
おざなりに「いってらっしゃい」と夫を送り出すと、慌てて階段を駆け上がる。サッシを開けて、ベランダに干してある洗濯物を取り込む。その間にも、雷が鳴る。
「ひゃあ!」
全部入れて、サッシを閉めた途端、バラバラと雨が降り出した。
ふう。間一髪だった。
雨降りだと厄介だ。
遅刻しないようにするには、早く出ないといけない。
3km先の職場に、いつもは自転車で通っている。
信号の待ち時間もあるけれど、20分程で着く。小雨ぐらいだったら、カッパを着て自転車で行く。
娘の実香の部屋のドアをたたく。返事が無いので、勢いよく開ける。
「おはよ。ママ、雨降りだから、早く出るわね。朝ご飯食べたら、ちゃんと食洗器に入れて回して行ってよ」
実香は布団の中で、ふがふが言っている。これは期待できない。とにかく、手早く支度して出かけなくては。
『あなたもモニタリング』 2.
雨になりました。雨降りだとなかなか大変ですね。
萌子さんは、仕事に出かけるところです。
下足棚の扉を開けて、何をはいていこうか、考えています。
雨の日用のスニーカーが目に入りました。
それはどうも、はきにくいようです。
さて、クエスチョンです!
Q 【萌子さんは『はいていく』or『やめる』どちらにしますか?】
みなさん、dボタンで投票をお願いします。
黄:はいていく 赤:やめる
さあ、運命の分かれ目です!
萌子の事情 ▼ 2.
座敷のふすまを開けて、お義母さんに「いってきます」と声を掛ける。
いつもの靴をはこうとして、思いとどまる。めざまし占いの、かに座のラッキーアイテムが『スニーカー』だったのだ。
下足棚の扉を開けて、素早く視線を走らせる。
雨の日用にと買ったスニーカーがある。
ハイカットで、上が帆布、下がゴム製だ。以前、神戸へ行った時に、衝動買いしてしまった。まだ、1回しかはいたことがない。今日こそはくべきじゃないか。
でも、ちょっとはきにくいのよね。
時計を見る。大丈夫。まだ時間はある。
うん。はいていこう。
ぐっと足を差し入れて、紐をきゅっときつく縛った。
外に出ると、自転車じゃ危ないというぐらい雨が降っている。
さて、電車に乗るか、バスで行くか。
今ならどっちに乗れるかな。
電車の駅は離れている。本数が少ないし、今発車したぐらいか。
それならばと、早歩きでバス停を目指す。
バスは、道路の混み具合によって、来るのが遅かったり、着くのも時間がかかったりする。こんな雨の日だと、特に遅れる。
時計を見ながら、小走りになる。バス停に着くと息が切れた。
時刻表を見ると、ちょうど来る時間だ。首を伸ばして、道の先にバスの姿がないか見てみる。
もうバスは行ってしまったのか、まだなのか。5分くらいの遅れなら待つか。スマホのアプリで、バスが接近してるかどうかわかるんだった。でもそれを立ち上げている時間がもどかしい。
待つのは、時間の無駄かな。
でも、ずっと歩いていったら、着くのは始業時間ぎりぎりか。
それに、しとしと降ってる雨の中でも、歩いていくとずぶ濡れになるのよね。
『あなたもモニタリング』 3.
スニーカーをはいていくことにしましたね。
萌子さん、次はバスか歩くか迷っています。
歩くなら始業ぎりぎりです。決断するなら、今です。
さて、クエスチョンです!
Q 【萌子さんは『バス』or『歩く』どちらにしますか?】
dボタンで投票をお願いします。
黄:バスを待つ 赤:歩いていく
さあ、運命の分かれ目です!
萌子の事情 ▼ 3.
あーーーーバスが来ない!
時計を見る。もう7分過ぎている。もう行ってしまったのかも。
つま先立ちで道の先を見てみる。傾けた傘から、雨のしずくが顔にかかる。バスの姿は見えない。
だめだ。
もう限界だ。
私はきびすを返して歩き始める。
ペースを上げて歩かないと、間に合わない。
速足で、ずんずん歩く。
こだわったスニーカーだけに、歩きやすい。はく時は細身に思うが、甲から指先の方は余裕がある。
これなら家に引き返して、実香に乗せてもらった方が早いかしら。
少し歩くスピードが落ちる。
電話をかけて起こして……無理だ。起きるはずがない。
諦めて、もう一度スピードを上げる。
うちには車が2台ある。
夫の車と、実香の車だ。大学が郊外なので必要だ。
この街は、公共交通機関が網羅されていない。どこに行くのも、車が要る。そんな環境だから、みんなは、車に乗らない私を不思議がる。
だって、もう1台乗ろうとしたら、大変よ。
軽自動車でいくらだろう。
うちは街の中心地にあるから、駐車場代が高い。
維持費だって、ガソリン代だってかかる。
そんなお金、私の給料のどこから捻出できるって言うの。
そう。
要するに、お金が無いのよ。
結局、そこに行きつく。
私は、踏み込む足の裏に、力を込めた。
『あなたもモニタリング』 4.
萌子さんは、いらついてますね。
何だかうつむき加減になってきました。
元気を出してもらうためにも、一発逆転とましょう。
【運命のサプライズタイム!】
萌子さんが職場に着くまで、20分程度かかります。
その間に、『何か』が起きます。
どんなことがいいでしょうか。
みなさんのアイデアをお寄せください。
時間が限られていますので、先着で採用します。
私が読み上げると、そのままのことが起こります。
事故とか、そういう生死にかかわるようなことは、ご遠慮くださいね。
さっそく、届きましたよ。
「おはようございます。いつも番組を楽しく拝見しています。
萌子さんはお金が無いと言っていたので、お金を拾うことにしたらどうでしょうか」
では、4択にしましょう。
みなさんにクエスチョンです!
Q 【萌子さんは『500円玉』or『2万円』or『財布』or『ジュラルミンケース』のどれを拾いますか?】
dボタンで投票をお願いします。
青:500円玉 黄:2万円 赤:財布 緑:ジュラルミンケース
時間がありません。みなさんお早めにふるってご参加ください。
さあ、運命の分かれ目です!
萌子の事情 ▼ 4.
最短距離で行けるルートはどの道かしら。
頭の中で、道筋を思い描く。
信号を待つぐらいなら、前に進んだ方がいい。
それで、ルートが変わってくる。
高架下を抜けて、住宅街に入ろう。公園を斜めに突っ切ったら、ショートカットできる。
自転車なら、あっという間の距離をちんたら歩くのがもどかしい。
毎日自転車に乗ってるからと、過信していたが、運動不足かもしれない。息が上がる。
リュックが、がさがさと音を立てて、左右に揺れる。
スニーカーのはき心地は悪くないが、ランナーズハイとまではいかない。
職場の近くまできた。この信号を渡ればすぐだ。
時刻を確認する。大丈夫。始業には間に合うだろう。
ふう。
大きく息を吐く。
このフェンスに沿って歩いて、曲がればゴール!
朝から、大仕事だった。
大きく足を踏み出す。
その時、私は目を疑った。
あと数センチで水たまりに浸かってしまいそうな道の端に、それはある。
これって……どう見ても……お金よね。
野口英世さん……じゃない。
福沢さんだ……。
何であるの? それもむき出しで2枚も!
萌子の事情 ▼ 5. feat. 『あなたもモニタリング』 5.
私は背中を丸め、紙幣に顔を近づける。
紙幣はふんわりと二つ折りになっている。
きっと、二つ折りの財布に収まっていたのだろう。
でも、財布からお金が飛び出たら、気付くんじゃないかな。
もしかして……。
これって、何か理由があるんじゃないかしら。
例えば、誰かが故意にここに置いたとか……。
ここを通る人が、持ち去るかどうか観察しているとか……。
私は、すっと身を起こす。
カクカクとロボットのように首を回し、それらしき人の目がないか探る。
『萌子さんは屈んで、お金を見つめていますね。
ぜひ拾ってほしいですね。
おや? 姿勢を正しましたよ。
辺りを見回しています。何かを察したのでしょうか。
あ! こちらをじっと見ています。
目が合いました。気付かれてしまうでしょうか』
ぞわぞわとした気配を感じる。
けれど、それらしき車はない。周りの家もカーテンを閉ざしている。
気のせいだろうか。
もしも……拾ったら、どうなるのかしら。
犯罪に……なるのかしら……。
その時、一陣の風が吹いた。
私は慌てて、両手で1枚ずつ押さえる。
『あ! 萌子さん、大丈夫でしょうか。
転んだのかと思いましたが、そうではないようです。
手から放れた傘が、転がり始めましたよ』
あ! 傘が飛んでいく。
待って! 行かないで!
私は左手にお金を握ると、傘を追いかけてつかまえる。
萌子の事情 ▼ 6. feat. 『あなたもモニタリング』6.
もう行かないと、始まってしまう。
タイツが濡れてべっちゃりだ。スニーカーも濡れている。
会社のドアを開ける。
遅刻ギリギリだけど、何とか間に合った。
「おはようございまーす」
「おはよう」
挨拶を交わして、中に入る。
『萌子さん、遅刻は免れましたね。
え? お金はどうなったかですって?
見逃がしてしまった方のために、プレイバックしてみましょう。
ここから再生します。
左手にお金を持っています。右手で傘をつかみます。
ここです! スローモーションでいきます。
左手をコートのポケットに入れました。
手を出してきた時には、もう持っていません。
腕時計で時刻を確認して、その手で傘の柄を握りました。
はい。お金は、コートのポケットの中にありますね』
ロッカールームに飛び込む。
ロッカーを開けて、リュックを下ろし、コートを脱いで掛ける。
スニーカーが濡れて脱ぎにくい。内ばきにはき替える。
タオルを取り出し、足をふく。ひざが泥で汚れている。
でも気にしている場合じゃない。
私は、ロッカーのドアを勢いよく閉めた。
萌子の事情 ▼ 7.
私の仕事は、データ入力だ。
伝票を仕分けし、時系列に並べ直す。チェックしながら、決まったフォームに入力していく。
1時間入力したら、休憩を取るように言われている。
私は隣の佐田さんに声を掛けて、フロアーを出た。
うーんと伸びをして、トイレに行く。
タイツは乾いたようだ。つまんで弾き、泥を落とす。
頭の中に、朝の光景が倍速でよみがえる。
あれ? お金をどこにやったんだったっけ……。覚えていない。
慌ててフロアーに戻り、自分の席の引き出しから、ロッカーの鍵を取り出す。
「あれ? 早かったね。次は私が行っていい?」
佐田さんが、伝票をそろえにかかる。
「ちょっと、ロッカーに忘れ物があって。もう少し行ってくるね」
佐田さんの返事を待たずに、飛び出した。
あれは、本当にあったことだよね? 幻想かな。妄想?
だって、1万円札がぴらんと、1枚なら落ちてることがあるかもしれない。それも、なかなかないだろうけど。
それが2枚だなんて、あり得ないでしょ。
たぬきに、化かされたかな。今見たら、葉っぱに戻ってるとか?
ガチャガチャと音を立てて、ロッカーを開ける。
リュックを背負ってたんだから、中には入れていないはずだ。でも、ペットボトルを入れるポケットに入れたかもしれない。
探ってみるが……無い。
どこ……? どこにある? やっぱり、幻?
コートのポケットかもしれない、と手を差し入れる。
紙のような感触がある。
取り出すと、紛れもなく1万円札だった。記憶通り2枚ある。
道端に落ちていたのを証明するように、少し湿り、砂が付いている。
本物だ……本当だったんだ。
私はへなへなと、その場にしゃがむ。
いやいや、遅くなってはいけない。佐田さんと交代しなくては。
私はロッカーの上に放り込んであった、通販カタログにお金を挟む。湿り気を取ろうと思ったのだ。
今度こそしっかりと脳裏に刻み、ロッカーを閉めた。
萌子の事情 ▼ 8.
入力しながらも、あの2万円のことが気になる。
お金を落とした人は、捜しているだろう。
それとも、気づいてないかしら。
いやいや私にとったら、2万円は大金だ。
財布から無くなったら、気づくと思う。
警察に届けて、誰かが「2万円落ちていました」と言ってくるのを待つかしら。
でも、お金に名前は書けない。
拾われても戻ってこないと諦めて、届けなんか出さないかな。
そう、お金に名前が書いてあるわけではないもの。
このまま、私がいただいても、誰にもわからないわよね。
2万円かあ。
口元が緩むのを抑えられない。
お給料から生活費を出したら、自分に使えるお金などほとんどない。
久し振りに、本屋さんに行こうかな。今はどんな本が出てるんだろ。
手芸屋さんにも行きたい。新しい花柄の生地が買いたいな。
でもそんなことより、やっぱり生活費の足しにした方がいいかな。
食費もやりくりしている。月末になると乗り切れるかハラハラする。
2万円あれば、余裕が出る。
実香に「買いたい物があるんだけど」と言われても、悲しいかな、いつもすっからかんだ。
財布を見てため息をつく。
「そうだよね。ママはお金無いよね」
いつも、胸が痛んでいた。
そうだ。実香に新しい洋服買ってあげようかな。
ほんとに、お金が無いのは情けない。
お金が無い私に、神様が同情してくれたのかもしれない。
萌子の事情 ▼ 9.
昼になり、ロッカーからお弁当の入ったリュックを取り出す。
上段のカタログに目をやる。気になって、ページをめくってみる。
ちゃんとある。ほっとする反面、そわそわするし憂鬱にもなる。
フロアーの隅の来客スペースで、佐田さんとお弁当を広げる。
社員食堂もあるけれど、派遣社員がお昼にお金を使っていたら、何ほども残らない。残り物のお惣菜でも、十分お弁当になる。
佐田さんは食べ終わって、新聞を広げている。
「あら、万引きだって。え? 485円相当? それぐらいで新聞に載るなんて嫌よねえ。でも犯罪には違いないか」
私はぎくりとする。でも、私は万引きしたわけではない。
「ねえ、もしお金を拾ったとしたら?」
「交番に届けるでしょうねえ」
佐田さんはこともなげに返してくる。
私は、仮定の話というスタンスで聞いてみる。
「でも、財布なら持ち主がわかるだろうけど、現金がそのままだったら?」
佐田さんはうーんと考え込む。
「子どもみたいに律儀に、コインでは届けないかもね。千円札でも行かないか。一万円札なら、うーん、迷うわねえ。でも届けたら、どこで落ちてたかとか根掘り葉掘り聞かれるだろうなあ」
根掘り葉掘り。それは面倒だ。
「そうよね。反対に疑われたりして。誰かの財布から盗って、拾いましたって届けてるのかもとか」
佐田さんは笑い出す。
「そんな疑われ方はしないでしょ。もし他人の財布から盗んだとしたら、わざわざ届けたりしないで即インマイポケットするだろうし」
「そうか、そうよねえ」
自分の浅はかさに、ふへへへと間抜けた笑い方になる。
「でも、拾ったお金は、ついてるらしいわよ」
佐田さんは、上目遣いで含んだ物言いになる。
「ついてる? ついてるって、悪い物ってこと?」
「そうそう。ネットで出てたわ。交通事故にあったり、病気になったり、次々と悪いことになった家族がいたんですって。あんまり続くんで、お祓いに行ったら、拾ったお金をネコババしたなって言われたんですって。誰だ? って問い詰めたら、そこんちの息子がお金を拾って、浮かれて使ったことがあったんだって。思えばその頃からおかしくなったって」
「へええ。そ、それは怖いわね」
「あら、こんな時間。ちょっと行ってくるわ」
佐田さんは、昼休みに一服タバコを吸うのが日課だ。
「あ、う、うん」
私は、嫌な汗が伝うのを感じていた。
萌子の事情 ▼ 10.
たかだか2万円のために、家族に災難が降りかかったら、最悪だ。
病気にはなりたくないし、事故もご免だ。
実香や夫が交通事故に……と考えるだけで、怖気が走る。
嫌だ嫌だ。
このまま、懐に入れようとした自分が恥ずかしい。
お金は無くても、卑しい人間にはなりたくない。
それに、誰にも分らないって思ったけど、この私が知っている。
2万円をこっそり自分のものにして、これからずっと負い目に感じていくなんて、まっぴらだ。
私は、どうするか決めた。
『あなたもモニタリング』 7
みなさん、こんにちは。
『あなたもモニタリング』イブニング版です。こちらの方もご覧くださいまして、ありがとうございます。
本日追跡していました、萌子さんに動きがありました。
モーニング版では、お金の無い萌子さんに、2万円を拾ってもらえました。
さて、萌子さんは帰り道にどこかへ寄るようです。
お買い物でしょうか?
あ、違います。交番に入って行きました!
何か書類を書いていますね。
おじぎをしています。出てくるようです。
ちょっとインタビューしてみましょう。
「すいません、ちょっとお話うかがってもよろしいですか?」
「え? はい」
「交番にはどんなご用件で、いらっしゃったんですか?」
「あ……通勤途中にお金を拾ったので、届けたんです」
「律儀ですね。それで金額はいかほどですか?」
「2万円です。現金だったので、持ち主は特定できないとのことです」
「え? それでは、持ち主からお礼に何割とか、いただけないということですか?」
「いいえ。3ヶ月後に拾った私が、そっくりいただけるようです」
「それは、ラッキーですね」
「はい! 今日はいろいろ迷ったんですけど、誰かが見ていて、良い方に導いてくれたように感じたんです。本当にラッキーな日でした!」
「それは、良かったです! お力になれて、光栄です!」
「え?」
「あ、いえ、こちらの話です。では、3ヶ月後が楽しみですね。その時にまたお話うかがってもいいですか?」
「はい!」
萌子さんが手を振って去っていきます。吹っ切れたような笑顔です。
こちらも嬉しくなりますね。
では、みなさんにクエスチョンです。
2万円の使い道です。
Q 【萌子さんは『家族で焼肉を食べる』or『へそくりにする』or『自転車を買う』or『実香さんの洋服を買う』どれにしますか?】
dボタンで投票をお願いします。
青:焼肉 黄:へそくり 赤:自転車 緑:洋服
さあ、運命の分かれ目です!
『あなたもモニタリング』 7.
みなさん、こんにちは。
『あなたもモニタリング』イブニング版です。こちらの方もご覧くださいまして、ありがとうございます。
本日追跡していました、萌子さんに動きがありました。
モーニング版では、お金の無い萌子さんに、2万円を拾ってもらえました。
さて、萌子さんは帰り道にどこかへ寄るようです。
お買い物でしょうか?
あ、違います。交番に入って行きました!
何か書類を書いていますね。
おじぎをしています。出てくるようです。
ちょっとインタビューしてみましょう。
「すいません、ちょっとお話うかがってもよろしいですか?」
「え? はい」
「交番にはどんなご用件で、いらっしゃったんですか?」
「あ……通勤途中にお金を拾ったので、届けたんです」
「律儀ですね。それで金額はいかほどですか?」
「2万円です。現金だったので、持ち主は特定できないとのことです」
「え? それでは、持ち主からお礼に何割とか、いただけないということですか?」
「いいえ。3ヶ月後に拾った私が、そっくりいただけるようです」
「それは、ラッキーですね」
「はい! 今日はいろいろ迷ったんですけど、誰かが見ていて、良い方に導いてくれたように感じたんです。本当にラッキーな日でした!」
「それは、良かったです! お力になれて、光栄です!」
「え?」
「あ、いえ、こちらの話です。では、3ヶ月後が楽しみですね。その時にまたお話うかがってもいいですか?」
「はい!」
萌子さんが手を振って去っていきます。吹っ切れたような笑顔です。
こちらも嬉しくなりますね。
では、みなさんにクエスチョンです。
2万円の使い道です。
Q 【萌子さんは『家族で焼肉を食べる』or『へそくりにする』or『自転車を買う』or『実香さんの洋服を買う』どれにしますか?】
dボタンで投票をお願いします。
青:焼肉 黄:へそくり 赤:自転車 緑:洋服
さあ、運命の分かれ目です!
『あなたもモニタリング』 8.
みなさん、おはようございます。
『あなたもモニタリング』をご覧くださいまして、ありがとうございます。
さて、3カ月前に番組に登場した、萌子さんを覚えていますか?
お金を拾った萌子さんです。
その使い道をみなさんに投票してもらいましたね。
今日は、萌子さんに、もう一度インタビューしたいと思います。
颯爽と自転車に乗って現れましたよ。
「では、2万円の使い道を教えてもらえますか?」
「はい。この自転車を買いました」
「え? 自転車ですか? 持っていなかったんですか?」
「いいえ。前の自転車が古くなったので、買い換えました。家族で食事にでもと思ったんですが、ママが拾ったんだからと言ってくれまして。それなら、パッと使うより、形になる方がいいと思ったんです」
「現金なら、交番に届けずにご自分で使っても、わからなかったんではないですか」
「そうですよね。でも、こっそり自分の物にしたら、ずっと後ろめたいじゃないですか。こんな愉快な話、誰にも話せないなんて、私には耐えられません」
「ははは! それもそうですね。今日は楽しいお話をありがとうございました」
「はい、では、失礼します」
萌子さんでした! 晴れやかな笑顔が印象的でした。
人生は選択の連続です。その選択にちょっとだけ関わってみたいと思いませんか?
どう展開していくかは、みなさまの投票で決まります。
運命を司るのは、あなたです。
人生右往左往バラエティ『あなたもモニタリング』始まります!
完
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